銀色海岸(イラスト連載小説)

まだ見捨てずに続きを待っててくれたとは!そんな君の友情に応えて6年ぶりの更新(2018.5)

変身していた

2011年11月21日 | 第八章




窓を見たうさこさんが、はっとして立ち上がった。
「帰らなくては。・・・・すっかり話し込んでしまいました」
いつの間にか、外は白みかけていた。
ぼくらは時が経つのも忘れて、夜通し話していたのだった。
「では、これで」
と、玄関で振り向いたうさこさんは、まるで魔法が解けたシンデレラだった。
馬車がかぼちゃになって、途方にくれているような・・・・。
「大丈夫ですか?」
思わず、うさこさんの肩に手をかけたら、溶けそうに柔らかかった。
変身していた。
卯華さんは、ボクの妄想だと言うだろう。
「ふぁ・・・・ふぁ、ふぁっ・・・・」
鼻先がくすぐったい、またか。
ボクは、彼女から離れ、くしゃみを連発した。
自分の想像に反応するなんて、どうかしている。
向き直ると、うさこさんは姿を消していた。夢のように。
いや、決して夢じゃない。
ボクの胸で、野バラの移り香が、ほのかにたゆたっていた。
玄関のドアをあけると、林の小道の下葉が、風が吹き抜けたように揺れていた。
なんなんだ、これは・・・・かって味わったことのない寂寥感に沈み、
ボクはベッドへ倒れこんだ。




ジャンル:
小説
この記事についてブログを書く
« やわらかなまなざし | トップ | 美しい嘘なんて »