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日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

日本共産党東京都議会議員の池川友一のオフィシャルブログです。地方政治の現場からいろいろと発信していきます。

自治体学校分科会「良質な公共サービスを求めて」①

2013-08-09 | 学んだこと、政策のこと

 第55回自治体学校in新潟の分科会「良質な公共サービスを求めて」についての報告・掲載します(文責はすべて池川にあります)。

 日本共産党市議団は、8月2日から4日まで新潟市民病院を視察、第55回自治体学校in新潟に参加した。ここでは、4日におこなわれた自治体学校分科会のうち「良質な公共サービスを求めて」について報告する。

(はじめに)

 基調講演は、『新 自治体民営化と公共サービスの質』『PFI神話の崩壊』(共著)などを執筆している尾林芳匡弁護士。

 「民営化などで何か、自治体の現場にいいことがあるのか」──こうした問題提起からはじまったが、民営化などによってもたらされているのは、現場の担い手は、非正規や派遣に置き換えられ、サービス低下が起こっているという現実が結論となっている。また、経済界が「ビックビジネス」として指定管理者制度などをとらえたという事実もある。

(1)総論

 「自治体民営化」に関連する法律は以下のとおりである。
 1999年 PFI法
 2000年 構造改革特区法
 2003年 公の施設の指定管理者(地方自治法改正) 地方独立行政法人法
 2006年 市場化テスト法
 2009年 公共サービス基本法 (野田市公契約条例)
 2011年 総合特区法 PFI法改正

 これらの法律などによって、公共公務サービスのあり方が大きく変えられてきたが、尾林弁護士はこれらの法律によって現場でどういうことが起こっていくのかについて2つの表で表すことができるとしている。それが、以下の2つの表である。

Obayashi_glf1

 (表1)は、制度のあらまし。分野ごとに営利企業が参入できるように(規制緩和)。地域限定で営利企業が参入(特区)。施設建設・所有を営利企業に(PFI)。施設管理(指定管理)。職員(非正規)。自治体と営利企業の間に、独立行政法人がある。こうした構造である。

 (表1)では、自治体が本来おこなう公共サービスが左側であり右側に向かうほどそこから遠のいていくということである。一つ注目したいのは、営利企業よりもNPOを表の右側に位置づけるということ。ボランティアで活動されている方々はとても熱心であるが、行政としては最低賃金法にも引っかからない安い労働力としての側面がある。尾林弁護士曰く「どんな悪徳ワンマン社長になっても、最低賃金法は守らなければ罰せられる。しかし、行政文書の中に『新しい公共空間』『民と官の共同』『市民協働』の言葉によって最低賃金以下で働かせることができ、行政責任の後退させている現実がある」という。

 また、(表1)では、市場化テストについて民営化や事業の廃止の手法として使われていることがよくわかる。市場の競争といわれる実態は、行政が公開している人件費コストなどを見て、民間営利企業は同じサービスでコストを下げるとなる。これも尾林弁護士曰く「相手の手札を片方が見てババ抜きをやるのと同じ」という。矢印は一方通行であり、逆の方向に進むことはない。

 公務労働の現場でも非正規労働者の問題は深刻になっているが、営利企業に任せると間違いなく大規模に非正規への置き換えが起こる。そのことを表にしたのが(表2)である。

Obayashi_glf2

 自治体(左列)がやる場合には、物的経費と人的経費が必要となる。一方、営利企業(右列)の場合は、物的経費と人的経費に加えて利益を生み出さなければならない。物的経費は大規模に削減することはむずかしいとすれば、「営利を目的」とする営利企業は利益を出すためにこうした制度を利用する。利益が出なければ、株主などに訴えられる可能性さえあるので撤退することになる。

 これらが自治体民営化の正体であり、経済界がビジネスチャンスを求めて、自治体業務に参入してきたのはとにかく利益を上げたいという衝動からである。経済学的に説明すれば、公共サービスの現場に強度の搾取を持ち込んでいくことになる。

 また、地方自治体の限られた財政でおこなわれる事業の利益が東京などの本社に集中していくという問題がある。これまでの公共サービスは、消費活動や納税活動が循環していた。しかし、自治体民営化は地域経済が破壊され、税金が地域から流出していくことが起こる。総務省が調査した「今後の行政改革のあり方について」(1012271)のなかでも辛辣な意見が多数ある。

 現在、道州制や分権改革などが急速に叫ばれているが、これらは経済界の衝動に基づくものであるという視点が重要である。道州制は、国の仕事を最小限にして福祉・教育・医療などを州任せにすることであり、それらは地域の財政力に限定されることになる。

(つづく)

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