日々是好日・スローライフ(寅さんの柴又から発信)

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渥美清のうた

2020年09月24日 | 文学  かめの会・季語のある風景

 長文です、興味ある方はお読みください。


 

 

 

 

 

 

寅さんは俳人でした 
ふうてん・「渥美清のうた」石寛太 選



句会「かめの会」で、↑見出しの”うた”を頂いた。

7ページにわたるものでした。

主宰から寅さんの俳句です、この中から、これはと思うものを20句
選んでください(宿題)

次会、皆さんのユーモアに富んだお話が飛び出すことでしょう。

渥美清は生前俳句をたしなんだ。
俳号はいわずとしれた「風天」。
その俳句発掘の旅に出た著者・森英介氏。
まるで推理小説のように展開する風天俳句発掘のストーリーに、自然に読者は引き込まれて行く。

長野・小諸の旅で四十八句を発見。渥美の母校の板橋区立志村第一小学校を訪ねて四十二句。さらに矢崎泰久、和田誠、灘本唯人。
句友を訪ね次々に発見される風天俳句はついに二百句を超える......。(森英介の本紹介文から抜粋)

 

 

俳句解説者プロフィール
石 寒太(いし・かんた)
1943年、静岡県生まれ。本名・石倉昌治。69年、俳誌「寒雷」に入会、加藤楸邨に
俳句を学ぶ。現在、俳誌「炎環」主宰。著書に句集『あるき神』『炎環』(花神
社)、『石寒太句集』(ふらんす堂)、評論・随筆に『山頭火』(毎日新聞社)、『宮沢
賢治の俳句』(PHP研究所)、『芭蕉の晩年力 求めない生き方』(幻冬舎)など多数。

 

風天俳句の世界 (一部)
             (森英介  文春文庫から抜粋)



*  映画


  さくら幸せに ナッテオクレヨ 寅次郎

  小春日や 柴又までの 渡し船



*  旅


  村の子が くれた林檎 ひとつ

  いまの雨が 落としたもみじ 踏んで行く

  案山子 ふるえて風 吹き抜ける

  雲のゆく 萩のこぼれて 道祖神

  お遍路が 一列に行く 虹の中



*  ユーモア


  冬めいて ションベンの湯気 ほっかりと

  立小便 する気も失せる 冬立木



*  職業を転々とし、ストリップ劇場で下積み生活を送っていた浅草時代の光景


  向きあって 同じお茶すする ポリと不良

  納豆で 食パンをくう 2DK
 
  初めての 煙草覚えし 隅田川

  股ぐらに 巻き込む布団 眠れぬ夜

  貸しぶとん 運ぶ踊子 悲し



*  結核療養所 昼間はどんなに明るく振る舞っていても、夜になると、死の恐怖に襲われた


  ひがさかみの ほつれ胸 病む娘
(こ)

  冬の蚊も ふと愛おしく 長く病み


*  下町風景


  鍋もって おでん屋まで の月明かり

  打ち水を まつように セミの鳴き

  うなだれし 柳と佇ずむ 新内流し

  汗濡れし 乳房覗かせ 手渡すラムネ

  団扇にて かるく袖打つ 仲となり

  福引の 餅網ふたつ 風寒く

  外套の 肩のこりや 上野駅

                                                    

*  独り言  孤独感のにじむ静かな哀愁


  冬の朝 ひとり言いって 着がえてる

  ただひとり 風の音聞く 大晦日

  夢で会う ふるさとの人 みな若く

  たけのこの 向こう墓あり 藪しずか

  行く年 しかたなく ねていよう

  

*  勉強家  たいへんな勉強家だったことは、関係者の誰もが口をそろえる


  乱歩読む 窓のガラスに 蝸牛

  あと少し なのに本閉じる 花冷え



*  小さな生き物  生きとし生けるものへのやさしい目差しの句が多い


  赤とんぼ じっとしたまま 明日どうする

  天道虫 指先くすぐり あっちは飛んだ

  少年の 日に帰りたき 初蛍

  芋虫の ポトリと落ちて 庭しずか

  なが雨や 銀の帯ひく 蝸牛

  雨蛙 木々の涙を 仰ぎ見る


  

 

― 渥美清さんの実像 ―
   
「寅さん」の演技で見せる社交性のある闊達さとは対照的に、実像は公私混同を非常に嫌い、
他者との交わりを避けていた。
「男はつらいよ」のロケ先で、撮影協力した地元有志が開く宴席に一度も顔を出したことがない話は良く知られており、
身辺にファンが近寄ることも嫌っていた。
  
タクシーで送られる際も「この辺りで」と言い、自宅から離れた場所で降りるのを常としていた。
さらに渥美は亡くなるまで芸能活動の仕事を一切プライベートに持ち込まなかったため、
渥美の自宅・住所は芸能・映画関係者や芸能界の友人にも知らされていなかった。
  
家族構成は妻と子供2人だが、原宿に「勉強部屋」として、自分個人用のマンションを借りており、
そこに一人籠っていることが多かった。
長男の田所健太郎が「親族の立場」で公の場に顔を出すのは渥美の死後だった。
  
渥美自身の結婚式は親族だけでささやかに行い、仕事仲間など呼ばなかった。
芸能記者の鬼沢慶一は招待され友人代表として出席したが、鬼沢はその事を渥美の死まで公表することはなく、
渥美の没後にその時の記念写真と共に初めて公開した。
  
結婚まで秘密にしていたため、没する数年前でも渥美が独身と思っていた人が多かったようである。
渥美は新珠三千代の熱狂的ファンを自称していたため、結婚の際は『新珠三千代さんごめんなさい。』
の迷コメントを出した。
  
芸能界の関係者ともプライベートで交際することはほとんどなく「男はつらいよ」シリーズで
長年一緒だった山田洋次や、黒柳徹子、関敬六、谷幹一でさえ渥美の自宅も個人的な連絡先も知らず、
仕事仲間は告別式まで渥美の家族との面識はなかった。
  
これは渥美が生前、私生活を徹底的に秘匿し、「渥美清=寅さん」のイメージを壊さないためであった。
このきっかけは、街を歩いていた時に、見知らぬ男性から「よお、寅」と声をかけられてからの事だと語っている。
実生活では質素な生活を送っていたようで、車は一台も所有しておらず、
仕事での食事も店を選ばずに適当な蕎麦屋で済ませていたという。
  
長男の田所健太郎は、ニッポン放送の入社試験の際、履歴書の家族欄に『父 田所康雄 職業 俳優』と書いたことから、採
用担当者は大部屋俳優の息子と思っていたが、後に渥美清が彼の父親として来社し社内は騒然となった。
  
            (以上、渥美清 - Wikipedia より抜粋・転載)



 

 

 

 

 

山田洋次監督は次の3句を選びました。

村の子がくれた林檎ひとつ旅いそぐ

そば食らう歯のない婆や夜の駅

初めての煙草覚えし隅田川

縄文人の感想

家族構成は妻と子供2人だが、原宿に「勉強部屋」として、自分個人用のマンションを借りており、そこに一人籠っていることが多かった。長男の田所健太郎が「親族の立場」で公の場に顔を出すのは渥美の死後だった。(渥美清の実像から)

孤独感を漂わせる句が実に多いと思いました。寅さんは実は内面は孤独だったのでしょう。

 

 

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16 コメント

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寅さんの俳句、撰 ( (kazuyoo60))
2020-09-24 08:45:56
2020-09-24 08:30:44

母親に送るハガキは「俺、元気」、
いずこからでも、だったと前に読みました。

ただひとり 風の音聞く 大晦日
私もこんな大晦日です。テレビは付けていてもです。
良い悪いは別として、ご自身の信念を通された俳優さんでしたね。

9/23の記事openになっていません
大変失礼しました。OPEN遅まきながら。


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寅さんの (ヒキノ)
2020-09-24 09:55:31
   ・寅さんの 啖呵売響く 帝釈天
   ・餅草の 香り懐かしき 草団子
   ・柴又に 「あばよ」の声残し 電車去る
   ・江戸川の 堤に菜花 帰郷の日
   
返信する
寅さんの奥深さ (どんこ)
2020-09-24 10:07:10
 寅さんの俳句紐解く秋彼岸  どんこ

今、毎週土曜日の夜 テレ東で放映されている
「男はつらいよ」シリーズを見ていると
出演者の大部分が既に亡くなられており
時の移ろいをしみじみ感じています。

いい本を紹介していただき、ありがとうございました。
返信する
kazuyoo60さん (縄文人)
2020-09-24 11:59:47


大変失礼しました。
イの一番に駆けつけていただき、手違いで閉めてあり早速くOPENしました。
失礼しました。

選句していただき有り難うございました。
返信する
ヒキノさん (縄文人)
2020-09-24 12:17:46


作句、ヒキノさんが詠んでいただき有り難うございます。
キット、寅さんも草葉の陰で喜んで居ると思います。

寅さんの句
「話しの特集句会・46才」
「々    々    47才」
「昭和51年     48才」
「平成 4年     64才」
            66才
            67才
の年齢別の句を読みましたが、上達の様子がよく分かりました。

http://nantei1943.blog129.fc2.com/blog-entry-2172.html

返信する
どんこさん (縄文人)
2020-09-24 12:30:14


寅さんの俳句紐解く秋彼岸  どんこ

有り難うございます。

》出演者の大部分が既に亡くなられてお・・・。
寅さんフアンの大フアン、どんこさん同年配の我も月日たつこと早いものと、つくづく感じる毎日です。

― 渥美清さんの実像 ―
を読んで、成る程と・・・・・・ビックリしました。
返信する
こんにちは (多摩NTの住人)
2020-09-24 14:20:13
『男はつらいよ』は大好きな映画でした。同じものを何度見ても良いですよね。リタイア後は全作をまたゆっくり見直そうかとも思います。この本は知りませんでした。すぐに買うことにします。
返信する
Unknown (HAL64)
2020-09-24 20:22:16
こんばんは
私もロードショーで映画館に行っていた世代です
銀幕の寅さんはいろんな意味ですごく魅かれました

句を詠まれていたことは初めて知りました
生きものに向けた優しい眼差しが心に残りました

そして五七五をあまり意識せずに詠まれているところも
心のありのままを表されたのかなと思いました

素敵な記事をありがとうございます
返信する
Unknown (元気ばば)
2020-09-25 01:43:46
多才だったのですね
亡くなった後もこんなにみんなにしたわれる方も少ない
元気な時の姿を知らないので 今日のブログはgoodですね
返信する
(多摩NTの住人さん (縄文人)
2020-09-25 04:55:28


寅さん映画、なぜ皆さんから好かれたのでしょう。
旅に出る。
彼女に振られる。
故郷柴又に帰る。
おいちゃん、おばちゃんと一悶着起こす、
そしてまた旅に出る。
この繰り返し……のストーリー。
寅さんのキャラクタ―・・・何でしょう。
返信する

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