美容室で「ワイルドな感じにしてください」って言ったらスギちゃんみたいにされたぜぇ。
夜道、コートの男に尾けられていることに気が付く。
気味が悪いので携帯電話で誰かと話しているふりをしていると、
どこにも通じていないはずの受話口から声がした。
「なに小細工してんだよ」
電線を渡って友だちと海に向かう。
私たちは慣れたもので、細い綱の上もするする歩く。
風に潮のかおりが混じり始めて、江ノ島はもうすぐそこにまで迫っていた。
膝上まで濁水に浸かっていて不快だ。
濡れたジーンズは重くて仕方がない。
足首にすがりついてくるたくさんの手のようなものを振り払いながら進む。
不快だ。