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沙高樓綺譚(浅田次郎/徳間文庫)

2006-07-02 02:23:41 | 
そこは青山墓地のほとりにそびえる高級マンションの最上階『沙高樓』
各界の名士が集い、何人かが自分の持っている秘密の物語を語る。
女装の主人が言う。
「お話しになられる方は、誇張や飾りを申されますな。お聞きになった方は、夢にも他言なさいますな。あるべきようを語り、巖のように胸に蔵うことが、この会合の掟なのです-」
そしてその夜に沙高樓で語られた五編の話からなるという形式の短編集。「小鍛冶」「糸電話」「立花新兵衛只今罷越候」「百年の庭」「雨の夜の刺客」

主人公が一話目、「小鍛冶」を語る旧知の刀剣の鑑定士小日向(おびなた)くんこと三十四世徳阿弥談山に偶然出会い、この会合に誘われて一夜の話を聞くという形式になっている。
そしてその刀剣の鑑定にまつわる不思議な話。
小日向くんを始めとする鑑定士たちの眼をもってしても見切ることができない贋作を超える名刀を作る男の話「小鍛冶」

精神科医の子供時代から続く思い出。
子供らしい他愛ない友達同士から何度かの偶然の邂逅、その意味するところは?
「糸電話」

名カメラマンが語る高名な映画監督との昔の作品の不思議な思い出「立花新兵衛只今罷越候」

美貌のガーデニングの女王と謳われる女性のアシスタント的存在の老婆が語る軽井沢の名園にまつわる執念にも似た物語「百年の庭」

やくざの親分という立場の人物が自らの過去、若い時分にその世界に入ることになったきっかけからこういう地位になる土台となったターニングポイントともいえる事件「雨の夜の刺客」

5編ともにさまざまなテイストを持っており、「小鍛冶」と「雨の夜の刺客」などは違う本の内容のように全く違う。
それぞれの話が「物語」らしいきっちりとしたオチというか、きれいに解決して終わらないような形のものもあり、小日向くんと主人公の会話で補足されるようなものもある。
どれも面白いです。
ほかで感想を見ていると「百年の庭」が好きだという人がなかなか多いようです。
私は読んでいて場面場面が生き生きしている「立花新兵衛…」と「雨の夜の刺客」がけっこう好きです。
「立花新兵衛…」は読んでいて途中でなんとなく分かってはしまうんですが、話が終わった時の切なさが、そして「雨の夜の刺客」はこの語り手である辰親分の人柄と生き生きと語られる青春時代が良かったです。

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