本稿では フィンランド教育研究の第一人者、信州大学学術研究院教育系の伏木(ふせぎ)教授のお言葉を引用させて頂きます。
フィンランドに学ぶべきはその教育観だと思います。
すなわち
教育の目的は学力を高めることではなく、ウエルビーイングを高めて、一人一人のの子供たちが自分らしく生きていく自信と勇気、スキルを身に付けることであるという考え方です。
フィンランドの教育関係者の多くは、ウエルビーイングと学力を「両立」するべきものとは捉えていません。ウエルビーイングが最上位にあり、それを高めるために何をすべきかと考える。学力向上は、ウエルビーイングの向上に伴う副次的な成果にすぎないのです。
フィンランドの先生たちは、子供たちの学習権を徹底的に保障しつつ、「子供たちは一人一人違うのだから、出てくる結果も違うはずだ」と考えます。子供たちが全員、同じ授業を受けることを重視するのではなく、一人一人の子供たちが、自分らしく学ぶための環境を整えることを大切にします。
そうした中で、子供たちの自己肯定感や、「自分は自分でよいのだ」という意識を高めていきます。子供たちが社会の中で、どのようにいきていこうかと考え、そのために必要な学びとは何かを自分で選べるようになることを重視しているのです。
日本が好成績を収めたことは、うれしいニュースではありますが、だからと言って「日本の学校はこのままでよいのだ」と考えてはいけないと思います。この成果は日本の教員たちの犠牲の上に成り立っているものです。教員が離職してしまうほどの長時間労働は、世界的に見ても異常です。フィンランドと日本では教員を取り巻く社会的背景が大きく異なるので、単にフィンランドのやり方を取り入れれば良いとは言いません。とはいえ日本の教員の負担を減らし、本来やるべきことに集中できるようにすることは、喫緊の課題です。
以上が伏木先生のお言葉でした。
最後に若干の補足をしますと
フィンランドの授業の特徴は(教員の裁量権が大きく、楽しさ、わくわく感を重視するため、きわめて多彩で個性的)
・教員が一方的に知識を教える部分は極めて少ない
・複数の科目横断的な授業(NHKの「ピタゴラスイッチ」を参照)が多い 国語や数学の授業に、絵画や音楽やかるた作りを取り入れる等
・授業計画に子供を参画させ、時間や方法も子供に選ばせる
・「個別最適な学び」と「協働的な学び」の最適な組み合わせに留意するが、グル ープディスカッションの比重が極めて高い。ペットを参画させたケースもある
・1年のうち少なくとも数週間「実例に基いた教育」を実施するよう義務付けてい る
・生徒の座る位置、方向、グループ分けの人数等も授業内容に合わせ、最適なもの に変化させる
いかがだったでしょうか! これからの日本が目指すべき方向性について、ヒントになる点が多いと感じましたが、どう思われますか?