透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

分かりにくい表現

2012-03-20 | A あれこれ

 道路標識や施設内の案内板、商品の取り扱い説明書、カタログ等々に「分かりにくい表現」があふれている。

開館間もない公共施設で、トイレの位置を示すサインが分かりにくいのか、「トイレ」という文字と「→」を紙に書いて張りだしてあったりすることがある。こんな光景を目にすれば、設計者はがっかりするだろう。

こんな時には、利用者の空間認識能力にも問題があると、設計者は言いたくなるのではないか。ただ、以前より施設内の案内表示は改善されていて、例えば大きな病院でもあまり戸惑うことなく、目的の部屋まで行くことができるようになったのも事実だ。廊下の床に数本の線が引かれていて、例えば赤い線を辿ると病室、黄色い線を辿ると診察室というように、目的の部屋に行くことができるような工夫がされていたりもする。

*****

昨日(19日)、4人で千葉県市原市まで車で出張した。 ♪運転手は君だ、車掌は僕だ、じゃない、助手席は僕だ、というポジションだった。松本から千葉まで行く場合、首都高速を通ることになるが、おのぼりさんには車についているカーナビの案内だけではどうも分かりにくい。それで僕は助手席でカーナビの情報を補う役をした。



下調べをして道路名くらいは頭に入れておくべきだった、と反省している。でも、でもだ。道路標識が分かりにくいことに文句を言いたい。

**情報の送り手は、受け手の人物像、プロフィールを設定し、それに応じた表現を選ばなければなりません。**(『「分かりやすいい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール』藤沢晃治/ブルーバックス 58頁) そう、道路標識にはどのような情報が求められるのかということと、その情報を分かりやすく伝えるにはどう表現すればよいか、ということをもっと研究して欲しい。

千葉から松本に帰る場合、首都高速の標識に示して欲しい情報は銀座だ箱崎だといった都内の行き先情報ではなく、中央自動車道への案内だ。どうもこのような情報のニーズがあることをきちんと把握できていないような気がする。もっとも、かなり新宿に近づいたところで、ようやく中央道や東名高速の案内もあったが。

確か映画の字幕には10文字くらいというルールがある。瞬間的に読みとることができるのはこのくらいの文字数だと言われているのだ。このような知見が、道路情報には活かされていない。2行にもなるような電光表示の文字を高速走行中に読みとることができるはずがない。助手席の僕がそうだったのだから、運転者はもっと困難なはずだ。

先に挙げた病院のように、道路上に色の違う線を引いて欲しいなどと言うつもりは、もちろんない。高速走行中、一瞬で情報が分かるような工夫、例えば中央自動車道なら「中央道 CHU ↑」東名高速道路なら「東名 TOM ↗」というような分かりやすい表示を考えるべきではないのか。このような表示を車線変更を要する地点にきちんと表示することだ。

帰路、運転手・Mくんの的確な判断がなければ、銀座方面へ迷い込んだかもしれない・・・。


 松本→長野自動車道、中央自動車道、首都高速4号新宿線、首都高速9号深川線、首都高速湾岸線、東関東自動車道、京葉道路→蘇我