【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

最後の仕訳、法人税の未払計上

2017-09-12 10:30:00 | 決算書・試算表
【ご注意】ここでの法人税とは国税である法人税および地方法人税のほか、地方税である都道府県民税、事業税、市町村民税も含みます。

全ての収益と費用を計上したならば利益が確定しますので法人税の計算ができます。計算した法人税を未払計上すれば税引後の利益が確定します。これで決算は終了です。法人税の申告書作成も終了です。

消費税の課税事業者の場合には、法人税の計算に先立ち消費税額を計算し未払消費税を計上しなければなりません。

★法人税の前に消費税を確定させる

消費税の経理処理を税込みでしている場合は、消費税の申告書で計算された税額をそのまま未払計上します。消費税の申告書で計算された税額を100とします。

≪借方≫租税公課100≪貸方≫未払消費税100

消費税の経理処理が税抜きの場合は次の仕訳をします。仮受消費税を250、仮払消費税155、消費税の申告書で計算された税額を100とします。

≪借方≫仮受消費税を250、租税公課5≪貸方≫仮払消費税155、未払消費税100

借方に租税公課5を計上するのは、仮受消費税と仮払消費税の差額が消費税の申告書で計算された税額(未払消費税として計上する)に必ずしも一致しないからです(両者の計算プロセスが異なるからです)。

上記のとおり、消費税の未払計上の仕訳は利益に影響します。租税公課勘定という費用勘定が生じるからです。ですから、法人税の計算に先立ち消費税を計算し未払計上をするのです。

★法人税の未払計上

法人税の未払計上は次のとおりの仕訳です。

≪借方≫法人税等≪貸方≫未払法人税等

会計事務所に申告書の作成のみを依頼している場合には、次のような流れになります。

会計事務所に未払税金を計上する前の決算書を渡す

会計事務所に税額を教えてもらう

未払税金を計上した決算書を作成し会計事務所に渡す

税務署にはこの決算書を提出する

この決算書を最終の決算書として保管しておく

★厳密には決算書が完成してから申告書を作成する

【1】全ての収益と費用を計上した決算書を完成させる(税引前利益の確定)・・・利益100とする
【2】未払税金計上前の利益で法人税の申告書を作成する・・・税額30とする
【3】未払税金を計上した決算書を作成する(税引後利益の確定)・・・利益70
【4】未払税金計上後の利益で法人税の申告書を作成する・・・税額は30

法人税を未払計上すれば、利益は【1】の100から【3】の70(100-30)に減ります。未払税金の30は損金不算入ですので(法人税の計算影響しない)、未払税金は【2】未払税金計上前と【4】未払税金計上後で変わりません。

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