あた子の柿畑日記

田舎での日々の生活と趣味のレザークラフトについて

主なきとて

2019-02-24 00:31:50 | 植物
 そこを通る度寂しくなる家。なぜなのかわかりません。
 一人のおばさんがひっそりと住んでいて、いつから住んでいるのかわからないけれど今までにたった一度しか姿を見たことがありません。白髪頭で腰が曲がり、思っていたよりずっと高齢のように思いました。
 家のそばに高い生け垣に囲まれた畑があって、上からちらっと見える枝枝から、柿やキーウィなどの果樹が植わっているのだと想像ができました。が中を見ることができません。誰にも姿を見せず、道にはみ出した草は、生け垣の内側から手を伸ばして引いていました。夕暮れ時生け垣のそばを歩いていたらいきなり地面にぬっと手が出てきて肝を冷やしたことがあります。しかし孤独というのでもなくときおり子どもさんやお孫さんが訪ねてきているのを知っていました(見るのは車だけですけど)
 そんなおばあさんが亡くなってからこの家をみるたび寂寥感がこみあげるのです。ああ、ここにはもう誰もいないんだなあと。

 先日、生け垣の隙間からちらっと白いものが見えたような気がしました。 わたしは隙間から中をのぞき込んでみました。40年以上ここに住んで初めてこのうちの畑をのぞき見してみたのです。そこにあったのは



 ちらほらと咲き始めた白梅の木でした。いろいろな果樹を植えていたんですね。

 そこで不意にあの有名な和歌を思い出したわけです。

 東風ふかば にほいおこせよ 梅の花 主なきとて 春をわするな(春なわすれそ)ー菅原の道真ー表記は正確ではありません

 主がいなくなっても木々の花はちゃんと季節の巡ってくるのを忘れず咲くものです。

 もう一軒、春になるときれいな花を咲かせるおうちがあります。空き家になって久しいのですが、ときおり誰かが手入れしているようです。

 ツバキ




 しだれ梅


 よく見るとメジロが数羽花に来ていました。

 それから、道ばたの小さい空き地にある梅の木。もうここが誰のものなのかわからないくらい雑草だらけになっているのですが、かつては誰かが管理していたのであろうことが、この梅の木でわかります。



 年々樹勢は弱っていると思うのですが、花はびっしりとついています。
 よく見るとあっちとこっちとで花が違うのではないかしら。



これは萼が赤いです。そのため全体がほんのりと薄赤く見えます。
 一方こちらは


 しべの部分がわずかに緑がかって見えるます。

 幹を見ると、それは2本の梅の木でした・・・今までずっと1本だと思ってた・・・
 根元には太い蔓がのびていて、夏になるのを手ぐすね引いて待っているようです。すぐに蔓に覆われて葉がなくなっていくでしょう。せめてあの蔓を下の方で切ってやりたいな、もはや誰も文句は言ないでしょうから。


 ところが

 はっと気がつくとセーターやらスカートやらにセンダンの種がいっぱい!こりゃいかん、蔓退治は断念しました。夏、種がすっかりなくなってからね。




 
 500くらいついていたんですよ(ごていねいに数えながら取りました)全部取り除くのにえらい時間がかかりました。
コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ムクドリの群れ | トップ | 柑橘いろいろ »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
此の一週間の暖かさ!! (慧竿)
2019-02-24 05:08:39
先週に行った先へ散歩に行ったのですが
天満神社の鳥居脇の梅が2分咲きに成ってました!!

先週の段階では、何とのぅモワモワした感じに見えてた
木々が今週はクッキリ!!でした(^_^;)

寂しく成るお家のお婆ちゃんが
あた子さんが覚えていてくれて喜んでるので
気配を感じてるんでしょうねぇ!!
寂寥感 (桑畑)
2019-02-24 09:14:31
わかります。その気持ち
なんとも言えないですね。

近くに昨日まで元気に犬の散歩をしていた方が、日帰り温泉で急死 そして近くで漬物を取りに行ってそのまま死亡 独り住まいだったので、発見が3日後 また心筋梗塞でみな同年代でした。

なんとも言えないこの頃です。

今日の命に感謝です。
慧竿さんへ (あた子)
2019-02-24 12:22:04
花は正直ですよね。暖かくなったことをきちんと伝えてくれますもの。
桜三里の温泉近くの桜が(なんの種類かわかりませんが)咲き始めました。
だけど、こんなに早く暖かくなっていいものでしょうか。夏が怖いです。
桑畑さんへ (あた子)
2019-02-24 12:27:23
10軒ほどしかない道沿いで3軒が空き家になりました。なくなったおばあさんは自ら孤独な暮らしをしていたのか、やむなく孤独に耐えていたのか、謎が多かっただけに、なくなった後もつい考えてしまいます。思い残すことのない人生でありますように、大切に生きていきたいですね。
こんばんは (みーばあ)
2019-02-24 19:38:34
ウワッ、やられましたね~
500~
たいへんでしたね
主のいなくなった住居
だんだん荒れて~
一人住まいのおばあちゃんが気になっていただけに余計に寂しさが募りますね
生前、どんなお気持ちでお暮しだったのか・・
主がいなくても春になれば梅の花が咲いて
猶更寂しさが////
みーばあさんへ (あたこ)
2019-02-25 22:46:05
そう、そうなんです。生前人との関わりを断っているかのような暮らしぶりでしたから、空き家のようなその家の横を通る度気になっていました。それが本当の空き家になったんだなあと、寂しさはぬぐえません。
空き家は増えていくばかりですが、今はどこのおうちもツバキと梅の花盛りです。誰もが好む花なんですね。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。