天川貴之 理念哲学講義録 哲学的エセー

無常から絶対無にいたる哲学の実相を平易なことばで綴り、人生に即した叡智のあり方を解きあかす。

6ー4「人生の諸段階の弁証法的考察について」天川貴之

2018年06月09日 | 哲学(本文)
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理念哲学講義録~哲学的エセー~天川貴之
第六章 厭世観と楽天観について


第四節 人生の諸段階の弁証法的考察について

それでは次に、厭世観と楽天観における、
人生の諸段階の弁証法的考察を論じてゆきたいと思う。
まず、あまり人生を経験しないで、
人生を深く見つめない段階における楽天観がある。
この楽天観は、底の浅い楽天観である。
これは、人生と世界に対する単純肯定の時代であるといえよう。
この段階においては、多くの場合、
自己肯定的な快楽的人生を送っている人が多い。
しかし次に、人生の途上で様々な苦悩を経験することによって、
人生を深く見つめ、特に、
人間と世界の暗黒部(例えば、エゴイズム、煩悩)を、
洞察することによって、
厭世観をもつ段階がある。
この厭世観は、ある程度、
底の深い厭世観である。
これは、人生と世界に対する単純否定の時代であるといえよう。
この段階においては、多くの場合、
自己否定的な求道的人生を送っている人が多い。
人生を真剣に探究する文学者や哲学者や宗教家が、
暗い人生観、世界観をもっていることが多いのは、
人生を深く探究した結果、
人生の暗黒面の真実が洞察されているからでもあり、
同時に、そこから抜けられないからである。
さらには、人生の本質、世界の本質を、
深く深く探究すると、
人間の本質にも光輝く理念があり、
世界の本質にも光輝く理念が、
横たわっていることが認識されてくる。
これらの光り輝く理念を観ずるためには、
まず何よりも、自己の内なる光輝く理念を発見し、
磨き出し、顕現させなくてはならない。
真に自己の理念が顕現した時、初めて、
人生の理念が観え、世界の理念が観え、
その結果、人生と世界が光輝いて観えてくるのである。
この段階に達した代表的な思想家として、
エマソンが挙げられる。
彼の楽天的な自己観、人間観、人生観、
社会観、自然観、宗教観などは、
すべて自己の理念を光り輝かせることによって、
洞察したものなのである。
また、すべてのものの根底に、
理念を観ずることが出来たヘーゲルもまた、
徹底した楽天観であるともいえる。
彼もまた、内なる理念を光輝かせることによって、
すべてのものを射照らし、
観ずることができた哲学者なのである。
この段階の楽天観は、
真に底の深い楽天観であり、
本物の楽天観であるといえよう。
それは、人生と世界に対する絶対肯定の時代である。
この段階においては、
真なる自己信頼に基づく、
法悦的幸福の人生を送っている人が多い。
このように、人生と世界を、
真に深く深く洞察したならば、
絶対的楽天観へと到達するのであり、
人生と世界の本質は、
限りなくよきものであるという真理を、
体得することができるのである。
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