■ 『古手屋喜十 為事覚え』宇江佐真理/新潮文庫を読み終えた。
昨日(23日)の朝カフェ読書@いつものスタバで『雪まろげ 古手屋喜十 為事覚え』宇江佐真理/新潮文庫を読み始めた。
主人公の喜十は女房のおそめとともに浅草田原町で古手屋を営んでいる。古手屋は着物のリユース・ショップ。江戸時代、庶民は新品の着物にはとても手が出なかったようで、古手屋で買うのが一般的だったという。
北町奉行所隠密廻り同心の上遠野平蔵は変装用の衣装を喜十の店で借りている。その縁で、喜十は上遠野が持ち込む事件の解決を手伝っている。被害者が身に着けていた着物が事件解決の手がかりになることもあったりするわけで。
カフェで読んだ第一話の「落ち葉踏み締める」には涙が出た。
喜十夫婦には子供が無く、店先に捨てられていた赤ん坊を我が子として育てている。読み終えた前作の「糸桜」にはこの経緯が描かれていた。「落ち葉踏み締める」は赤ん坊を捨てた家族の物語。その家族の悲劇が描かれる。
父親を亡くした新太少年はしじみを採って家計を助けている。下に5人も弟や妹がいて生活は大変。
**「捨吉をどこかに置いてきておくれよ。いつまで経っても乳をねだるんで、あたしはほとほと愛想が尽きたんだよ」と、うんざりした表情で言った。
「おいらにゃできない」
新太は唇をきつく噛んでから応えた。
「そいじゃ、手っ取り早く川に流すかえ。育てられない子供を川に流す所もあるらしいからさ」**(15、6頁)
それで新太はやむなく末っ子の捨吉を喜十の店先に置き去りにする。喜十のところにはしじみを売りに行ったことがあったのだった。
読み進むと驚きの悲劇が待っていた・・・。
第二話以降、どんな物語が描かれているのだろう。