宙(そら)日記

デモクラティックスクール宙(そら)、神戸サドベリーでスタッフをしていたターボウの個人ブログ

デモクラティックであること

2008-07-11 12:59:55 | 日常



デモクラティックスクール宙(そら)は現代表の倉谷明伸(ぐら)によって創立されました。2004年5月のことです。

しかしその前身である「フリースペース宙(そら)」は2002年に作られ、さらにその前身のスクールができたのが2000年のことです。

もう8年も前のことです。

あと2年で10年ですよ。

これだけの長い歴史があり、その間の多くの期間に代表を務めてきたのがぐらですから、ぐらの考えや行動が宙(そら)という団体の性格に大きな影響を与えてきたと考えるのが普通です。


しかし、ぐらは宙(そら)が「ぐらの学校」と呼ばれることを嫌いますし、メンバーである子ども達もそれはおかしいと言うでしょう。

なぜなら、宙(そら)の運営はすべてミーティングによって決定されるのであり、そのミーティングでは生徒とスタッフが平等な一票をもつことで成り立っているのですから。


実際、宙(そら)では、またすべてのデモクラティックスクールでは、創立者やスタッフである大人が絶対的な権威・権限をもつことはありません。

その象徴のひとつが、スタッフの雇用・解雇もメンバーである子どもたちによって決められるというルールです。

そう、創立者であろうと、子供たちによって「必要ない」と見なされたら、この学校にいることはできないのです。


私は、このルールは、大人と子供が偏見を乗り越えて対等な立場に立つための方法の一つであると思います。

メンバーがスタッフの雇用の権限を握っているからと言って、スタッフが子供にごまをすることはありません。そんな嘘は子供はすぐに見抜くでしょうし、そんなせこい人間と一緒にいたいと思う子供もいないでしょう。

「子供がスタッフの雇用を決めることができるなら、子どものやりたい放題になるのではないか」

そう思う人もいるかもしれません。

しかし、デモクラティックスクールはもともと自由な学校であり、自分のやりたいことができる学校です。そこでは、子供たちは最初から反抗すべき対象はないし、「したくない」ことをする必要がないのですから。

もちろん、同じ場を共有するもの同士が守るべきルールがあります。備品の片づけや掃除など。しかしそれらのルールを守らなければ、やりたいことを自由にできるこの学校を運営することはできないということを、メンバー自身がいちばんよくわかっているのです。

私はこの学校で働いていてつくづくわかります。人は完全な自由を与えられるとき、他者との共同生活のルールを守る必要性をもっともよく認識する、と。


デモクラティックスクールでは、メンバーに完全な自由が与えられるからこそ、メンバーたち自身の考えで学校が運営されていきます。

そこには、誰かが恣意的に学校を利用する余地などありません。

だからこそ、デモクラティックスクールはデモクラティックでありえるのです。