音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

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スティーヴ・マックイーン (プリファブ・スプラウト/1985年)

2012-10-01 | ロック (イギリス)


ニューウェーヴが最も盛んだった頃が、筆者がロックと最も縁の深かった時代なのかもしれない。70年代の前半、丁度、デヴィッドボウイーかの名作、及び、あのピンク・フロイド一大傑作あたりが丁度リアルタイムでレコードを買っていたし、最初に「予約」を入れたのはクイーンだったと記憶している。しかし70年代の中盤までは、リアル5割で、あとは「ちょっと過去の名作」。無論小遣いだけだったが、いつも両親や祖母に小遣いをせびって、その8割はレコードを買っていた。高校卒業時にはLP枚数は有に500枚は越えていたが、やはりその後バイトもやったり、音楽評論書いていたりで、丁度ニューウェーブ全盛時代は一年間で500枚のレコードは買える立場になっていたから、より付き合いは深くなっていた。しかし、筆者の持論としてなんでもそうだが、欲しいものが手に入ってしまうようになると人間は堕落する。こと、ポップ音楽に関してはそうなってしまったことがその後の音楽との付き合い方にも、また人生にも大きく影響してしまった。やはりもし欲しいモノが10あったら、2~3くらいしか手に入らない方が、選択する作業というのが必要であることと、もう1、2枚手に入れるためにはどうしたら良いかという知恵と、その為の努力に繋がる。後々、振り返っていい勉強になった。

そんな時代の真っ只中で出会ったミュージシャンのひとつがこのプリファブ・スプラウトであるが、当時、このバンドほど付き合いが楽しみだったバンドはマイナー系ではそんなにいない。無論メジャーではジャムポリスに心酔していた時代、このパディ・マクアルーンの高い音楽性は既にメジャーでもかなり注目されていて、特に一部のラジオ局などではレノン&マッカトニー以来の才能という言い方もされた(そういえばこのニューウェーヴ全盛時代はいろんな分野に第2のビートルズが連発されていたものだ)。この作品は彼らのセカンドアルバムであるが、なんと、トーマス・ドルビーがプロデュースを担当するに至った。彼の名前を聞くと第一に浮かぶのがあのフォリナーの1981年リリース・アルバム『4』に収録されて、しかもシングルで大ヒットしたg"Waiting for a Girl Like You"である、キーボードプレイヤーとしての彼の輝かしい功績である。トーマスは以降の彼ら作品も度々プロデュースを受け持っている。またプリファブを絶賛しているミュージシャンは多く、中でもソングライターとしては五本の指に入る、スティーヴィー・ワンダーとエルヴィス・コステロの賞賛は凄いものである。特にコステロは今のUKの若者にこれだけの曲を書ける者は最早現れないとまで言い切っている。また、この作品のウェンディ・スミスのヴォーカルの絡みは最高で、中でも美しいバラッド曲"When Love Breaks Down"はいつ聴いても涙を呼び起こす。ニューウェーヴというと兎角、民族音楽との融合が真っ先に挙げられるが、少数派でロカビリーや60年代ロックンロール、あるいはゴスペル再来派もあった。しかし、そのいずれにも属すことのなく、こんな素敵で独創的なサウンドを提供できたこのバンドが、一部や玄人受けはしたものの、商業的に成功しなかったのは不思議でならない。でも、今でも日本のミュージックショップにはちゃんと置いてあるから、それなりに売れて、それなりに音楽ファンに伝わっているのなら、それはそれで満足だ。

パディのことを「映画音楽やティン・パン・アレー周辺の作曲家達からの影響を伺わせる」と論ずる専門家は多い。なるほど、そんなサウンドなのかもしれないが、でも、イギリスはダラム州という片田舎出身の彼に幼い頃からそんな音楽との接点が頻繁にあったとは考えづらく、筆者はもっと単純に、彼の米国への憧憬が彼自身を背伸びさせていった、要は背伸びしてもなだ足りない音楽への欲求と、それを受け止められるだけの十分な器量があったということではないだろうか。沢山の音楽ファンに紹介したいアルバムである。


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