週末つれづれ草子:お釈迦様の掌

2003年4月以来週末(日曜日)に、身辺事象・時事などについての観察・感想・見解をつづっているエッセイ。

週末つれづれ草子(2011年1月30日)

2011-01-30 19:50:23 | 感想・見解
週末つれづれ草子(2011年1月30日)


年末・年始のご無沙汰中に、いろいろ起きました。

・中国のGDP世界2位確実に
・日本の国債ダブルエーマイナス(AA-)に格下げ
(スタンダードアンドプアー社)
・今日早々、日本アジアカップチャンピオンに
(最後まではらはらしながら見てしまいました)
そして、
・昨日、菅首相ダボスで「第三の開国」表明


お釈迦様の掌

「第三の開国」
目玉は、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加。
菅首相は、6月を目途に結論を出す、と言明しました。
TPP参加には賛否が渦巻いています。
色分けは、
工業品生産業界は賛成、
農林業界は反対、
ということです。

これまでのところ、農林業の面だけの議論が行きかっていますね。
TPP参加は農業に壊滅的な打撃を与える、とか。
でも農林業は、TPPとは関係なく、
手を打たねばならない状況にあるのは確かでしょう。
農林業のライトの陰に隠れた論点があるのではないのでしょうか。
資本金融の面での論議です。
金融証券業は、反対なのでしょうか、賛成なのでしょうか。
声が聞こえてきません。
メディアもこの方面での取りあげをあえて控えているのでしょうか?
不可解です。
封印されたのでしょうか?
現在、TPPは、アメリカ主導で展開されています。
アメリカの参入課程を見ればその意図が見えるでしょう。
2008年3月・・・投資金融サービス分野の交渉に参加することを表明。
 2008年9月・・・全分野への交渉参加を表明(シュワブUSR代表)
アメリカの眼目は「投資金融サービス」に向いていることが窺えましょう。

2007年5月13日と5月20日の「お釈迦様の掌」で
「日米間の規制改革および競争政策イニシアティブ」
および
「日米投資イニシアティブ」
について語りました。
2006年12月5日に提出された「日米間の規制改革および競争政策イニシアティブ」にもとづく
「アメリカの要望」は次のとおりだ、と指摘しました。

電気通信
情報技術
医療機器・医薬品
金融サービス
競争政策
商法と法務サービス
透明性
公社の民営化
流通
農業

「日米間の規制改革および競争政策イニシアティブ」は、
2001年に立ち上げられました。
そして、強く実現を迫るアメリカの要求に日本政府は応じてきました。
この間に執られた多方面の規制緩和がそれです。
この時期、アメリカ保険会社やアメリカ製薬会社の進出が目立ちましたね。
そして、NTTなどの解体など。
何よりも大きかったのは郵政改革でしょう。

規制緩和

小泉政権は大胆に進めました。
それに民主党は反対を唱えたのではなかったでしょうか?
いま、民主党菅政権はTPP参加を目指しています。
TPP参加はとりもなおさず
「規制緩和」
推進を意味しましょう。
小泉政権の行った規制緩和の「カバー」ですね。
歌の世界では「カバー」が大流行です。
政治の世界にそれが移ったのでしょうか。
参加の検討段階で、
郵政の見直しが議論となることは避けられないと思うのですが。
国民新党との約束を履行すればTPP参加は難しいのではないか、と見ます。
菅首相はこのことをどう読んでいるのでしょうか。
そういうことを念頭におかずTPPといっているのであれば、
嘆かわしいことです。

綱領なき政党に国を託したのはわれわれ国民です。
海図を持たず、羅針盤も備えない船に乗ったのです。
当面は、なるようになれ、と腹をくくるよりほか手はないですね。

週末つれづれ草子(2011年1月30日) おわり