愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

昭和南海地震と地盤沈下―徳島県の地震・津波碑―

2016年10月18日 | 災害の歴史・伝承


徳島県小松島市立江町新開にある八幡神社の境内に「農地災害復旧碑」と刻まれた石碑がある。これも地震碑の一つ。

1946年12月21日の昭和南海地震によってこの付近が地盤沈下し、水田40町歩が悪水が滞留し、不毛の地となった。そして昭和27年から農地改良復旧事業がはじまり、昭和31年竣工した、とある。建立年は昭和42年2月である。



過去の南海地震では海岸近くが地盤沈下し、低地の農地では下流や海に水が排水できず、復旧に時間がかかったり、大がかりな農地改良を実施しないといけなかったりする。これは愛媛県、特に瀬戸内海側でも同様で、同様の石碑は愛媛県西条市禎瑞などにも残る。

地震による揺れ、津波といった発生と同時、もしくは直後の被害が注目されがちであるが、この石碑が示すような、長期的な沈降被害にも目を向ける必要があるだろう。




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