村雨庵 茶の湯日記

日々是茶の湯

武蔵鐙

2019-05-24 00:48:49 | 村雨庵 稽古 
友人がある茶会にお客で参加した
その時の茶席の花は
「ムサシアブミ」だったそうな
武蔵鐙ムサシアブミという花の名は
武蔵つまり関東で使われている馬具の
あぶみに似た形の花をつけるので
ムサシアブミと

開花時期 3月、4月、5月
花の色は  紫、緑
分布 本州の関東地方から沖縄にかけて分布
海外では、朝鮮半島、中国にも分布
生育地 海岸に近い林の中や山地の谷沿いなど
植物のタイプ 多年草
大きさ・高さ 20~50cm
分類は サトイモ科 テンナンショウ属
独特の形をしている
たくさん咲いている所はを見たくはないが
一つだけなら
私は好きだ

ムサシアブミと言うと
利休が織部に送った
「武蔵鐙の文」を連想する


むさしあぶみ
さすがに道の遠ければ
とはぬもゆかし
とふもうれしし

和歌を添えて
秀吉の小田原征伐に同行した利休が
関東遠征に出かけた織部宛に
書いた手紙だそうだ
(東京国立博物館所蔵)


伊勢物語十三段にも
ムサシアブミが出てくる

 むかし、武蔵なる男、
京なる女のもとに、
「聞ゆれば、恥し、聞ねば苦し」と書きて、
上書に「武蔵鐙 あぶみ」と書きて、
おこせてのち、おともせずなりにければ、
京より女、
 武蔵鐙をさすがにかけて頼むには
  問はぬもつらし問ふもうるさし
とあるを見てなむ、
堪へがたき心地しける。
 問へば言ふ問はねば恨む武蔵鐙
  かゝる折にや人は死ぬらむ

武蔵鐙をサスガに掛けて止めるように、
流石にあなたを頼りにしています
便りのないことを
責めるのも辛いし、
でもあれば煩わしいし
ということらしい
利休も織部も
この伊勢物語の歌を
知らないはずは無い
承知で
自分の歌を作ったのだろう

写真は利休のそのふみ
「武蔵鐙アブミの文」
東博に実物を見に行こう
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする