悪魔の囁き

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

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第三部【悪魔の囁き】

2018-07-10 10:13:04 | 日記
第三話【嘆き】


こんな時に限って――
運悪く、やる事が裏目に出た。
魔が差したと言うか……
なぜか気が変わった。
今までの得意先回りでは無くインターから高速道路に入り、一番遠い得意先西那須野店に訪問して、片づける事にした。
真岡営業所から国道121号線に出て、
鹿沼インターに入いる細い道を入ろうとすると、
入り口付近の伸びきった樹木の中に、
黒縁のメガネを掛けた角刈りでホクロの多い顏の長いおまわりが、
口元にマイクをつけて1人で立っていた。
マイクに口を近づけて何か話しながら、私が曲がりくねった坂を登って行くのを見送った。
いつもの通り細い通路を抜けて、広いインター料金所ゲートに向かって入ろうとした。
料金所の横に四角い顔した小柄で肩幅の広い中年のおまわりと、細身で長い顔した若いおまわりが、二人で立っていた。
「此方に来い」と私の来るのを待っていたかの、四角い顔のおまわりが、私に手招きした。
「なんか、ようなのかなぁ~」と近か寄り、車を止めてウインドーを下した。
「お宅は、下で監視していた警察官が『シートベルトを締めていないから止めろ』と違反運転をしていると、連絡が来たから車検書と免許書を持って降りて来てくれ」
と思いもしなかった事を言われた。
「そんなことは無いですよ。初めから付けていましたよ」
と私はしっかりと締めていたので説明した。
「国道から上がってくる時から付けていないと、下で監視していた警官も確認して連絡して来たんだ」
「間違いなく、絞めていましたよ」
「こちらも、お宅が今しがたシートベルトを取り出して、締めて居る所を二人で見ていたんだよ」
「何度も言うように、つけていたよ」
「いいから、嘘をつかずに早く降りて来い」
と何度も否定する私を無視して、違反者と決めつけた。
「降りて来い」と怒り混じりの強い口調で言った。
問答無用で強引に違反切符を切ろうとした。
私は、いつも得意先回りで営業所が多い為に、車の乗り降りが激しかった。
家からの長距離で、同じ姿勢で居ると腰が痛くて辛かった。
冬は厚着をして体の動きが鈍くなった。
なので、心臓の圧迫を軽くする為に、シートベルトを全部引っ張り出して、大型クリップで止めて置いた。
此のおまわりの態度には、私は本当に頭に血が上った。
腹が立ち――
怒りで――、
声と体が震えだした。
「いつも乗り降りが楽になるように、クリップで止めているんですよ」
と顔面から血の気が引き蒼白になった。
最後に怒りで震えた出した手で、シートベルトを引っ張り出した。
“これでどうだぁ”
おまわりに見せた。
それを見たおまわりは――
「不味い事になったな」と言う様な顰めツラをして、黙ってしまった。
もう一人痩せ型の若いおまわりは……
「分が悪くなった」と思ったのか……
逃げてどこかへ消えてしまった。
「免許書を見せてくれ」と気を取り直し、私を強引に降ろそうとしていたおまわりは、謝ると交通違反をでっち上げだった事を認めてしまう事に成るので、権力を傘に威張り腐った強い口調で言った。
「もう、行っていいです。気を付けて運転して下さい」と私が興奮して体が怒りで震えていたので、事故でも起こしたら後が面倒と思ったのか、バツが悪そうな顔をして高飛車に言って終わらせた。 

「出るとこ出て決着付けますよ」
と私の同僚の林も他県で交通違反をでっち上げられた事が有り強気に出た。
裁判沙汰に成る前に警察官が謝罪したので、訴えるのは止めたと言っていた。
「他県ナンバープレートだと狙われるから気を付けたのが良いよ」
と松島専務に忠告を受けていた。
まさか自分が忠告通りになるとは思わなかった。
「カモが来た。こいつは時間的に余裕を持っていないだろう」
と、せこい考えで地元ナンバーでは無く、私が他県のナンバープレートを付けた上に、営業車だったので――
故意に不正違反をでっち上げても文句を言わないだろうと、取締りのノルマを達成する為に、違反切符を切るつもりでいたのだなと思った。
もし、背骨が痛くなく仕事の途中で無かれば、また冷静でいたならばこのままでは引き下がりはしなかった。
興奮すればする程、背骨がズキズキ痛くなった。
心臓が締め付けられて、苦しくて、苦しくて、我慢ができなくなった。
また、得意先に行くのが遅くれると、早い者勝ちの業界なので、後れを取ったら客注は取れて、在庫薄や欠品商品は納品されてしまっていた。
地元の問屋に客注まで持って行かれてしまうことが多かった。
悔しくても何も言わず、予定通りに得意先回りに行く事にした。
今考えると名前を聞いて置くか、名刺だけでも貰って置けば良かったと後悔している。 
もしかするとスピード違反のネズミ取りも、一方的な取締りで捕まえるので……
ドライバーもスピードメーターを見ながら運転しては居ないし、何キロで走っていたか、スピードを記録する装置も付いていないので、違反した事が本当に信用出来るのか――
どこか怪しく感じる。 
10年過ぎた今でも悔しい思いをした、あの、おまわりの四角いツラは、この目の奥に焼き付いていて死んでも忘れる事はない。

背骨が痛くて体調が悪いところへ追い打ちを掛けられた事にも腹が立った。
悔しい思いを残したままあの世に行くと・・・
恨みが残り成仏出来ずこの世に未練を残して祟り続けると思うので――
書き残して置く事にした。
いつまでも昔の事を根に持つのは男らしく無い奴だと思うが・・・
もし、シートベルトをクリップで止めていなければ、間違えなく違反切符を切られていたと思う。
不服を申し立てて裁判を起こしても、私がシートベルトを締めていたと言うだけで、本当に締めていた証拠もなく、証人もいなかった。
「シートベルトは締めていませんでした」
警察官が3人で口裏を合わせて証言したら裁判官も3人を信用したと思う。
悔し涙を飲んで私の負けに成ったろぅ。
「マグネットクリップの御蔭で命拾いした」と、単純に喜んで済むものでも無いと思う。
まして、犯罪を取り締まる立場の正義の人間のする事では無いと思った。
今でも思い出すと、善良で無くては成らない警察官に犯罪者扱いされた事には、本当に残念でならない。
あえて警察官では無く(おまわり)と書かせてもらった。 
***◆◆◆***

首都高速道路外回りを汐留の合流から銀座方面に向かっていた。
1週間前に新車で購入した真っ赤なスカイライン2000GTターボR30で、右車線を走っていた。
前方に4トントラックが、工事資材を積んで走っていた。
悪路でタイヤがバウンドすると、針金の束を一巻き落として行った。
ワッパの為に、タイヤのようにバウンドしながら転がってきた。
それが、私の車に向かって来ときは驚いた。
“ドスン”と振動させてフロントバンパーに衝突した。
倒れた番線は車体の下に入り込んだ。
フロントバンパーに絡んだ針金の束を引きずり、10メートルほど走った。
後方車を確認して、左により路肩に車を止めた。
落としていったトラックの運転手は気がつかず、そのまま行ってしまった。
咄嗟の事で慌てていて、相手のナンバープレーを見ていなかった。
高速電話で、警察に緊急報告をした。
車から降りて待っていると、10分ほどで白バイが来た。
事故の事情を詳しく説明をした。
「落下物が転がってきたのに、よけなかったお宅が悪いので単独事故として、お宅の責任となり行政処分されますよ」と逆に脅された。
落下物が後ろを走っている、私の車に向かって転がってくるのに左に避けたら、隣を走っている車と衝突してしまうだろうと思った。
「警察は事故が起きないと動かないと聞いているが、税金で食っている連中は面倒なことには関かわってはいけないのか」
“チッ”
「気楽な商売だなぁ。羨ましいな」と諦めた。
やる気がなくても落下物を落として行った車の特徴をなど――
事故の原因を細かく聞き取りをしておけば……
今後の事故資料として無駄にはならないと思うが――
今でも腹が立つ思いだ。 

一度得意先と、お客とのトラブルに巻き込まれて、濡れ衣を着せられた事があった。
「藤田くん。俺の車に使える“デコデコ”(12V→24Vに変換する)あるかい」
「逆なら在りますが24Vだと在庫は置いていないのですね」
「取り寄せる事はできるんだね」
「はい」
「なら、取ってよ」
「分かりました」
「いつごろ入る」
「問屋に電話して、入荷したら連絡します」
「じや、頼むね」

☎♪゜・*:.。. .。.:*・♪
“もしもし”
「ハーフライブ鹿沼店ですが」
「毎度」とヤマト商事の電話取りが出た。
「チョット聞きたいんだけど」
「なんでしょ」
「ランクルのデコデコありますか」
「うちでは、置いていないですね」
「そうですか。それなら、他の問屋に聞いてみます」と何軒か当たってみた。
“もしもし”
「サンライトです」
「鹿沼店です」
「まいど」
「中さんのところで、デコデコ取れる」
「取れますよ」
「良かった」
「それで車はなんですか」
「24V車のランクルです」
「すると、12V~24Vに上げるものですね」
「そうです。12ボルトを24ボルトに変換できるやつですね」
「なら、取り寄せなので、メーカーに聞いてみますよ」
「お願いします」
「取らないときは連絡します」
「その時は早めにお願いしますね」
「分かりました」
どこの問屋も取り寄せはできなかった。
最後に私のところへも、携帯に依頼が来た。
“もしもし”
「ヤスダブラシです」
と私と同期でイースト倒㈱会社産後、仕入れメーカーに就職した鶴見勝二が出た。
「オレだけど」
「おっ、まいど」
「明義さんいる」
「いるよ。チョット待ってね」
「あいよ」
「明ちゃん。チューさんから2番」

「まいど。まいど~お」
「忙しいところ。悪いね」
「いや、暇でしょうがないよ」
「なら、大量注文出すよ」
「お願いします」
「その前に、面倒な注文なんだけど……」
「うちに在庫のないやつ」
「そう。デコデコの6APなんだよ」
「それは置いてないなぁ」
「だろう。それで、取り寄せして欲しいんだけど。出来る」
「これは無理だよ」
「何アンペアーならあるの」
「3APだね」
「それで使えるかね」
「どうかなぁ~。アンペアー低いから、出力が落ちるかも知れないよ」
「そうかぁ~。じゃぁだめだな。どこかで扱ってないかね」
「うちの仕入れメーカーではないよ」
「どこならある」
「幸田電気なら持っているんじゃないかな」
「あそこは専門店直販だろう」
「そう。だから現金で買いに行かないとダメだね」
「掛率はいくらぐらいになるんだろぅね」
「1個だと一般ユーザーと同じだから、1割しか引かないよ」
「卸だと言ったらどうだろう」
「それでも2割引きがせいぜいだよ」
「そうだろうなぁ。定価の2割じゃ、卸すとなると定価になるものなぁ~」
「あまり面倒な物はやめた方がいいよ」
「3APならあるんだね」
「12V―24Vだよね」
「そうだよ」
「相手に聞いてみるよ」
「6APだと特殊で癖のある車だと思うよ」
「それなら断った方がいいか」
「それがいいねぇ」
「んじや、そうするわ。ありがとう」
「他に注文は」
「後で会社に帰ったらFAXを流すよ」
「そう。よろしくねぇ」

純正でも社外でも特殊な部品は、必ず使えず返品になるので断った。
1週間たち、注文を頼んだ客が待ちくたびれて鹿沼店に来た。
「藤田くんよ。デコデコどうなった」
「すいません。注文をした問屋が、まだ持ってこないんですよ」
「そのいい加減なヤローはどこの問屋だ――」
運悪く、私は納品でハーフライブの鹿沼店に着いた。
「毎度」
「あっ。来ました。あの問屋です」と私を指さした。
「どいつだ」
注文を受けた定番商品を台車に載せて、カー用品コーナーに来ると……
「お客さん。この問屋です」
「あんた。デコデコはどうしたんだ」と言われても、何の話か分からなかった。
・・・!?・・・
「お前。どこの問屋だ。名刺出せ。話によっては、あんたんところの会社に、うちの若い者行かせるからよ」
「すいません。受けた商品はうちでは扱っていないんですよ」
「だったら連絡しろよ」
「申し訳ございません」と悔しかったが、頭を深々と下げた。
「注文を取ってほっときやがって」
「違いますよ」
「オメェ~。俺が田舎者だと思って馬鹿にしてんのか」
「いいえぇ。そんな事はありません」
「じや、なんで持ってこないんだ」
「すいません」
「スイマセンじゃねぇよ」
「申し訳ございません」
「謝ってばかりいないで、俺の言った事に答えるよ」
「スイマセン。すいません」と何度も頭を下げた。
「コノヤローふざけやがって」
「申し訳ございません」
「カンキデンホームセンターに行けば買えるんだぞ。それでも昔からの付き合いだから、ハーフライブに来たんだよ」
「本当に申し訳ございません」
「もしかしたらハンドルボスもあんたんところかい」
「それは違います」と藤田さんが助け舟を出した。
「取り付かないから自分で加工して使えるようにしたんだよ」
「そうですか」
「それで、デコデコはある事はあるんだな」
「はい>」
「なら、別のデコデコ持ってこいよ」
「3APならありますよ」
「そうかい。それでいいから持ってこいよ」
「分かりました」
「そしたら安く叩いて買ってやるからよ」
・・・!?・・・
「いつ持ってくるんだい」
「来週には持ってきます」
「そうかよ。まぁ、よろしく頼むぜ」
肩を揺すぶって、帰っていった。
「藤田さん。うちは扱っていないって言ったでしょ」
「あのお客さんはよく買いに来るんで断りきれないんですよ」
「そんなの関係ないでしょう。ほかの問屋はどうしたんですか」
「全部断らたんですよ」
「ならば、はっきりと断ればいいじゃないですか」
「そうですけど。あとで何されるか分からないので、断れなかったんですよ」
「とりあせず来週火曜日に持ってきますよ」
「よろしくお願いします」

「それは話が違うだろう」と喉まで出かかった。
が、ドル箱の大事な得意先なので怒りを抑えて我慢した。
そから各店納品を済ませて、6時に家に帰った。
しかし――
腹が立って……
腹が立って……
腹が立って……
――たまらなかった。
悔し涙を酒に混ぜ……
気狂水にして飲み……
歯を食いしばり寝ることにした。
布団に入ると5分も経たないうちに眠りに落ちるが――
酔は回らなかった。
「眠ろう。眠ろう。眠ろう」と一晩中、何度も寝返りを打っていた。
目を閉じると、昼間の“トバッチリ”が頭に浮かび出した。
「このヤロー。ぶっ殺してやる」
できない恨みを考えると、神経は冴えて来た。
その為に気狂水を飲んでも、飲んでも頭の中は覚めていた。
「悔しくて。悔しくて。悔しくて」
たまらず、得意先回りをしていても平常に仕事ができなかった。
動物が子孫を残すために食物を探すが――
酒と女と喧嘩は、男のサガだが………
得意先相手だけに、ケツは捲れなかった。
毎晩気狂水をガブ飲みしていた。
ヤケで体を丸めて布団を被った。
怒りが頭から離れなかった。
歯ぎしりしながら………
三日三晩眠る事が出来なかった。
悔しさのあまり食べたものが逆戻りしてきた。
胃が締め付けられて、痛くなる程だった。

☎♪゚+.o.+゚♪゚+.o.+゚♪
“もしもし”
「ハーフライブ鹿沼店です」と山下民子25歳、事務員が出た。
「サンライトです」
「いつもお世話になります」
「藤田さんいますか」
「いますよ。呼びますね」
「お願いします」
“もしもし”
「まいど」
「例の件ですけど――」
「はい>」
「藤田さん。デコデコは、あのお客にタダでくれてやりますよ」
「いいんですか」
「これ以上絡まれたくないですからね」
「本当に申し訳ありません」
「これでいいでしょぅ」
「ありがとうございます」
「明日午後から持っていきますから」
「じや、待っています」
「これで、この話は終わりにしてください」
「よく言っておきます」
「お願いしますよ」
「じや、お客が来たら渡しておきます」
ハーフライブの営業所に訪問するとヤクザの客が来ていて、何かと因縁を付けられた。
考え抜いた末商に別の商品をタダでお客に渡す事で納得して貰い、解決させたつもりでいた。
それからも癖の悪いお客は、今回の事で味を占め何かと因縁めいた事を言って来た。
「悪いね。この前はタダで貰ってよ。今度は、フロアージャッキ頼むよ。安く買ってやるからよ」
“カッチィ~ン”
「うちはでは、その様な商品は扱っては居ません――」
得意先のお客に対して弱みが無く、毅然とした態度ではっきり断った。
それ以来顔を合わせても挨拶するだけで、何も言わなくなった。
此の教訓は営業マンの心得として、深く刻み反省をした。
「絶対に、バカは相手にしてはいけない――
いかに他人様からお金を貰うのは大変な事だな」と改めて肝に銘じた。
あとからパートの阿久津さん40歳から聞いた話がと……
相手はよく来るお客さんで、兄貴がヤクザの幹部だった。
その弟なので恐くて何も言えなかった。 
二度とこんな腸の煮えくりかえる程悔しい事に巻き込まれない様に――
得意先を監視して担当者の性格を見抜くようにした。
「いつ自分に火の粉が振り被るか解らない特注は危険だな」
と、用心をして注文を受けても車検証のコピーをもらって、納品できそうな素振りは見せなかった。
「どう言った感じのお客さんですか」
「うんと。普通の客ですよ……」
「扱っているかメーカーに聞いてみますので――」
胡散臭い客だと即答せず、一日置いた。
「うちのルートでは取り寄せはできないですよ」と柔らかく断った。

午前中の悔しい思いは酒を飲んで忘れてしまって、明日の仕事に備え様と決めた。
心残りでも、一週間のバイオリズムがどん底に来ている状態の時は……
「付きがない時には無理はしない。出来るだけ傷を深くしないように」
痛みは軽く済むようにした。
今日の売り上げマイナス分は、次日に稼ぐとして……
得意先を軽くさらりと流して家に帰った。
******
長時間車に揺れる事や腹の立つ事などで一段とストレスが溜まるのを感じた。
布団に入ると……
又、昼間の事が頭に浮かび出して悔しくて、なかなか眠れずいた。
眠りに付けずうとうとしていると、夜中の2時頃から背筋に寒気がして来た。
「またか――」
同時に又しても背骨が痛みだした。
背筋を伸ばすと息が詰まり、痛みが激しくなった。
苦しさが増ますので横になり体を丸めていた。
床ずれを我慢して寝返りをせずに寝ていた。
この体制でいると右肩が体重で痛くて、眠る事は出来なかった。
根性で朝までじっと我慢していた。
「会社も得意先も何かあれば携帯に連絡が来るだろう」と決めて――
その日は仕事に行かず1日寝ている事にした。
寝ていても時間が流れると、腹は減ってきた。
何を食べるかを考えていた。
次第に背骨の痛みも和らぎ楽になった。
階段の手すりにもたれ、1階に一歩足を下しては一息入れていた。
それを交互に繰り返して下り、リビングに入った。
リビングの敷戸を開けた。
部屋の中の回りの現状など変わる事など無いと思い込んでいた。
普段通りの生活を1日1日過ごす事しか考えていなかった。
私1人しかいなかった。
自分の歩く足音しか聞こえない、静かなは部屋のはずだった。
椅子に掛けようとした時に――
何かが私の体に重く圧し掛かり………
誰かに背中を先の尖った棒の様な物で、突かれた痛みを感じた。
振り返るとストーブの後ろに置いていた――
ベンジャミンの観葉植物が………
恨みがましく皺だけになり――
断末魔のうめきを葉に残し醜く枯れていた。
「また、やってしまったな。可哀そうな事をしたなぁ」
本当に申し訳ない気持ちで落ち込んだ。
おそらく背骨が痛くなったのは、私が無知な為にストーブの後ろに置とことだった。
細目に水を遣らないのが原因だった。
空気が乾燥して水が欲しいと苦しみ嘆いていた。
“恨み、憎しみ”に呪いを込めて、懲らしめに来たと思った。 
***◆◆◆***

「金田所長。野田さんは今度、鹿沼店の所長になるんですか」
「まだ、決まっていないみたいだよ」
「勤続年数から行くと、再登場はありますか」
「あいつは東鉱油からの入社で、日の出商事の時は野田もタカベ商会の営業マンだったんだよ。それで日の出鉱油担当していたんだったんだよ。しかし東鉱油が日の出鉱油を買い取ると、関東地区にチェーン転回する情報が入りタカベの安田所長が退職させて、東鉱油に送り込んだんだよ」
野田はタカベの社員の時は、日の出鉱油の営業所5店舗丸抱えで、部品・用品を納品していた。
ところが――
オープンが決まるとどこの馬の骨とも分からない、サンライト㈱会社の中が東京から来て、引っ掻き回した。
また、既存の5店舗も改装するたびに、タカベの納品した商品は外されて、サンライトに新規定番商品が流れた。
殿様商売をしていたタカベも焦り出し、息のかかった連中に鼻薬を嗅がせて巻き返しに出た。

「サンライトって聞いたことのない会社だけど、誰が社長なんだ」
「四港鉱油がメインのラリック㈱会社から独立して、中井が作った会社ですよ」
「金田所長の話だと、喧嘩別れしたみたいですよ」
「それは確かな情報かい」
「そうです。本人が言うから間違えないと、言っていましたから」
「ラリックの松嶋は中井が独立すると、ラリックと東鉱油とは取引中止になり、四港鉱油だけ、納品に来ているんですよ」
「結局はサンライトが、いいとこ取りしたようなものだな」
「そのようですねぇ」
「それで四港鉱油にいた、北村部長と顔つなぎがあるのか」
「で、すね」
「それで、中井は」
「中井は東京三多摩と神奈川方面を回っています」
「うちの、神奈川営業所も取引があるんだろ」
「入っていますけど、定番はないみたいです」
「片山部長のコネが効いているのか」
「そうみたいですね。だから本部に顔出して、やたらベッタリですよ」
「それで栃木地区に来ている、中と言うのはどこから来たの」
「小山店で会った時に名刺交換をして挨拶したんですよ。本人の話だと、一年前まで、量販店業界にいたらしいですよ、それでシンワ産業㈱会社を退社して、昔倒産したイースト㈱会社の先輩だった中井と繋がりがあり、入社したそうです」
「それで店づくりがホームセンターと同じなんだな」
「それに今まで定価で売っていたけど、三割引の売価が付いていますよ」
「この業界も狭く脚抜きができないから、どこかで、誰かが、繋がっているよな」
「篠田。今度オープンする岩船店の所長は誰になるの」
「まだ、決まっていないようです」
「今度営業部の竹山さんに聞いてみな」
「分かりました」
「うちにはオープンさせるノウハウはないから、今度からオープンイベントは、担当外でも全員で手分けして手伝いに行こう。これからは休日出勤手当もつけるよ」
「嬉しいですね。それなら、やる気が出ますよ」
「誰でもタダ働きはしたくないよな」
「しかし旗振りは、したくないですね」
「あれは恥ずかしいもんなぁ~」
「それなら出入り口で交通整理をしていればいいよ」
「その代わりお客の車を誘導していて、事故だけは起こさないようにしてな」
「はい< 出来るだけ責任のないところにいますよ」
「そうしたのがいいな。頑張れよ」
「野田さんが言っていたけど、中は給油まではしないけど、テントの中でくじ引きの景品配りから、風船を膨らませたり、旗振りなどなんでもやるそうですよ」
「場数踏んでイベント慣れしているから、店もお任せなんだな」
「竹山さんや勘ちゃんなんかと朝から酒を飲みながら、大騒ぎしてパホーマンスしているそうですよ」
「うちは酒は飲むなよ。本部の印象が悪くなるからな」
「わかっています」
「それとゴマのすり方を勉強してきてな」
「それは大丈夫です」
「金曜日の初日から土・日と東鉱油のネーム入りのユニホームを着て、社員ヅラして完全に溶け込んでいますよ」
「サンライトは三次問屋だから、ウチみたいな一次問屋と違い、仕入れも高いはずだから、野田所長に見積もりリストを見せてもらって、下をくぐらせよう」
「明日行ってコピーを貰ってきます」
「事務員の米田さんに見つからないようになぁ」
「大丈夫です。米田さんと野田さんとは……親密な仲ですから」
「何。出来ているの」
「そこまでは、分からないです」
「とにかく中の敵になりそうな社員は、こちらの見方に付けろよ」
「わかっています」
「広田も配達に行ったら、店の人間にはアルバイトでも挨拶しろよ」
「ハイ。この前中に宇都宮営業所であったけど、40歳過ぎのオヤジじゃねぇ~ですか」
「だから理屈じゃなく経験とコツでプロの仕事が出来るから、怖いんだよ」
「今度会ったら、ぶっ飛ばしてやりますよ」
「バカ< そんな事をしたら内の会社が、東鉱油から出入り禁止になるよ」
「そうですかねぇ」
「お前は新人だから余計なこと考えないで、先に仕事を覚えろ」
「はい<」
「篠田。しばらく広田を同行させて、店の連中に顔見世させろ」
「篠田さん。よろしくお願いします」
「毎年新卒連中が入社してくるから、気が合えば話が通じますよ」
「野田所長の話だと、毎週泊まりで各店の所長と飲み歩いているみたいですよ」
「そうか。うちも接待しないとダメか」
「東京の人間だけあって遊びは知っているから、若い連中もタダ酒飲ませてもらって、いい思いしているらしいですよ」
「そこまでやるか」
「それに営業の竹山さんたちも、元はうち贔屓だったけど、いつの間にか中と遊び仲間になり、態度が変わり仕事の話までするようになったんですよ」
――なるほどぉ. ――
「だから新規オープンの情報も早いですよ」
「分かった。野田所長や桜田所長と連携して、うちの息のかかった連中に商品を注文するように頼んで」
「はい<<<――」
「近いうちに俺も野田に会って、今後の戦略の打ち合わせをしておくよ」
「そうしてください。お願いします」
「しかし面倒な奴が来たな。東鉱油はドル箱だからな。四港鉱油や単独店だけの売上だと、人減らしで済まなくなり、栃木営業所は閉鎖になるからな。お前らも気合を入れて行かないと、首が飛ぶぞ」
「四港鉱油には入ってないから、力入れていますよ」
「東鉱油の方が新商品も無条件で入るからな」
「そうですねぇ。一人で乗り込んで来ているから、その内他の地元の問屋と手を組んで叩き出しますよ」
「地元の問屋なら扱っている商品が違って、バッテンする事が無いからいいか」
「そうですね」
よし――
「どんな、ド汚い手を使ってでも、東京に追い返せ。分かったな」
「はい<<<<……」
「頼むぞぉ」
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