TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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「残業ゼロ」の仕事力-トリンプ元社長が明かす常識破りの働き方

2008-03-08 19:26:39 | 今週の一冊


この本はトリンプ元社長の吉越浩一郎の社長時代の残業ゼロへの取り組みが書かれています。著者である吉越社長は、「時間内に終わらなければ残業すればよい」という考え方でいると、なぜ仕事が終わらないのかという理由がわからず、したがって抜本的な解決も図れないので、常に同じ問題が繰り返し発生し続けることになると考えます。つまり、問題を顕在化し改善する絶好の機会が、残業によって奪われてしまうと考えるのです。

 著者がノー残業デーを定着させるためにまずやったのは、違反があった部署に反省会を義務ずけることでした。目的は残業が起こった原因の究明と、再発防止のための対策を自分たちで考えてもらうためです。残業は悪い事だという「しくみ」作りをトップが実施したのです。

 著者は、仕事にせよ会食にせよ、「終わりの時間」を常に意識し、そこまでの時間を逆算してスケジュールを立てることがポイントと考えます。大切なのは仕事を終えたあとの3時間あまりを「自分のために投資する」という考えることなのです。人生のために必要な家族との時間、健康でいるために必要な睡眠時間などはあらかじめ確保しておくことと考えます。

 そして、著者は「残業ゼロ」、さんづけ運動」、「リフレッシュ休暇」、「がんばるタイム」などを会社に次から次へと導入しましたが、残業ゼロにしても導入できたのはトップの決断しだいだと述べています。リーダーがやるといったら絶対にやる姿勢が組織を変えられると書かれています。

 たいへん参考にあるのは以下の記述です。
①「自分のキャパシティを知るのは、それほど難しいことではありません。仕事にデットラインをつけて、自分を追い込めばいいのです。まずは、これまで残業をしてのんびりやっていた仕事を、終業時間内に終わらせます。あるいは2時間かかっていた仕事を1時間でやります。最初は「とても無理」と感じるかもしれませんが、仕事のスピードは努力すれば必ず上がります。おそらく、自分にはこれだけ仕事を処理する能力があったんだということを自覚するのにそう時間はかからないはずです。
②実際に独立をするしないはともかく、いずれは独立するぞという志を持っている人と、定年までこのままつつがなくいけばいいという人では、成長のスピードがまるで違います。
③大きすぎてどこから手をつけていいかわからない問題に遭遇したならば、まずは絡んでいる鎖をほどくことから始めてください。そして、どんどん小さい問題に細分化していく。そうしているうちに「これなら自分でもなんとかできる」というサイズになります。そうしたらそれを一つ一つ解決していけばよいのです。

 さて、この本を読んで残業ゼロにする仕事の取り組み方などたいへん勉強になりなりました。著者の強いリーダーシップの発揮によってトリンプは残業ゼロが実践できたのでしょう。ちょっと疑問に思ったには、著者が社員のときはよく残業をしていたということです。日本社会では残業ななくても職場に合わせて時間外に残っているということがあり、従わない人間が組織を乱す者と判断されます。著者ほどの能力のある人ですから残業をしなくてもよかった状況にあったが、社員のときは時間外に残っいたのではないでしょうか。
                  
社長になって残業ゼロにするというのもその点で納得いかない点があります。なぜなら、社員の仕事は各種問題の準備やて定型的な業務等でそれなりに時間がかかるものだからです。トップはそれらの資料を基に意思決定すればよのですから時間はかからないものだと思います。著者のスケジュールで時間外にたいがいお客様の会合があると書かれています。午後9時まであると書かれています。これって仕事ではないでしょうか。なにか釈然としません。しかし、残業ゼロの取り組みはすばらしいものだと思います。


 


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