悪魔の囁き

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

第二部【悪魔の囁き】

2018-06-05 10:06:07 | 日記
第三話【陥没】


気になりだすと眠る事が出来ず、寝苦しい夜が毎日続いた。
それでも“ウトウト”しだすと、ガタイのデカイ四角くて青い顔した目玉が大きく口の裂けた筋肉隆々の魔物が出てきて、心臓に五寸釘をハンマーで打ち込まれ目が覚めた。
また、外で誰かが来る物音の気配を感じると、恐怖に震えながら眠れず、目に見えない魔物に怯えていた。
「表門の扉が開いたな。玄関のドァーが開いたな。廊下を歩く足音が聞こえたな。階段を登るキシミ音が聞けるな。誰かがこっちに向かっている」と頭の中で見ていた。
妄想が発展すると、ろくに眠れず5時頃から明るくなりだし、朝を迎える事に成った。
夜中トイレに行きたくても、ドァーを開けるのが面倒臭くなった。
起きて立ち上がる事を躊躇してしまい、有りもしない妄想に駆られると、苛立つ思いがいまいましかった。
もしかしたら誰かが凶器を持って立っていてドァーを開けてとたんに“ぐさり”と心臓を、刃物で刺される様な気がした。
ありもしない妄想が膨らむと恐ろしくて、ドァーを開ける事が出来なかった。
寝ている時は、頭は南にしていた。
首を伸ばし、南側の障子を上目で見た。
「まだ暗いなぁ~ うんざりだぁ~」
と外に明るみが出るまで、我慢してしまう事が度々あった。
風呂から上がりテレビを観ながら酒を飲んで寝ていた。
一時頃にはトイレに行きたくなり、毎晩目が覚めた。
ボーとした頭で・・・
「行こうか。行くまいか」
強気の時の自分と弱気になった自分と、心の中で格闘していた。
膀胱が“パンパン”に膨らみ下腹が痛くなるまで、小便の出るのを限界まで我慢していた。
「これ以上は無理だ。限界――」
と下半身に感じると、諦めて左手で股間を抑えて起きだした。
「何か魔物に後ろから襲はれるのでは・・・」
ありえない恐怖を背中に感じ、勇気を出してトイレに入った。
“うつらうつら”した頭の中で、便座の蓋を開けるまでは出来た。

便器に向かい・・・
一つ目小僧を両手で支えて放射していると、急に背骨に武者震いが走しった。
なにか――
左右の太腿の内側に生暖かく、むず痒い違和感をかんじた。
また、股間全体に“ジワリ・ジワリ”と広がる熱く這い出るアメーバーを感じて来た。
「何か気持ち悪いなぁ~」と眠気まなこで思っていた。
「あれぇ~ なんだぁ~」
生暖かい液体が膝まで流れて来た。
「あっ。小便を漏らしている」と足首から滴れ落ちて来た時に気がついた。
寝惚け眼でぼんやりしていために、チンポコを出した積もりだったが出ていなかった。
パジャマの中で高速ジェット放尿してしいた。
「わぁ~ いけねぇ~ やっちまった」
と目が覚めた時には下半身を後ろまで“ビショビショ”に濡らしていた。
気持ち悪さと情けなさで泣くたくなった。
パジャマを着替えたが自己嫌悪に落ちて考え込んでしまい、朝まで眠れなかった。
それからは小便も座ってする事にした。

「このまま1人悩み苦しんでいても誰も助けてくれない。何かしなくては」
と思い直した。
部屋の中にいて何もない伽藍たした空間が、自分のステータスにピッタリだった。
今までの解放感からガラリと180度回転してしまった。
やる気がなくなり、暗くなる無気力が寂しさと共に虚しくなった。
生きているのが嫌に成って来るのが体の奥底から感じ始めた。
今までのポジテムに“プラス・プラス・プラス”と念じて気持ちを立て直そうとした。
いつの間にネガティブに変わり“マイナス・マイナス・マイナス”と目に見えない・・・
【悪魔の囁き】
が、耳元に聞こえて来て落ち込むだけだった。 
「地獄に落ちろ。待っているぞ。早く来い。明日はないぞ――」
******
営業マンの価値は販売目標を120%達成して決まるのだ。
このままでは会社を首になるし、家のローンも抱えたばかりで気が遠く成る程、丸い数字が“ズラリ”と並んでいた。
「どうにかしなければ成らない」
と自分にプレッシャーを掛ける為に、無気力な頭が尚更重苦しい気持ちに敗けた。
「死にたいなぁ~ 自殺するか」と出来もしない無駄な事を考えていた。
「商売敵に餌場を荒らされる」と気持ちは前に進むが体は動かなかった。
・・・◆・・・
家が建つまでとアパートを出て、駐車場も解約してホームレスになった。
江戸川区船堀の健康ランドに泊まりリッチな気持ちで暮らしていたが、3日で飽きてしまい、かぁちゃんの家に転がり込んだ。
「もうダメだ」
「だからアパートを出るなと言ったろぅ」
「うん」
「駐車場も無いのだろ」
「そう」
「馬鹿だねぇ」
「大家のところに行って、駐車場借りてきてよ」
「しょうがないねぇ~」
「出てから3日だから、まだ空いているだろう」
「分かったよ」
「二階で寝るよ」
「食事はして来たのか」
「うん」
四畳半の二階で寝ていると、夜中に足のつま先からゆっくりと足を踏みしめて、大魔神が登ってきた。
「うぅ~・・・」とうなされていると、腹から心臓を踏みつけてきた。
「苦しい~ 息が止まる~」と脂汗を流し、目を開けた。
すると――
家に居着いたオスの野良猫が胸の上に乗り、私の顔を見下ろしていた。
「なんだ。お前か」とホットした。
次の夜中も大魔神に襲われた。
「猫のやつ、又来たか」と夢の中で考えていた。
目を開けるとやはりそうだった。

ゴローを連れて散歩をしていると、空からインドオウムがゴローの鼻面に落ちてきた。
それを見たゴローが噛み付きに行った。
私は慌ててゴローを蹴飛ばし、インドオウムを拾った。
近くで車を洗っていたオヤジさんに飼い主を聞いた。
「これどこのオウムですかね」
「分からないなぁ」との返事だったので家に持って帰った。
「ピッピ、ピッピ、ピッピ」と鳴き始めた。
「ケイコちゃん。ケイコちゃん。ケイコちゃん」
と呼んだ。
かぁちゃんと同じ名前だったので家に持っていた時は、驚き喜んでいた。
「どこに家から逃げたんだろうねぇ~」
「そのへんで聞いてみたけど、知っている人はいなかったなぁ」
「おそらく探しているかもしれないね」
「ケイコちゃん。と呼ぶから飼い主はケイコと言うんだろうな」
「近所にケイコって子はいたかね」
「この当たりでは、かぁちゃんだけだよ」
「日出男の前の家の子はケイコだけど、オウムか飼っていいなかったからね」
「誰だか分かったら返せばいいじゃない」
「そうだね。それまでうちで預かるか」
「名前はなんだろうね」
「ピッピ、ピッピと鳴くからピー助とつけておけばいいじゃない」
「そうだね」
「お前は、今日からピー助だ」
「メスかね。オスかね」
「判らないなぁ~」
「鳥かごが必要だね」
「ホームセンターに行った時に買ってくるよ」
「そうしてくれる。お金あげようか」
「いいよ」
「お腹すいているだろうから、今井のバス停の前に小鳥屋があるから“ピィ”の餌買ってきて」
「餌は何を食うのかなぁ」
「ひまわりの種だよ」
「分かった」
車で10分かけて小鳥屋に買いに行った。
「すいません」と店は開いていたが店番がいない売り場で、奥の居間に声を掛けた。
すると・・・
通勤時間に新小岩駅までのバスで毎日会う、私と同じ年代に見える、小麦色に焼けた明るい顔した女性が出てきた。
「いらしゃませ」と私の顔見て笑った。
「インドオウムの餌はどれですか」と確認で聞いた。
「ひまわりに種ですね」
「そうだと思います」
「はい」
「いくらですか」
「380円です」
「はい」と金を渡した。
「有難うございました」
どう言う飼い方をしていたのは分からないが、気の強いインドオウムで犬や猫が興味津々に覗き込むと嘴で突いていた。
また、バカな奴で、止まり木を噛み削り折れてしまい、下に落ちていた。
一日カゴの中に入れておくと運動不足になるので夕食時に家族が揃うと、部屋に出して遊ばせた。
畳の上を歩き回り家族の膝に乗って遊んでいた。
特に、妹が大好きでテレビを観ていて遊んでくれないと、甘えてなつきジャレ込んでは脚を甘ツツきした。
「痛い。バカ<」と踵落としを頭に食らっていた。
「オゥ~ 大丈夫なぁ~ 潰れてしまうよ」と心配をした。
すると・・・
やけになり、餌をくれるかぁちゃんに八つ当たりしてツツいていた。
ある日、口を開けて息が詰まったのか――
「はぁ はぁ はぁ~」と言っていた。
「どうしたんだろうね」
「具合でも悪いもかも」
「医者に連れて行こうか」
かぁーちゃんと妹で、ペットショップに持って行き診てもらった。
「判らないなぁあ。もしかすると、もうダメかもしれないですねぇ」
「そうですか――」
諦めると、獣医はあちこち検査して肛門の近くの下腹を押した。
すると中から卵が割れて出てきた。
それからインドオウムは元気になった。
「卵が詰まっていたようですねぇ」と原因を突き止めた。
これで、オスかメスか謎が?判明した。

ポルは母犬が保健所の犬殺しに捕れてしまった。
ポルは生まれて3か月なので、犬殺しに渡すのも不憫だと、かぁちゃんが育てることにした。
またトラ柄の野良ねこも母猫が死に親子で遊びに来ていたので、そのまま飼うことにした。
そして――
かぁちゃんの家は家なき子の棲家になった。
ゴローだけは建売を買ったときに番犬として、かぁちゃんが知り合いの運送会社社長の家から貰って来た茶色の毛に鼻と耳が黒い雑種犬だった。
最初はメスが一匹残っていた。
「メスじゃねぇ~」とかぁちゃんが渋った。
「そうですかぁ~ そうだ。オス犬を持っていった奥さんに聞いてもます」
と全部片付いて一安心していた社長は電話をした。
相手も快く承諾してくれて、ゴローが来た。
無芸大食の育ち盛りの犬なので、朝食べると自分の犬小屋から離れた庭のいたるところに大便を出していた。
「ゴローは大飯を喰っては庭の彼方此方に大糞しているよ」とかぁちゃんがこぼした。
「日出男が食事しているのに、そんな汚い話はするなよ」と父ちゃんは怒った。
・・・ニャハハハハハハ!!!!・・・
可愛い。可愛いで、躾が出来ていなかった。
子供がお菓子を持って通り掛かると吠えて脅かした。
子供は驚き、お菓子を捨てて逃げ行った。
お菓子を取り上げても匂いを嗅ぐだけで食べずに笑っていた。
近所の奥さんが銭湯帰りにかぁちゃんと立ち話をしていた。
奥さんがアイスキャンデーを舐めていると、体の周りを“グルグルグルグル”回りだした。
「何、ゴロー欲しいのか」
「ゴローダメだよ」
「俺によこせ」匂いを嗅いで取り上げた。
ゴローと散歩していると、子供がコロッケを持って前を歩いていた。
すると、後ろからひったくって逃げていった。
「コノヤロー< ドロボー<」と追いかけようとした。
「ぼく。ぼく。ゴメンねぇ。これで、買いなおしてねぇ」
「うん」
その度に、500円玉のワンコインを弁償代として払った。
目を離すと、ゆすり、たかり、ひったくりの弱いものいじめをしていた。
ゴローは気が小さい犬で見知らぬ人が来ると吠えて番犬として役に立った。
実家に下着泥棒が来て、妹の下着が盗まれていた。
ポルは大人しい犬で見ていても吠えなかった。
「ポルは大人しくて役に立たないからゴロー連れて行くよ」
とかぁちゃんと、一緒に下着泥棒退治に行った。
その後ろ姿はたくましく無芸大食の駄犬が、惚れ惚れする程勇ましい名犬に見えた。
それ以来、下着泥棒は来なくなった。

それから、かぁちゃんにアパートを探してもらった。
賃貸手続きを済ませ、1週間後戦前から建っている東向きの四軒連結平長屋の一日日の当たらない北側に入った。
屋根は瓦だったが、ボロ部屋で通りの北窓は壊れていて閉まらずすきま風が入り込んだ。
北側の窓には前任者が置いって行ったボロ簾がかかっていた。
部屋は6畳の居間と奥が4,5畳の寝室で隣が台所とトイレだった。
肝心な風呂は付いていなかった。
それで、家賃は礼金敷金3ヶ月分で、1ヶ月4万5千円だった。
「こんなボロ屋で4万5千円か。高いな」
「いや、お前の部屋だけがボロで、他はお風呂も付いていて綺麗なんだよ」
「どうしてなの」
「あの部屋は家を建てる人が間借りで入るから、手入れをしていないらしいよ」
「そうかぁ~」
南側の一番手前は知り合いの夫婦で男の子供4人暮らしだった。
中間は知らない人で顔を合わす事はなかった。
隣は70歳過ぎの爺さん婆さんの二人暮らしだった。
面倒臭い引越しの挨拶は、かぁちゃんにしてもらった。
4月から始めたので建てている家を見に行ったついでに、裏の山に行き筍を掘ってきて長屋の連中に、お土産で渡した。
また、回覧板などは玄関に置いていかれても何処に回していいのか分からないので、かぁちゃんにうちだけは外してもらった。
「こんにちは」
「はい」
「昨日、キミオが筍掘ってお土産で持ってきたので食べてください」
「ありがとうございます。キミオさん家を建てるのですか」
と40歳の野村の奥さんが聞いた。
「そうなんですよ」
「たいしたものですねぇ~」
「東京だった良かったんですけど、田舎ですからねぇ~」
「家を建てられればどこでもいいですよ」
「それでキミオは間借りなので回覧板は飛ばしてください」
「分かりました」
残りの2軒も回って話をした。
それでも、初めて一人暮らしをするので嬉しかった。
家に食べに行くのも億劫だったので自炊を始めた。
1人暮らしが嬉しくて酒のツマミで作っていたが2ヶ月もすると飽きてしまい、かぁちゃんの家に食べに行った。
「かぁちゃん飯食わせて」
「一人暮らしだと栄養が偏るから朝晩食べに来な」
「うん」

新居が出来たら飾ろうと東海道五十三次のパズルと作っていた。
商談でマイライフに訪問すると文房具部門にパズルが置いてあった。
「結構色々な絵柄のパズルを置いていいますね」
「このくらいアイテムがないと売れないのよ」
と文房具担当のパートの井川久子さん33歳が言った。
「ふう~ん」
「家が出来たら飾ればいいのに」
「子供の部屋ならパズルでもいいけど、客間の飾るのはどうかなぁ」
「大丈夫ですよ。高い絵を一枚買って飾るより安くても、数があった方が見栄えがするでしょう」
「そうか。一点豪華主義は流行らないか」
「そうですよ」
「なら、それもいいか。取り敢えず富士山のパズルを作ってみるよ」
と2000ピースを買ってきて作り始めた。
作り出すと、同じ色ばかりなので作くっていると目が眩んできた。
目の奥が痛くなり識別が出来なくなった。
遠くを見ては目の調節をして、青の多いところと白の多いところが飽きると移動しながら作って行った。
どうにかこうにか飽きずに、出来上がったのは1ヶ月後だった。
「井川さん。寝室の和室に飾ったけど、そんなに悪い違和感はなかったよ」
「そうでしょ」
「でも、時間がかかったよ」
「慣れれば早く作れるようになりますよ」
「こう。同色が多いのいはダメだね」
「それなら色の多い絵を選んで作ればいいんじゃない」
「そうだなぁ~」とやる気になっていた。
「これなんかどう」と東海道五十三次を出した。
「うんぅ・・・」
「色も多いしシリーズだから和室に飾ると迫力がありますよ」
「何枚あるんだっけ」
「55枚よ」
「53枚じゃないの」
「題名は東海道五十三次だけど、実際は55枚あるのよ」
「知らなかったよ」
「私も知らなかったわ」
・・・ニャハハハハハハ!!!!・・・
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「よし。挑戦してみるか」
「全部できたら、家に見に行くますよ」
「いいよ。でもカタログを見るとピースが“マチマチ”だね」
「おそらく作るときに飽きないように大きさを変えているんじゃない」
「そうかもしれないね」
「1番から順番で始めると大きいのがあるから、取り敢えず500ピースから始めたら」
「それがいいか」
家に帰るとパズルを作り始めた。
コツがわかると500ピースは1時間で終わった。
「次は1000ピースにするか」
「井川さん。500ピースだと1時間に出来るから、1000ピースを買うよ」
「そうですか」
勢いが付くと、500・1000・2000と土日祭日夜なべして作って行った。
「井川さん。ここに置いてない柄を入れておいて」
「分かりました。でも、思ったより早くなりましたね」
「外枠から組んでいって、ピースの並びが解ると簡単に出来るんだよ」
「へぇ~」
「それに、一箇所に集中していると限界が来るので、別の柄に移動して組んで行くと、いつの間にか最初の場所とつながるんだよ」
「そうなんだ――」
「この調子で行くと8月一杯で出来上がるよ」
「何ヶ月かかりました」
「6ヶ月だね」
「昨日業者が来て、東海道五十三次が出るので聞いて来たのよ」
「めったに売れないのに、50枚は注文きましたよ」
「カー用品の問屋さんが作っているんですよ」
「そうなんですか」
「55枚に挑戦しているみたいですよ」
「55枚作る人は、初めてですよ」
「出来上がったら見に行くつもりなのよ」
「可也大きい家ですね」
「そう。新築で建坪が40坪あるそうですよ」
「それなら飾れますね」
「私も楽しみにしているんであすよ」
「それなら写真を撮ってきてくださいよ」
「分かりました」
・・・◆・・・

ボロ屋も慣れてくると嫌気が差してきた。
「まぁ~ 長くても半年だから我慢するか」
私が仕事から帰ってくると、何が面白いのか裏の家のメスのトラ柄の飼い猫が遊びに来た。
可愛い猫なので玄関先で鈴のついたキーホルダーでジャラシテいた。
ガラス戸を開けると土間から中を覗いていた。
「じゃぁ~ またなぁ」とガラス戸を閉めた。
毎日帰ってくると、何か足音が聞こえたのか?気配を察したのか、隣の家から駆け出して私のところに来た。
「また来たのか」と頭を撫でた。
1月の6時すぎの暗い中、裏のおばさんたちが立ち話をしていた。
それを、猫も座って聞いていた。
私が帰ってくる足音を遠くで見ると駆け出して私のところに来た。
「ミィーちゃん。行かなくてもいいの」と飼い主のおばさんが怒った。
「なんで、あの、お兄さんが帰ってくると行ってしまうんだろうねぇ」
と奥さんたちに言った。
「前に住んでいた人も可愛がっていたんじゃない」
「でも、違う人だからねぇ」
「犬は人に付き猫は家に付くと言うから家になついたんじゃない」
「そうかもしれないわねぇ」
「ほら、かぁちゃんが呼んでいるから帰りな」と言ったが嬉しかった。
そのうちに部屋の中に入り込み遊ぶようになった。
毎日仕事から帰ってくると、外で待いて暗くても私の姿を見ると駆けてきた。
着替えて風呂屋に行くまで押し入れの中が気にいったのか?布団の上で“ゴロゴロ”しながら遊んでいた。
「これから風呂に行くから、また明日な」と一緒に外に出た。
“バイバイ”裏の自分の家に帰っていった。
今考えるとトラ猫は、私の身に危険を感じ取り・・・
「ド田舎に、行くな――」
と言っていたのかもしれない。 
******
ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
« 小金持銅銭のメインレース競... | トップ | 第二部【悪魔の囁き】 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事