草むしりしながら

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吉行淳之介「童謡」あらすじ

2019-01-22 13:15:21 | 教科書名短編
 吉行淳之介「童謡」あらすじ
 
 少年は高熱を出し入院することになった。「君は蒲団の国に行くわけだな」と、見舞いに来た友人がうらやましそうに言った。病気慣れしている友人は、蒲団の国では微熱の時が最高だと言い、童謡の一説を歌って見せた。「病気なんてそんなものか」と少年は思った。
 
 高熱はいつまでも下がらず、高跳びの選手の少年の身体を、骨と皮だけにしてしまった。やっと熱が下がったが、歩くことさえできない。「今の君も君なのだ」友人は言って、おかしな童謡を歌った。以前友人の上に馬乗りになってねじ伏せたことを、少年は思い出した。

 ある日ヨロヨロしながらキャラメルを箱から出して食べようとしたら、お互いに好意を寄せていた少女が現れた。友人の勧めで見舞いに来たという。少年は友人の悪意を感じた。
 
 痩せた体はもとには戻らないまま退院した少年は、生まれ故郷の親戚の家で療養することになった。蔵の二階が彼に与えられた部屋だった。自分からその部屋を望んだのだ。もう医師や友人やあの少女が現れることはないと、少年は安堵した。その日から彼はどんどんと太り始め、十日間で元の体重に戻った。
 
 その日少年は町に出た。晴れやかな気持ちで道端の体重計に乗った。少年は少女の事を思い出した。それから日増しに体重が増え、土蔵に入ってから二十日目に少年の体重は二倍になった。その日で肥えるのが止まった。
 
 「別人のようだ」と喜ぶ親戚の人に、「別の人物ではありませんよ」と少年は答えた。しかしこれは一つの異常な状態から、別の異常な状態に移行しただけのように思えた。
 
 それから少年は家に戻り、久しぶりに学校に行った。あの友人が少年の回復を喜んだ。少年は久しぶりに高跳びをしてみたが、思ったようには飛べなかった。「すぐに元に戻るよ」と友人が慰めたが、もう前のようには飛べないだろうと少年は思った。自分から欠落したものと、新たに付け加わったはっきり形の分からない何かがあるのを、少年は感じた。

2017年10月文章講座
     教科書名短編少年時代  
     中央公論新社
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2 コメント

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Unknown (スミノフ)
2020-05-02 22:09:53
本の探偵団より、こちら様にたどり着きました。
ブログでリンクを貼らせて頂きたく、コメントいたしました。
何卒宜しくお願いいたします。
Unknown (ukakuudoku)
2020-05-03 08:26:58
了解しました。

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