透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

249 経済性?

2012-02-01 | A 火の見櫓っておもしろい

 
249 塩尻市洗馬(下小曽部)

 子どもの絵本などに載っている「かくし絵」。この絵の中に森の動物が5ひきかくれています。さがしてみましょう。この類の絵ですよね。絵をよく見ると茂みに同化していてよく分からないウサギとか、木の枝に同化している小鳥などが姿を現します。

この火の見櫓もすぐ後ろの柿の木に同化していたのか、それともボクがどうかしていたのか、今まで気がつきませんでした。このような簡素なつくりの火の見櫓を時々見かけます。このくらいの高さなら、屋根と見張り台のあるオーソドックスな姿・形の火の見櫓もあります(写真下)。


塩尻市洗馬岩垂

両者比較すると当然簡素な火の見櫓(写真上)の方が経済的なわけで、予算によって地元の人たちがどんな火の見櫓にするか決めたと考えるのが妥当かと。他に例えば立地条件によって屋根や見張り台付きだったり、簡素なものだったりしたことって、あったんでしょうかね~。


 


ブックレビュー 1201

2012-02-01 | A ブックレビュー





■ 鄙里は寒い。 おとといの朝7時過ぎの外気温は-14℃、昨日は-11℃だった。 

今日から2月。1月のブックレビュー。

北杜夫の長編小説『楡家の人びと』新潮文庫を再読した。斎藤(北杜夫)一族の三代にわたる個性的な人物をモデルにした小説。茂吉も当然主要な人物(徹吉)として登場する。ただ、歌人としては全く描かれておらず、医学者としてのみ描かれている。

徹吉(茂吉)がドイツ留学中に地元の新聞に「日本大震災」と報じられた関東大震災が起こる。**地震は九月一日の早朝に起り、東京横浜の住民は十万人死んだ。(中略)熱海、伊東の町はまったく無くなった。富士山の頂が飛び、大島は海中に没した・・・・・。** 記事を読んだ徹吉は**今ここに海を越えて遥かへだたっている自分はどうしたらよいのか?楡病院、――病院も崩壊したにちがいない。家族の者で、一体何人が生き残っているだろう?一体誰と誰が生き残ったのか?それとも?**(上巻216、217頁)と感情をかき乱される。小説はいつ、どのような状況で読むかで印象に残る場面も変わる。

大正から昭和、太平洋戦争後までの日本。大きな時代の流れの中、楡家の人びとそれぞれの生き様。

『ケガレ』波平恵美子/講談社学術文庫 様々な民俗的営みに表れ出る「ケガレ」の諸相。それは西洋の近代知、論理的な思考には不向きな対象か・・・。

『脳の風景』藤田一郎/筑摩選書 可視化された脳の現代アートな世界。脳内の「風景」から読み解く脳の機能。

『風景学入門』中村良夫/中公新書 総じて中公新書は内容が濃い。「風景学」という知識体系構築へのアプローチ。


『楡家の人びと』新潮文庫は今は三巻になっている。