チョコレート空間

チョコレートを食べて本でも読みましょう

エンド・ゲーム(恩田陸/集英社)

2006-01-11 18:45:11 | 
常野物語第3弾。
第1集、『光の帝国』の中の短編のひとつ『オセロ・ゲーム』の続編です。
それぞれ色々な特殊能力をもちながらひっそりと市井に混ざって暮らしている常野一族。
この話の主人公である拝島一家の能力は、街で、あらゆる場所で突然現れる「あれ」
に気付くこと。
そして「あれ」を裏返すこと。
気付いたらすぐに裏返さないと自分たちが裏返されてしまう。

夫が裏返され、失踪して十数年。
娘の時子を育てながら会社の管理職を務める拝島瑛子。
そろそろ時子も就職という年齢になったあるとき、瑛子は会社の慰安旅行先で突然倒れて意識不明の状態になる。
瑛子もついに彼らに裏返されてしまったのだろうか?
途方にくれる時子は、家の冷蔵庫に「なにかあったときに掛けるように」と子供の頃から聞いていた電話番号に電話をする。
そこで出会ったのは「洗濯屋」と呼ばれる人たち。
彼らは裏返された人たちをふたたび洗って元に戻すという。
その洗濯屋の中でも最強の力を持つという青年、火浦が失踪した時子の父と一緒にいるという話を聞く。
「洗濯する」というのはどういうことなのか。
そして「裏返す/裏返される」ということのほんとうの意味は?
火浦は時子たちの味方なのか。

とまあこんな感じでどんどん読んでいけます。
『オセロ・ゲーム』は短編集の中でもおっとりした雰囲気の常野一族の話の中ではちょっと異色で緊迫感がありますが好きな話だったので、続きが出るというのを聞いて楽しみにしていました。
「あれ」が出現する場面やトラウマが絡んでくる恐怖シーンなど恩田さんらしい場面がたくさん登場しますが、会員制のクラブでマジックミラー越しに火浦と時子が人々を見るシーンが幻想的で好きです。
怖かったのは時子の「ボウリングのピン」の理由が判るところ

恩田作品に時折出てくる火浦のような不吉な雰囲気を持った黒の似合う美しい青年(『禁じられた楽園』の烏山響一のようでもある)がすてきなようでイマイチ弱い。
最終的に女性のほうが強いので、どうも影が薄くなってしまいます。
やはり恩田作品の登場人物は女性のほうが魅力的な人物が多いですね。

輪廻(清水崇/2006)

2006-01-11 14:28:08 | 映画
わざわざ映画館まで観に行ってしまいました~

主演、優花ってどうなの?と思っていましたが、結果的には優花が予想以上にうまかったです。
それがいちばんだったかな?
幽霊が出てきたら不条理なことなんでもOK!的な部分も多少ありましたが(なんか化け物みたいなのが出てきて生きている人をわーっと連れて行って終わり、みたいな)、ストーリー的にはちゃんとまとまっています。
ややネタバレですが最後にあっ!と驚く真実があるのですが、私の好きな映画でやはり生まれ変わりがモチーフになっている『愛と死の間で』を思い出しました。
比べちゃいけないですけどね。
あとはこの清水崇さんのパターンなんだろうな、というパターン化された恐怖のアイテムみたいなものに気付いてしまうと怖がれなくなってしまいました。

以前ビデオで『呪怨』(日本版)は見て、怖い場面もあるんだけど--たとえば伊藤美咲がテレビを見てると画像がだんだん歪んで行くところとか--あの幽霊がなぜか白塗りなのがちょっと興醒め。
今時、っていう言い方もヘンかも知れないけどなんで幽霊が白塗りしてんだ?って。
しかもだんだん登場の露出度の高すぎるので出てきた顔見て腹立ってきたりしてました。
…って言いながらなんで観に行くんだ、という感じですが
テーマ的に輪廻転生とか好きなのと、CMが怖そうだったからでしょうか。

これもハリウッドから早くもリメイクオファーが殺到しているとか言っていましたが、うう~ん、判らん。
オリジナルビデオかせいぜい番組改変期のスペシャルドラマで良いでしょう、なにも映画にしなくってもというのが正直な感想なんですが。
というわけでレンタルビデオで十分だと思います。