小2の夏。
ちょうど今頃の時期だ。
理科でヒマワリを育て、観察する授業があった。
我が2年4組総勢38名は、プール裏の空きスペースに1列に種をまいた。
右から3番目のヒマワリが自分のだ。
毎日観察日記をつけていく。
育成は順調なまま、夏休みへ。
夏休みが終わり、新学期の授業でヒマワリを見に行くと、それはそれは大きく育っていた。
右から3番目、自分のヒマワリも例外ではなかった。
しかし隣を見ると、2番目のヒマワリが枯れていた。
呆然とする2番目、名前をQ太郎としよう。
私は「枯れたのか。かわいそうに。」と思った。
完全に他人事だ。
突然、Q太郎は叫んだ。「これ、おれのじゃない。こっちがおれのだ!」
3番目のヒマワリを指さしている!
トチ狂ったと言わざるを得ない。
自分のが枯れたという現実を受け入れることができないQ太郎は、記憶を改ざん、上書をしていた。
私「なに言ってんだお前のはそれだろう!」
Q「うるせー!」 バン!
顔を叩かれた。ケンカになり、殴り合いになった。
そして、奪われた。
理不尽さと痛さと悔しさで泣いた。
その場に立ちつくしていると、ある2人が介抱してくれた。
事の顛末(てんまつ)を話すと、2人はひどい話だと共感してくれた。
さらに2人が言うには、向こうに誰のものでもない、余ったヒマワリがあるという。
そのうちの1本を「これがお前のだ。よかったね。」と、2人が認定してくれた。
それから30年の時を経て、昨日ヒマワリが我が家に咲いた。
5月13日の種まきから54日での開花。
24本が咲き誇る予定だ。