音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

ソニーロリンズVol.2 (ソニー・ロリンズ/1957年)

2010-10-03 | ジャズ


ソニー・ロリンズというと、真っ先に思い出すアルバムは「サキソフォン・コロッサス」だと言う人が多いと思う。実は私もそうだ。だが、一瞬、このアルバムのジャケット、シルエットのパックの色は何色だったっけ、と考えてしまうこの作品よりも、ジャケットのインパクトで群を抜いているのが、このブルーノートレーベル盤である。だからこのアルバムはジャケットも含めると一番好きなアルバムなのだ。

ソニーはサックス奏者としては同世代のコルトレーンと人気、実力共に二分している。また、ハードバップのサックス奏者としては第一人者であると言って良い。しかし、コルトレーンというのはどちらかと言うと、マイルスやモンクという言わば「巨匠グループ」であるのに比べ、ソニーは言ってみれば個性派である。このアルバムはまたメンバーが私好みなのであるが、モンクやブレイキーを差し置いてここでは何と言ってもジェイジェイ・ジャクソンのトロンボーンが良い。例えば1曲目の「ホワイ・ドント・アイ」は思いっきりハードバップな内容なのだが、トロンボーンが入るだけでこんなに分かりやすい曲に変わってしまうところがセッションの巧みさなんだと思う。また2曲目はアート・ブレイキーが良い。勿論ベースはチェンバースだから、この辺りのリズムセクションは実に安定しているところへ、ソニーがドラムに寄ったり、ベースに寄ったり、或いはその間を巧みにぬっていたりという表現で良いのだろうか、つまりはピアノがこの間ずっとひとりでパッキングを担当しているような掛け合い。ここのピアノはホレスだろうが、何というか実に巧妙に目立たないようにと、これが、ジャズ・メッセンジャーズの実力なのだろうか。そして最後まで、この安定しているのだがスイングスイングしている船の上で乗りまくっているソニーがやっぱり一番目立っているのだ。「ミステリオーソ」は当然、モンク。このモンクのイントロってなんでこんなに感動してしまうのかと思うピアノの出だしは、とても素晴らしい前2曲の余韻に浸っていられないというタイミングで出てくる。単に私がモンク好きなのだからかその辺りについてはこのアルバムについて他人と語り明かしたことがないから分からないが、いずれにしてもモンクは実に分かりやすいし、別格なのだ。しかしこの曲の魅力はそれだけでなく、モンクのピアノソロが終わると、ホレスに選手交替し、一転してファンキーなサウンドに変わる。うーん、凄い。ソニーは名作が多いのだが、私は最初の3曲だけでも、もしかしたらこのアルバムがジャケット加点を含めなくても一番なのかもしれない。無論、残りの曲もとてもゴージャスなのだから聴きごたえ満点の作品である。

そもそもこのアルバムを知ったのは冒頭にも書いたが、このジャケットをそのままリメイクした(というかそのもの)ジョー・ジャクソンのアルバムを聴いていたとき、友人がソニー・ロリンズ盤と勘違いしたのが始まり。当時、体系的にジャズを知らなかった私、ジャズはモンクとドルフィーで満足していた私に、ソニー信者が丁寧に教えてくれたのだ。だから今でも彼とジョー・ジャクソンにはジャズの師匠として感謝している。


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