福岡バースデー・ナイト
来し方行く末――日本語書体八策を語る

日時 2023年5月9日
場所 福岡・bunshodo hotel
2023年のGWは、出身校の岡山県立和気閑谷高校、九州産業大学芸術学部を巡ることを思いつきました。5月7日に、まず東京駅から「のぞみ31号」で岡山駅まで乗り、途中下車して和気駅へ向かい、翌日に岡山県立和気閑谷高校を訪問。9日に、岡山から博多まで「さくら551号」に乗り、途中下車して九産大前駅に向かい、九州産業大学芸術学部を訪問しました。
福岡では博多駅前のbunshodo hotelに宿泊しました。もともとは文照堂という書店だった場所に建てられています。書店としての歴史と役割を受け継ぎ、ゆったりとした宿泊を愉しむことができるというコンセプトのホテルです。
5月9日は私の69歳の誕生日です。ということで、bunshodo hotelの一室から、[福岡バースデー・ナイト]という架空のオンライン・セミナーをお届けします。

第一部 安土桃山・江戸/南宋・元
さきがけ龍爪・ひふみ陳起・ばてれん志安
はじめに江戸時代の国学の刊本(木版印刷)から二冊を選び出しました。1冊目は伴信友著『仮字本末』、2冊目は平田篤胤著『神字日文伝』です。『仮字本末』から「さきがけ」、『神字日文伝』から「ひふみ」という和字書体を制作しました。
これらと組み合わせる漢字書体は、どちらも宋代の刊本(木版印刷)の字様、すなわち宋朝体です。「さきがけ」には四川刊本『周礼』をベースにして制作した「龍爪」を組み合わせ、「ひふみ」には浙江刊本『南宋羣賢小集』をベースにして制作した「陳起」を組み合わせました。それぞれ「さきがけ龍爪」、「ひふみ陳起」として発売しています。
「さきがけ龍爪」



「さきがけ」は、2005年に「和字書体三十六景第三集」のなかの一書体として発売されていました。これに、漢字書体「龍爪」、欧字書体「K.E.Aries」を加えたのが「KOさきがけ龍爪M」です。漢字書体「龍爪」、欧字書体「K.E.Aries」は独立した活字書体としては発売されていません。
「ひふみ陳起」



「ひふみ」は、2019年に「和字書体十二勝」のなかの1書体として発売しました。これに、漢字書体「陳起」、欧字書体「K.E.Aries」を加えたのが「KOひふみ陳起M」です。「KOひふみ陳起M」は、「KOにしき陳起M」、「KOこみなみ陳起M」とともに販売が開始されました。
つづいて取り上げるのが、安土桃山・江戸時代初期の古活字版、キリシタン版と嵯峨本です。キリシタン版『ぎやどぺかどる』をベースにして「ばてれん」という和字書体を制作、嵯峨本『伊勢物語』をベースにして「さがの」という和字書体を制作しました。
和字書体「ばてれん」に組み合わせる漢字書体として元代の福建刊本『分類補註李太白詩』をベースにして「志安」を制作し、「ばてれん志安」として発売しています。和字書体「さがの」に組み合わせる漢字書体は中国の刊本から見つからなかったので、日本の江戸時代の刊本(木版印刷)『御家流千字文』をベースに制作した「臨泉」と組み合わせることにしました(「さがの臨泉」は未制作です)。
「ばてれん志安」



「ばてれん」は、2003年に「和字書体三十六景・第二集」(2003)のなかの1書体として発売した。これに、漢字書体「志安」、欧字書体「K.E.Libra」を加えたのが「KOばてれん志安M」である。
第二部 明治・大正・昭和/明・清
きざはし金陵・さくらぎ蛍雪・ほくと武英
まず明治時代の書籍(活字版)から2冊を選び出しました。1冊目は『長崎地名考』、2冊目は『富多無可思』です。『長崎地名考』から「きざはし」、『神字日文伝』から「まどか」という和字書体を制作しました。
これらと組み合わせる漢字書体は、どちらも明代の刊本の字様すなわち明朝体です。「きざはし」には『南斉書』をベースにして制作した「金陵」を組み合わせ、「まどか」には毛氏汲古閣『宋名家詞』をベースにして制作した「毛晋」を組み合わせました。前者は「きざはし金陵」として発売しています(「まどか毛晋」は未制作です)。
「きざはし金陵M」



和字書体「きざはし」に、漢字書体「金陵」、欧字書体「K.E.Taurus」を加えたのが「KOきざはし金陵M」である。漢字書体「金陵」、欧字書体「K.E.Taurus」は独立した活字書体としては発売されていない。
つぎに大正時代の教科書(木版印刷)です。『尋常小学修身教範巻四』をベースにして「さくらぎ」という和字書体を制作しました。これに組み合わせる漢字書体として、清代の刊本、揚州詩局『欽定全唐文』を「蛍雪」を制作し、「さくらぎ蛍雪」として発売しています。
もうひとつ、昭和時代の書籍(活字版)『新考北海道史』をベースにして「ほくと」という和字書体を制作しました。「ほくと」と組み合わせる漢字書体として清代の銅活字本『古今図書集成』をベースにして「武英」を制作し、「ほくと武英」として発売しています。
「さくらぎ蛍雪」



「KOさくらぎ蛍雪M」は、「KOまどか蛍雪M」「KOはなぶさ蛍雪M」とともに、2006年3月に発売した。その際、欧字書体は K.E.Virgo-Medium ではなく、 K.E.Taurus Medium と組み合わせた。
「ほくと武英」



「ほくと」は、2005年に「和字書体三十六景・第三集」のなかの1書体として発売した。これに、漢字書体「武英」、欧字書体「K.E.Cancer」を加えたのが「KOほくと武英M」である。
第三部 明治・大正・昭和/晋・北宋
くらもち銘石・みなもと方広
第三部は、小見出し用の書体として制作したふたつの書体を取り上げます。
ひとつ目は、明治時代の東京築地活版製造所活版見本に掲載された「五号二分ノ一ゴチックひらがな」をベースにして、もともとは半角だったのを全角にして制作した「くらもち」です。これに組み合わせる漢字書体として、東晋時代に磚に刻まれた墓誌銘(銘石体)である『王興之墓誌』をベースにして、その名もずばり「銘石」を制作し、「KOくらもち銘石B」として発売しています。
もうひとつは、明治時代の書物『新撰讃美歌』の見出し書体をベースにして制作した「みなもと」という和字書体です。これに組み合わせる漢字書体として、北宋時代の仏教経典『大方廣佛華巖経』をベースにして「方広」を制作し、「みなもと方広」として発売しています。
「くらもち銘石」



和字書体「くらもちM」は、「和字書体三十六景第四集」(2008年)のなかの一書体として発売した。「KOくらもち銘石B」は、「KOくれたけ銘石B」「KOくろふね銘石B」とともに、2012年3月に発売した。このとき、和字書体「KOらもちB」、「KOくれたけB」「KOくろふねB」を新たに制作した。
「みなもと方広」



「みなもとBK」は、和字書体十二勝(2019)のなかの一書体として発売された。これに、漢字書体「方広BK」、欧字書体「K.E.Pisces-Black」を加えたのが「KOみなもと方広BK」である。「みなもと」のほか、「和字書体十二勝」の「たまゆら」、「和字書体三十六景・第二集」に含まれている「ことのは」に、漢字書体「方広」、欧字書体「K.E.Pisces」を組み合わせる。
来し方行く末――日本語書体八策を語る

日時 2023年5月9日
場所 福岡・bunshodo hotel
2023年のGWは、出身校の岡山県立和気閑谷高校、九州産業大学芸術学部を巡ることを思いつきました。5月7日に、まず東京駅から「のぞみ31号」で岡山駅まで乗り、途中下車して和気駅へ向かい、翌日に岡山県立和気閑谷高校を訪問。9日に、岡山から博多まで「さくら551号」に乗り、途中下車して九産大前駅に向かい、九州産業大学芸術学部を訪問しました。
福岡では博多駅前のbunshodo hotelに宿泊しました。もともとは文照堂という書店だった場所に建てられています。書店としての歴史と役割を受け継ぎ、ゆったりとした宿泊を愉しむことができるというコンセプトのホテルです。
5月9日は私の69歳の誕生日です。ということで、bunshodo hotelの一室から、[福岡バースデー・ナイト]という架空のオンライン・セミナーをお届けします。

第一部 安土桃山・江戸/南宋・元
さきがけ龍爪・ひふみ陳起・ばてれん志安
はじめに江戸時代の国学の刊本(木版印刷)から二冊を選び出しました。1冊目は伴信友著『仮字本末』、2冊目は平田篤胤著『神字日文伝』です。『仮字本末』から「さきがけ」、『神字日文伝』から「ひふみ」という和字書体を制作しました。
これらと組み合わせる漢字書体は、どちらも宋代の刊本(木版印刷)の字様、すなわち宋朝体です。「さきがけ」には四川刊本『周礼』をベースにして制作した「龍爪」を組み合わせ、「ひふみ」には浙江刊本『南宋羣賢小集』をベースにして制作した「陳起」を組み合わせました。それぞれ「さきがけ龍爪」、「ひふみ陳起」として発売しています。
「さきがけ龍爪」



「さきがけ」は、2005年に「和字書体三十六景第三集」のなかの一書体として発売されていました。これに、漢字書体「龍爪」、欧字書体「K.E.Aries」を加えたのが「KOさきがけ龍爪M」です。漢字書体「龍爪」、欧字書体「K.E.Aries」は独立した活字書体としては発売されていません。
「ひふみ陳起」



「ひふみ」は、2019年に「和字書体十二勝」のなかの1書体として発売しました。これに、漢字書体「陳起」、欧字書体「K.E.Aries」を加えたのが「KOひふみ陳起M」です。「KOひふみ陳起M」は、「KOにしき陳起M」、「KOこみなみ陳起M」とともに販売が開始されました。
つづいて取り上げるのが、安土桃山・江戸時代初期の古活字版、キリシタン版と嵯峨本です。キリシタン版『ぎやどぺかどる』をベースにして「ばてれん」という和字書体を制作、嵯峨本『伊勢物語』をベースにして「さがの」という和字書体を制作しました。
和字書体「ばてれん」に組み合わせる漢字書体として元代の福建刊本『分類補註李太白詩』をベースにして「志安」を制作し、「ばてれん志安」として発売しています。和字書体「さがの」に組み合わせる漢字書体は中国の刊本から見つからなかったので、日本の江戸時代の刊本(木版印刷)『御家流千字文』をベースに制作した「臨泉」と組み合わせることにしました(「さがの臨泉」は未制作です)。
「ばてれん志安」



「ばてれん」は、2003年に「和字書体三十六景・第二集」(2003)のなかの1書体として発売した。これに、漢字書体「志安」、欧字書体「K.E.Libra」を加えたのが「KOばてれん志安M」である。
第二部 明治・大正・昭和/明・清
きざはし金陵・さくらぎ蛍雪・ほくと武英
まず明治時代の書籍(活字版)から2冊を選び出しました。1冊目は『長崎地名考』、2冊目は『富多無可思』です。『長崎地名考』から「きざはし」、『神字日文伝』から「まどか」という和字書体を制作しました。
これらと組み合わせる漢字書体は、どちらも明代の刊本の字様すなわち明朝体です。「きざはし」には『南斉書』をベースにして制作した「金陵」を組み合わせ、「まどか」には毛氏汲古閣『宋名家詞』をベースにして制作した「毛晋」を組み合わせました。前者は「きざはし金陵」として発売しています(「まどか毛晋」は未制作です)。
「きざはし金陵M」



和字書体「きざはし」に、漢字書体「金陵」、欧字書体「K.E.Taurus」を加えたのが「KOきざはし金陵M」である。漢字書体「金陵」、欧字書体「K.E.Taurus」は独立した活字書体としては発売されていない。
つぎに大正時代の教科書(木版印刷)です。『尋常小学修身教範巻四』をベースにして「さくらぎ」という和字書体を制作しました。これに組み合わせる漢字書体として、清代の刊本、揚州詩局『欽定全唐文』を「蛍雪」を制作し、「さくらぎ蛍雪」として発売しています。
もうひとつ、昭和時代の書籍(活字版)『新考北海道史』をベースにして「ほくと」という和字書体を制作しました。「ほくと」と組み合わせる漢字書体として清代の銅活字本『古今図書集成』をベースにして「武英」を制作し、「ほくと武英」として発売しています。
「さくらぎ蛍雪」



「KOさくらぎ蛍雪M」は、「KOまどか蛍雪M」「KOはなぶさ蛍雪M」とともに、2006年3月に発売した。その際、欧字書体は K.E.Virgo-Medium ではなく、 K.E.Taurus Medium と組み合わせた。
「ほくと武英」



「ほくと」は、2005年に「和字書体三十六景・第三集」のなかの1書体として発売した。これに、漢字書体「武英」、欧字書体「K.E.Cancer」を加えたのが「KOほくと武英M」である。
第三部 明治・大正・昭和/晋・北宋
くらもち銘石・みなもと方広
第三部は、小見出し用の書体として制作したふたつの書体を取り上げます。
ひとつ目は、明治時代の東京築地活版製造所活版見本に掲載された「五号二分ノ一ゴチックひらがな」をベースにして、もともとは半角だったのを全角にして制作した「くらもち」です。これに組み合わせる漢字書体として、東晋時代に磚に刻まれた墓誌銘(銘石体)である『王興之墓誌』をベースにして、その名もずばり「銘石」を制作し、「KOくらもち銘石B」として発売しています。
もうひとつは、明治時代の書物『新撰讃美歌』の見出し書体をベースにして制作した「みなもと」という和字書体です。これに組み合わせる漢字書体として、北宋時代の仏教経典『大方廣佛華巖経』をベースにして「方広」を制作し、「みなもと方広」として発売しています。
「くらもち銘石」



和字書体「くらもちM」は、「和字書体三十六景第四集」(2008年)のなかの一書体として発売した。「KOくらもち銘石B」は、「KOくれたけ銘石B」「KOくろふね銘石B」とともに、2012年3月に発売した。このとき、和字書体「KOらもちB」、「KOくれたけB」「KOくろふねB」を新たに制作した。
「みなもと方広」



「みなもとBK」は、和字書体十二勝(2019)のなかの一書体として発売された。これに、漢字書体「方広BK」、欧字書体「K.E.Pisces-Black」を加えたのが「KOみなもと方広BK」である。「みなもと」のほか、「和字書体十二勝」の「たまゆら」、「和字書体三十六景・第二集」に含まれている「ことのは」に、漢字書体「方広」、欧字書体「K.E.Pisces」を組み合わせる。


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