愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

X’mas Orange

2013年12月07日 | 日々雑記
世界中のクリスマスツリーをみかんツリーに!
愛媛・八幡浜発信のX’mas Orange

南ヨーロッパでは、古代には柑橘は冬に実を結ぶことから春の再来や「再生」を祝う儀礼で用いられるようになり、クリスマス行事に組み込まれた。クリスマス時期の柑橘は裕福な者にしか手の届かないものだった。庶民に行き渡るようになったのは産業革命で生活水準が向上してからだ。柑橘は「飾り物」の役割だけではなく、子ども達がクリスマスの贈り物として欲しがる貴重な食べ物だった。フランスでは1950年代まで柑橘を青物商で買えるのはクリスマスシーズンに限られていた。クリスマスツリーに南ヨーロッパ産の柑橘を吊るすのは、ツリーを異国風の常緑樹、つまり柑橘の木に変えることだった。寒くて実りの無い季節に、裕福な貴族のごとく、実のなる柑橘を所有している幻想を抱いたのだ。(参考文献:ピエール・ラスロー著、寺町朋子訳『柑橘類の文化誌ー歴史と人との関わりー』一灯舎、2010年)


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