つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ・寝る犬

2009-05-18 18:26:51 | エッセイ

 エッセイ・寝る犬    

わが家には小型犬種の老犬がいる。いつも寝ている。歳をとると、
動物はこんなに寝るのだろうかと思うほどよく寝ている。あまり
寝てばかりいると、身体も脳にも良くないので、暖かい日中に、
散歩に連れ出すようにしている。

以前は、「散歩」と言う言葉には、敏感に反応した。「さ・ん・
ぽ」と、イントネーションを変えて言っても、目を輝かせ、ちょ
こっと首をかしげ、「私、うれしい」と言わんばかりだったのだ
が、最近はどうでもいいという仕草をする。やっと連れ出しても、
すぐに帰ろうとするので、適当な所までは抱いていく。中年太り
をした体重は結構重たいが、両手で抱きかかえて、いろいろ話か
ける。ときどき「フウ―ン」と言って鼻を鳴らす。

犬は、一年程前から白内障で、余り目が見えない。下ろされた所
を一寸だけ見渡して、すぐに帰り道をさがし始める。折角来たの
だから少し遊んで欲しいのに、リードをぐんぐん引っ張って帰っ
てきてしまう。

昼間は玄関前の部屋で寝ている。冬は小さなアンカも入っている
お気に入りの場所だ.

嫌いなことは、留守番らしい。出かける支度を始めると、私に背
を向け、ガラス戸越しに、庭をジッと見て我慢している。こんな
時は、話しかけても知らん振りだ。「行ってきます、待っていて
ね」と背中をさすりながら声をかけると、ようやく振り返って、
玄関まで見送りに来る。
私は、大きな声で「行ってきます」と言う。

 玄関を出てから、忘れ物に気づくことがある。鍵をガチャガチ
ャといわせてドアを開けると、見送りを終えた犬は、やれやれ用
事は済んだといわんばかりに、すでに自分の寝床に入っている。
が、玄関に立っている私の姿に気がついて、吃驚したように首を
もたげる。「忘れ物」と声をかける。

これをもう一度することがある。その時は「何やってるの?」と
いわんばかりの表情をされる「ごめんね、又忘れちゃった」

 

コメント
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