宙(そら)日記

デモクラティックスクール宙(そら)、神戸サドベリーでスタッフをしていたターボウの個人ブログ

はらっぱ保育所

2008-06-06 22:41:42 | Weblog
きのうは、午後からお昼から雨が降り始め、夜ごろには土砂降り。せっかくの革靴がたっぷり水を含んでしまいました。


その昨日の午前中に宙(そら)の近くにある保育園「はらっぱ」という所をお邪魔してきまし、代表の前田さんからいろいろとお話を伺うことができました。

私は毎朝9時半頃にJR西ノ宮駅に降り、そこから北側にまっすぐ通りを歩いて宙(そら)に向かいます。その途中に、小さな子どもたちが庭でとても楽しそうに遊んでいる保育園があります。毎朝その前を歩いているのですが、感じのいいログハウスのある、木造りの保育園で、とても開放的な雰囲気なのです。

保育園で子どもが遊ぶなんて当たり前の光景ですが、“何かが違う”といつも思わされます。その前を歩くと、私はいつも癒された気分になりました。


調べてみてわかったことですが、保育園には自由保育と管理保育という二つの潮流があるそうです。管理保育とは時間ごとに行うことがきちっと決まっている保育。自由保育とは、そのようなカリキュラムをなるべくくまず、自由に子どもに遊ばせていく保育、ということです。

HPを見させていただくと、「はらっぱ」は自由保育に近いのかな、と思いました。

私は、子どもに自由に遊ばせるという点で、宙(そら)との共通点があると思いました。それゆえ、「はらっぱ」がどのような保育園であるかを詳しくお聞きすることは、宙(そら)を運営していく上でも勉強になることも多いのではないかと思い、電話で一度お伺いしたい旨を伝えたところ、快諾していただきました。

実際に「はらっぱ」に行って代表の前田さんに話をうかがったところ、「はらっぱ」は厳密には自由保育ではなく、みんなで公園に遊びに行ったり、一緒にご飯を食べたり、一緒にお昼寝したりしている、ということでした。やはり小さな子どもを保育する以上、大人の目を届かせるために、ある程度は一斉に行動する必要があるとのことです。

しかしそれでも。できる範囲内であれば自由に子どもを遊ばせているということです。

わたしは、どうして「はらっぱ」にはこんなに自由な雰囲気が溢れているのかが気になって、代表の前田さんにいろいろとたずねました。

前田さんの話では、「はらっぱ」ができた当時、公立の保育所は親の希望で選ぶことができず、また時間の融通もまったくきかなかったそうです。親の仕事がどれほど遅くなろうと、保育所は子供の面倒をみてくれなかったとのことです。

また子どものお母さん(お父さん)たちには、公立の保育園は子どもを“預かる”という印象があったそうです。あくまで“預かる”のであって、子どもを“育てる”とは違うという印象があったそうです。それに対して親御さんたちは、子どもを“育てる”場に子どもを行かせたかったのですね。

そのような親御さんたちの要望もあって「はらっぱ」ができたそうです。

1979年にできたこの保育所は、大震災という災害も乗り切り、今に至っています。昨年には、木造の園舎を新築しました。

いただいたパンフレットには次のような言葉が載せられています。

「はらっぱは、子どもを真ん中にして大人たちがつながる場所が欲しい、いろいろな子どもたちが遊び暮らす場所が欲しいとはじまった「保育所」です」

この言葉を読むと、「はらっぱ」という保育園を見たときの私の印象が言葉にされているなぁと思わされます。子どもが遊び、そして暮らしているという雰囲気が満ち溢れているのです。

その場にいるだけでとても楽しくなる、そんな保育園です。


はらっぱHP

デモクラティックスクールとは

2008-06-04 22:32:55 | Weblog
わたしが宙(そら)で働き始めたとき、ある人から宙(そら)に電話がありました。それは九州のある地方からのもので、用件は、宙(そら)と同じようにデモクラティックスクールを作りたいが話を聞かせて欲しいというものでした。

そのとき電話に出ていたのは、代表の倉谷(愛称グラ)だったのですが、そのとき彼が電話口で話していた言葉はわたしにとってとても印象的なものでした。

「“デモクラティックスクール”というのは、どういう建物や場所が必要ということはなくて、子どもたちがカリキュラムやクラスに縛られずにやりたいことができる環境にあることと、生徒とスタッフが対等な立場で話し合って学校を運営していくというルールがあれば、それがデモクラティックスクールなんです」

グラはこのような内容の言葉を相手に伝えていました。

「デモクラティックスクール」とは、ご存知の人も多いように、アメリカのマサチューセッツ州・ボストンに1968年に創立されたサドベリー・バレー・スクールをモデルとした学校のことです。このデモクラティックスクールのことを「サドベリー・スクール」と呼ぶ場合もあり、その学校は世界中に40校上あります。

多くの人は、デモクラティックスクールを作ろうと思い立ったら、アメリカのサドベリー・バレー・スクールのことを思い浮かべるかもしれません。

テレビでも紹介されているこの学校は、都市の中心から離れた、緑豊かな場所にある大きな邸宅です。

子どもたちは、その邸宅のたくさんの部屋でさまざまな遊びをし、また緑の中でも遊びまわっています。

まさに地上の楽園のように思えます。

でも、デモクラティックスクールを作るとは、そのような物質的な条件を完璧に整えることを意味するのではない、と宙(そら)の代表のグラなら言うでしょう。

実際、本家本元のサドベリー・バレー・スクールが豊かな自然のある郊外にあるのに対し、宙(そら)は兵庫県の西宮市という、神戸と大阪の間の住宅街の中にあり、都会にすぐにアクセスできる場所にあります。

デモクラティックスクール宙(そら)は2004年に現代表の倉谷(グラ)によって創立されました。グラの話では、宙(そら)の場所はあえて都会にこだわって探したそうです。都会だからこそできることがある、と。

たしかに自然に囲まれた場所にあれば、子どもたちは自然を利用して遊ぶことができます。しかし同時にそれは、都会だからできる遊びを犠牲にしなければなりません。

今日も午前中に、メンバーのひとりとグラがゲーム屋でソフトを買いに行きました。おそらくそのようなゲーム屋は郊外よりは都会のほうが行きやすいはずだし、ましてスタッフと一緒に行くとなると、学校が都会になければ難しいでしょう。

別のメンバーはよく新しい漫画を本屋で買ってきますが、車を運転できるわけではない子どもにとっては、新しい漫画を置いてある本屋を見つけるには都会のほうがいいはずです。

大自然に囲まれた場所にある学校も素晴らしいけれど、都会の中にあるからこそ良さがある学校もあるのです。

デモクラティックスクールを作るうえで重要なのは、“大自然の中でのびのびと遊ぶこども”というロマンを追いかけることではありません。

そうではなく、まさにグラが言うように、子供がやりたいことをできること、そして子どもとスタッフが対等な関係で学校を運営していくことなのです。


デモクラティックスクール宙(そら) 公式HP

「教室のない学校」ほか

2008-06-02 14:57:20 | Weblog
今日はげつよう。

朝はくもりぞらで、おひるからは雨がふっています。

今日はメンバー三人が海釣りに行っています。他のメンバーも休んだりして、宙(そら)の中はいつもより空いている。


土日に、アメリカのサドベリー・バレー・スクールについて取材したビデオを見ました。
2004年にNHK-BSで放送された「教室のない学校 30年の試み」と2005年にフジテレビで放送された「発見!体験!先生がいない学校の子供たち」(『プレミアムステージ特別企画 学問の秋スペシャル たけしの日本教育白書』)です。

この二つの番組は、アメリカのサドベリー・バレー・スクールを放送したものとして有名です。この番組を通してサドベリー・バレー・スクールを知った人も多いのではないでしょうか。本田健さんもテレビでの紹介を通してサドベリー・バレー・スクールを知ったことが、お子さんをこの学校へ通わせるきっかけになったそうです。

私はこの番組を今回初めて観ました。観た印象としては、「宙(そら)と一緒だ」。

サドベリー・バレー・スクールを初めとする世界中の「サドベリー・スクール」にはある共通した特徴があります。

それは、

・学校の運営は生徒とスタッフが平等に一票をもつミーティングによって民主的に決定されること。

・カリキュラムもテストも生徒はその行動で何かを強制されることがないこと。

・同じ年齢で分ける「クラス」は存在せず、異なる年齢同士で遊ぶ/学ぶことができること。

などなどです。

こういった枠の中で子どもは自由に遊び学んでいるのですが、ビデオに映っているその子どもたちの顔の雰囲気が、普段私が接している生徒たちと一緒なのです。

私たちが「子ども」と聞いて思い浮かべる顔ってどんなものでしょうか。

わたしたち大人が子どもに期待する顔は、変に「明るく」「爽やか」な顔だったりします。

そうでなければ、「生意気な」顔です。

子どもといえば、大人の言うことを聞く従順な子か、大人に反抗する子しか、普通の大人は思い浮かべません。

でも、サドベリー・バレー・スクールの子どもも、宙(そら)の子どもも、大人の人たちが思い浮かべる顔はしていないと思います。

自分のしたいことをしている人は自立しています。誰かに何かを教えてはもらっていますが、依存はしていません。

またデモクラティックスクールの子どもたちは、民主的に行われるミーティングで学校の運営を決めていきます。その自分たちで決めたルールに従って行動し、そのルールを犯すとペナルティを受けることになることを知っています。自分の行動の結果を背負う責任感を持っているのです。

デモクラティックスクールの子どもたちは、おとなしくもないし、反抗的でもありません。

彼らは、自立した人に共通する雰囲気をかもし出しているのです。

ビデオを観て、あらためてデモクラティックスクールの素晴らしさを実感することができました。

そのよさに日々接しているのだな、と思いました。


デモクラティックスクール宙(そら) 公式HP