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「白鯨」あらすじ21

2021-06-16 06:36:07 | 白鯨
メルヴィル作 八木敏雄役 「白鯨」またはモーヴィ・ディック あらすじ21
 
第二一章 上船 
 
 我々が波止場に着いた時には空はまだあけやらず、灰色の霧にかすんでいた。前方を何人かの船乗りが走って行くようだ。船が日の出前に出るかもしれない。
 
 急いで船に行こうとしていると、エライジャによびとめられた。
「しばらく前に、人間らしきもの姿が、あの船の方に行くのを見なかったか」
「見たようなきがします。暗くてよくみえなかったけど」
「暗い、確かに暗い。さらば、おぬしら!ああ、おぬしらに警告するつもりだったが、まあ、いい。気にすることはない。さらば、おぬしら。すぐに再会することになるだろう。再会が最後の裁きの場でな」
 不可解な言葉を残し、エライジャは立ち去った。私の方はしばらく頭を悩ました。
 
   ピークオット号に乗り込んでみると、船は閑散と静まりかえり、人ひとり動く気配がない。船長室(キャピン)の入口には内側から鍵がかかっている。船首楼(フクスル)開口部のふたがあき、明かりが洩れていた。
 
 行ってみると、年老いた索具職人(リガ―)職人が眠り込んでいた。私はエライジャの質問が気になって仕方無かった。
 
 クィークェグは眠りこけている男の上に腰をおろし、トマホークのパイプで煙草をふかしながら、自分の故郷の話を始めた。狭い穴倉に充満した煙草の煙がこたえたのか、男が目を覚ました。
 
「おぬしら何者だ」
「乗組みです。船はいつ出るんですか」
「船は今日出る。エイハブ船長は昨日、上船した」
 その時甲板で物音がした。
 
「ヤッホー!スターバックさまの登場だ。あの人は一等航海士だ。いい人だ。」
 職人は甲板にのぼって行き、我々もそれに従った。みな忙しく立ち働いていたが、エイハブ船長だけは自室にこもっていた。

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