実家の母から電話があって、卒業式はいつかってきいてきた。
まだ先だし、別に来ることはないよ、って言った後で、そもそも母は呼ばなければ来ないタイプなのにおかしいなと思った。その瞬間、過去の封印していた記憶がフラッシュバックして、僕はあわてて電話口にむかって、誰も来なくていいから、特に父にだけは日付を教えないように、と釘を刺した。すると母はきまり悪そうに何ごとかつぶやきながらうやむやに電話を切ってしまった。
あぶないあぶない、もしまた……
いやもういいや、思い出したくもないよ。
ちなみに封印した記憶は卒業式じゃなくて、文化祭のことだったよ。