史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

小樽

2014年04月19日 | 北海道
(小樽運河)


小樽運河

小樽は札幌市内から約四十キロメートルの距離で、高速道路を使えば一時間足らずで行き着くことができる。小樽運河や明治・大正期の石造の建物群、ガラスやオルゴールの店やレストランが軒を並べ、道央の観光都市としても有名である。
永倉新八が晩年を過ごした町としても知られる。わずかな時間であるが、永倉新八の息遣いを感じる旅に出てみよう。

私が小樽に着いたのは午後六時を回っていた。せっかくだから夜の小樽の街を散策してみたが、気温は氷点下まで下がり想像を絶する寒さであった。歩道は完全に凍結しており、場所によっては歩くというより、滑りながら移動することになった。
有名な小樽運河を写真に収めておかなくてはならない。寒さの中、四苦八苦しながら撮影していると、いかにも関西から来たと思しきオバチャンに声をかけられた。
「これが小樽運河ですかいな?」
「そうです。」
「何が綺麗なんかいな?あの光っている(注・ライティングしている)のが良いのかな?」
「さぁ、建物ですかね。」
何が綺麗か綺麗でないかは人に質問することではなく、自分の目で見て判断すれば良いことだと思ったが、確かにオバチャンが不安に思うのももっともなくらい、それほど綺麗な風景というわけでもなかった。

(北のウォール街)


旧三井銀行小樽支店

「北のウォール街」と命名されている一角には、明治・大正期に建造さえた石造の建物や倉庫が並んでいる。古い建物が保存されていることに感銘を受けた。

(梁川通り)



駅前の商店街には榎本武揚の肖像が掲げられている。北海道と榎本武揚の所縁は深いが、実は小樽と榎本武揚の因縁も浅からぬものがある。明治五年(1872)、榎本武揚は小樽の稲穂町の払下げを受け、北垣国道とともに北辰社を立ち上げて小樽を開拓し、今日の小樽市の基礎を築いたと言われる。稲穂町には榎本武揚の雅号に因んで名付けられた梁川通りもある。

(龍宮神社)


龍宮神社

翌朝、幸いにして雪はやんだ。
龍宮神社は、小樽開拓に着手した榎本武揚が移民の安意や航海の安全を図るため、アイヌが祭場としていた御鎮座地に桓武天皇(榎本家の遠祖)を合祀し、「北海鎮護」を献額して建立したものである。
境内には「北海鎮護」の碑のほか、没後百年を記念して平成二十一年(2009)に建立された榎本武揚公之像などがある。榎本武揚が手にしているのは、「海律全書」と羅針盤である。


榎本武揚書「北海鎮護」


榎本武揚像

(永倉新八・山田音羽対面の地)


永倉新八・山田音羽対面の地

晩年を小樽で過ごした永倉新八は、現在小樽市役所のある辺りに住居を構えていた。
市役所下交差点付近に「永倉新八、山田音羽対面の地」を示す案内板が立てられている。大正二年(1913)五月、山田音羽(芸名・綱枝大夫)と名乗る一人の芸妓が永倉を訪ねてきた。音羽は近藤勇の娘を自称したが、本当に近藤勇の娘なのか、母は誰なのか、肝心なことは何一つ伝わっていないが、残っている肖像写真を見ると、なるほど近藤勇そっくりである。これが動かぬ証拠ということか。


(小樽市役所)


小樽市役所

永倉新八がこの付近に居住していたという小樽市役所である。小樽市役所は、昭和八年(1933)に建築された重厚な造りの市庁舎である。

(量徳寺)


量徳寺

量徳寺は、永倉新八の菩提寺として知られる。永倉新八の資料館なども併設しているらしいが、これも恐らく冬期は閉鎖されていると思われる。いずれせよ、私が訪れたのは例によって日の出直後であったので、資料館が開いているわけもない。

(水天宮)


水天宮

水天宮は小高い丘の上にある。永倉新八が孫を相手に剣術の稽古をしたといわれる場所である。
ナビを頼りに水天宮を目指していると、路地のような細い道に入り込んでしまった。表通りは除雪が行き届いているが、こうした裏通りは雪が残り、轍が深く、表面が氷と化している。ハンドルを取られる場面もあり、このまま自動車で水天宮に行くのは無謀と思えた。そこで海宝楼(温泉施設?)の駐車場に車を止め、そこから歩くことにした。途中、何度も足を滑らせながら何とか水天宮に行き着いた。境内は一面雪に覆われていた。

実はこのあと中央霊園で永倉新八の墓を訪ねる計画であったが、この分ではどうせ霊園は雪に埋もれているだろうから、諦めることにした。というより、一刻も早く小樽を脱出したいという気持ちの方が強かった。小樽はいずれ再挑戦(リベンジ)する必要がある。



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