toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「指切りパズル」 鳥飼否宇

2021年10月11日 | 読書日記
鳥飼否宇は「ブッポウソウは忘れない」以来2冊目。

この本はちょっとだけ本格っぽいライトミステリと言った感じの小説。
流石にこれを本格ミステリとは言ったら島田荘司が怒ります。

そもそもすべての発端となる出来事の状況が不自然過ぎる。
ファンの前でまさにステージに上がろうとしてるアイドル歌手グループがいきなり動物の檻に手を入れて撫でようとするなんてありえないでしょう。
コンサートの始まる前とか、終わった後の出来事なら納得できるけれど・・・・。

その後も不自然な場面が結構ある。
例えば、
 ピッキングされた事件が起こったホテルにそれ以降も居続けるのはおかしい。
 ビレナノクの屋上の鍵は外側から(屋上側から)施錠される構造って変。
 動物園のタヌキの通路を何故みんなが知っていた?
 持ち去られたスマホの位置情報が動物園で途切れてたって言ってるのに、持ち帰って中身を見るという推理は成り立たない。
など・・・・。

連続指切断事件の物語は最後まで全体像が分からなくて結構楽しめる。
最後の謎解きも、探偵役の古林が刑事に説明する形で、良く有るミステリのような不自然さが無くて好感が持てる。
何と言っても、それぞれの事件が独立していることはすぐに想像がつくものの、すべて予想を超えた展開で結構気持ちよく騙される。
「ちょっとだけ本格っぽいライトミステリ」は最近多い気がするけど、その中では一番の出来かも。


ところで登場人物の名前が珍名さんばかりで、最初はその違和感でちょっと戸惑う。
普通なのは刑事の谷村と南くらい。
その谷村が「チタクリ」を必ず「ひったくり」と間違えて呼ぶのがお約束になっているけれど、完全に滑ってます。
探偵役の古林が、色んなことを連想するのは結構面白いんだけど。









南雲堂
コメント
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