エッセイ 加齢
18年使ったコンロを取り替えた。
別に悪くなった訳ではないのだが、魚を焼いた後、少々の掃除では匂いが取れなくて、焼魚が面倒になっていた。
それと、消し忘れ防止がないことが不安だった。
出かけた直後、ガス栓をきちんと止めたか心配になって、何度か家に戻ったことがある。
3~4年前から、「ドキッ」とすることが増えた。
魚が丁度良い具合に焼けたので、皿に取りコンロの蓋を締めて、ガス栓を止めるのを忘れる。
食事をしている最中に「ガスの所から煙がでているよ」と夫に言われるまで気づかないこともあった。
「コンロを変えなきゃ」という話を時々していた。
IHのコンロは、火が無いので安全らしいが、慣れない器具は億劫な気がした。
やっぱりガスかなと、インターネットで検索をする。
器具や工事費の割引率の格差が大きい、何を基準にしたら良いか分かりにくい。
ネットで注文して工事まで頼んでもいいのか不安だった。
あるサイトで、渋谷にショールームがあると知り行ってみた。
小さな店だったが、担当者が的を得た説明をしてくれたし実物を見た事で、コンロは決まった。
この際だから前々から気になっていた、使う事の少なくなった食器洗浄機の取り外しと、
水跳ねするシンクの蛇口を替える工事も頼んだ。
昨年階段から落ち、体の衰えを知ってショックを受け、手すりを取りつけた。
又ロフトに上がる梯子を止め、階段を作り、外の入口近くも、足元を照らす小さな街灯をつけた。
こんな実用的な出費は10年前だったら考えられない。
あの頃はそんな余裕があったら、新しい家具やカーテンなど、部屋を飾ることに使っていたかもしれない。
病院に行くと言われる加齢、体ばかりではなく、住まいも年を重ねてくると、あちこち不自由になる。
課題 【加・減・乗・除】
先生の講評 住宅の老朽を体の加齢にたとえる、エスプリがある。
他人事ではないエピソードだらけだ。
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