toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「14歳のバベル」 暖あやこ

2018年04月14日 | 読書日記
設定が非常にユニークで魅力的なうえ、伏線もちゃんと生きていて、終盤にはハラハラドキドキの展開も有り、ストーリも面白いのに、イマイチ物語の世界に入り込めずに読み終えた。

主人公の冬人が真相に近づいてゆく過程が中盤の重大事項なのに、様々なことが何の脈絡もなく突然分かってしまう。もちろん徐々にたどり着く事も有るけれど、重要なことはことごとくいきなり理解してしまうので読んでいて「?」だらけになってしまう。
また描写が稚拙で情景がさっぱり見えてこない。
素人が新人賞に応募して、設定のユニークさで大賞を受賞して本になりました・・・と言った感じで作品としての完成度が低すぎる。
設定の面白さが全く生かし切れていなくて残念な小説。
一流の作家が書いていてもおかしくないような設定だけに本当に惜しい。
たとえば宮部みゆきが同じ設定で書いたら10倍面白い作品になったと思う。

主人公の母親がかなり異常な性格に描かれているけれど、そこまでする必要はない。

8年前の出来事と言うのが重要な問題となっているけれど、「未曾有のテロ事件」と言うだけで何が起こったのか何も書かれていない。
物語の中で、インターネットや携帯電話があると都合が悪いからそういうものが何故ないのかという暗黙の説明だと思うけど中途半端で違和感だらけ。

また最後の場面は余計。

良いテーマなだけに色々残念。






新潮社
コメント
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