日伊相互文化普及協会

日伊相互文化普及協会のブログです。

第14期短期イタリア留学報告 (金)シチリア州 【千夜のうちの一夜の物語】 10月14日

2006-11-14 15:59:05 | Weblog
雷が鳴り、滑走路はまるでプール。5番ゲートで搭乗開始を待っている我々の頭上の掲示板が遅延を表示。エドアルドが、全便欠航とそっとささやいた。
それぞれのゲート前で待っていた人たちはそれぞれが利用する空会社のカウンターへ詰めかけている。
姿の見えなかったニクラが戻ってきた。アリタリアのカウンターでイヴァンナという女性の支持を待てと言う。しかし、カウンターは長い列。待ったがなかなか順番は回ってこない。
周りを見ると、みんな携帯を使ってホテルを探している。今日はカターニアから出られないのだ。天災だから航空会社からの保障は出ない。
エドアルドが耳打ちする。「心配するな、大丈夫」
やっとイヴァンナと話せた。アリタリアの責任者の部屋へ行けという。フランチェスカという責任者が待っているらしい。

出入国のチェックポイントの脇をすすりぬけてロビーに出ると、飛行機に乗れなかった人、乗ろうとして空港に来た人で溢れていた。
外は稲妻と雷、豪雨。軍隊が出動し、レスキュー隊もいた。今日のフライトは無理でも、明日は乗れるのだろうか。


責任者の部屋でフランチェスカは1台の設置電話と4台の携帯電話をパニックになった魔法使いのように操っていた。
「来たわね」とフランチェスカが電話を握りながら言う。ほかの黄色い携帯が鳴ってグレーの電話がそれを追う。
鳴りっぱなしの設置電話は放ってある。携帯電話で話し、部下が指示を仰いでわめいている間、フランチェスカの指はキーボードを叩く。
「それでね」とまた私に言うがまた、電話が3つ一緒に鳴り出す。フランチェスカの額には青筋が3本立っている。
忍耐………。
だいぶ待った後、「ホテルよ」とフランチェスカが1枚の書類をくれた。Cenaと書いてある。vinoは書いてない。ワインのない食事はいただけない。「ワインは……」と私が言うと「…….付けましょ」とフランチェスカはワインを書き込んでくれた。

我々はアリタリア航空からシェラトンホテルとホテルの超豪華ディナーのプレゼントを受け取った。明日のフライトのポストも優先ゲット。
ホテルの泊り客は映画のロケの人たちとアリタリアのパイロットやクルー、そして我々だけだった。
予想もしなかったおまけの甘い夜。シェラトンの豪華ディナーは我々の新密度をいっそう深めた。ディナーのあと若者たちは、嵐の収まった海岸で明け方まで騒いでいたそうだ。
Emi