【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

経理担当者が定着しない

2016-08-20 11:30:00 | 経理業務(帳簿の作成)
経理担当者が定着しない中小零細企業が多いです。決算ごとに、最悪の場合にはわずか数か月で経理担当者が入れ替わることもあります。経理担当者が替わると、「事業内容」「帳簿の種類」「領収書の保存方法」など、会社の経理の基本的事項から説明しなければなりません。これでは安心して経理を任せることができず、落ち着いて経営をすることができません。

〇会社の雰囲気に馴染めない
これは経理担当者に限ったことではありません。中小零細企業というのは、そこの社長の個性が色濃く出るので、同規模の同じ業種であっても全然雰囲気(会社の方針や仕事の仕方)が違うことが普通です。ですから、他社では優秀であった者でも使い物にならないことも珍しくはありません。「当社の風土に馴染めるか?」が重要な採用基準となるのです。

〇経験が無いあるいは不足している
経理担当者の能力を見抜くことは容易ではありません。なぜならば、経理業務の範囲は非常に広くそのすべてを経験した者など皆無だからです。また、経理業務は業種や事業規模によって相当異なります。経理担当者を採用するにあたっては、経理業務のどの部分を任せるかを十分認識しその業務ができる者を採用しなければなりません。例えば、月次試算表の作成から決算申告は会計事務所(税理士)に依頼している場合にはこの業務の経験者は不要です。これ以外の請求書の発行、給与計算、支払い業務(請求書の分類集計)ができる者を採用しなければなりません。未経験の業務を無理やりさせると誰でもストレスが溜まります。そして、ストレスが限界に達すれば退職を余儀なくされます。

〇社長の認識が間違っている
「節税」に「銀行対策(融資をスムーズに受ける)」を経理担当者に過度に期待する社長がいます。また、パソコンさえ使えば何とでもなると考えることもあります。経理担当者に優劣があることは確かですが、どんなに優秀な経理担当者であっても「魔法使い」のようにはいきません。

★経理は経営者の生涯のウイークポイント?
「経理には自信がある」「経理は大丈夫」「税務署も銀行も怖くない」といえる社長はほとんどいないと思います。特に、幅広い経理業務の中でも相当ウエイトが大きい簿記と税務は極めて「特殊」で、相応の学習と経験がなければ習得することはできませんので誰かに任せるしかありません。経理担当者によって税額や銀行との関係が変わってくることがあります。そして、それが会社の運命を左右することもあります。経理業務を甘く見ることなく、根気よく最適な経理担当者を採用・育成しなければなりません。