typeKIDS

書物と活字の懇話会

白澤書体:新人研修のカリキュラムとして

2016年06月16日 | typeKIDS_Workshop
私(今田)が新入社員として、株式会社写研に就職したのは今から40年前の1977年4月1日のことだった。一週間の新入社員教育期間(会社概要とか就業規則とか)を終えてから原字制作の職場に配属された。すぐに仕事につくのではなく、約3ヶ月間にわたって研修をうけることになった。
その研修で、最初に実習したのは石井細明朝体である。まず石井細明朝体の書体見本が配られた。この書体見本は仮想ボディ48mmサイズで、基準となる12文字が並べられている。部首、画数などの参考となる代表的な字種である。これを観察して、課題の字種を描いていくのである。
もうひとつ実習したのは石井太ゴシック体である。書体見本12字に合わせて、この8字を練習した。この8字はすでにあるのだが、もちろんそれを見ることはできない。同じ書体を、同じ書体見本に合わせて、新入社員3名が同じ文字を描く。最初は石井太ゴシック体とは違うものになってしまうが、いろいろ指導をうけていくうちに、石井太ゴシック体となっていくのである。



今このときに制作した原字(写真)をみると、まだまだ力不足だったと思うが、当時としては精一杯やった結果である。この新人研修のカリキュラムが、私にとっての書体制作の原点となっている。私だけではなく、写研の原字制作部門に配属されたすべての社員が経験しているので、同じような原字を保存しているはずである。そして、これらの原字からテスト文字盤を製作、テスト印字まで行われた(残念ながら、これらは持ち帰ることは認められなかった)。
その会社の書風に染まってしまうという人がいるが、そのようなことはない。書体見本のイメージでほかの文字を描くということであって、課題に石井細明朝体と石井太ゴシック体が与えられたということである。岩田明朝体やモトヤ明朝体であれば、その書体に合わせるということだ。

この新人研修のカリキュラムが、原字制作の初心者にとって、今でも有効な方法だと私は思っている。TypeKIDSに学生が参加することになって、写真植字用の文字盤をつくるというプロジェクトということにして、この新入社員教育のカリキュラムを実践してみることにした。
課題として(石井細明朝体と石井太ゴシック体というわけにもいかないので)新しく試作しているのが「白澤中明朝体」「白澤太ゴシック体」「白澤太アンチック体」である。この書体見本12文字を、48mm角のフィルムに原字をデザインしてみた。

白澤中明朝体



白澤太ゴシック体



白澤太アンチック体




かつての新人研修のときには、毎日8時間で3ヶ月みっちりできたのだが、typeKIDSでは、毎月2時間ほどだけである。これではなかなか完成できるわけがない。長期になると飽きてもくる。自分の作品をつくるというのでもなく単なる練習なので、モチベーションを保つのも難しい。
それでもなんとか写真植字用の文字盤をつくり、印字物をつくるという体験ができればと思っている。
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