筑波大学硬式野球部のブログ

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#17 二度目の大学野球 (中嶋夏樹/体育3・伊那北)

2021年03月25日 20時19分28秒 | 2021年 俺の話を聞いてくれブログ

 

「野球部を辞めたい」

こう考えたことがある人は一定数いるだろう。何せ、僕も退部を真剣に考えていた一人であるから。

このブログは、同期や先輩方への感謝と、悩める後輩たちへのメッセージを込めて書かせていただく。

 

僕が筑波大学を志したのは、野球部に所属して高いレベルに挑戦したいという単純な理由である。はじめは体専以外の
学群に入れたらなと考えていたが、学力の関係もあり高3の夏に体専志望に変えた。当時の僕にとって大切だったのは、
どんな勉強をするか、ということよりも、筑波大学で野球をする、ということだったのである。

無事合格を果たし、念願の部活動に参加した。様々な疑問を感じつつも、新人連は充実したものだった。朝練から
始まり、夜は平砂宿舎の広場でバットを振る生活、懐かしい思い出である。

 

しかし、新人連が終わりを告げようとしていた2018年5月13日、僕は1度目の大けがを負う。初出場した試合、しかも、
代走で出場した直後に盗塁を仕掛けた際、右膝前十字靭帯と半月板を損傷した。当時はケガについての知識はほとんど
持っておらず、楽観視していた部分もあったが、全治8か月程度と診断を受けたときは衝撃を受けた。


長いリハビリを乗り越え、大学2年の5月、ついに復帰を果たす。しかし2019年5月15日、1度目のケガをしてから1年と
2日後に、僕の右膝は再び悲鳴を上げた。診断結果は再断裂、1年間のリハビリ生活を余儀なくされることとなった。
この時はまだ自分の可能性を信じており、3年の春リーグから戦力になってやるという気持ちでリハビリに取り組んで
いた。しかし、この気持ちは時間とともに薄れていった。7月に手術を受け、1週間ほど実家に帰ったのだが、この時に
僕の中で完全にスイッチが切れてしまった。そして、8月の上旬につくばに戻ってきた際には、野球部を辞める決意を
固めていた。

 

退部したいと考えていた理由は主に2つある。

 

一つ目は、自分を信じられなくなったこと。1度目のケガのときも真剣にリハビリをしたが、結果として再受傷して
しまったならばどうせ次も同じだろうと考え、復帰後の姿を思い描けなくなっていた。

二つ目は、野球部のシステムの問題。身勝手な理由だが、スタッフになって今日も懸命に活動してくれている仲間や
後輩の存在を慮らずに当時の考えを正直に書くと、自分の可能性に挑戦することすらできていないまま選手の道を断つ
ことは考えられなかった。また、結果を残していない状態で選手を続けたい、と言うことにも大きな抵抗があった。

これらの理由から、これ以上部活に参加し続けることは不可能だと思い、退部を決意していた。

 

しかし、僕は心が弱い。決断したものの行動に移すことができず、部活にほとんど参加しないまま10月末のスタッフ
ミーティングに突入してしまう。この、退部を決意してからミーティングが始まるまでの約2か月間と、ミーティングの
期間中、何人もの同期や先輩方が話を聞いてくれた。その中で、僕は野球が好きで、プレーしたい気持ちは残っている
ということに気づかされた。野球がしたくて筑波大学に来たのに、その気持ちにうそをついていいのか、真剣に考えた。

 

「どんなに小さな試合でもいいから、1本ヒットを打ちたい」

 

この時の純粋な目標である。野球ができる体に戻るかどうかもわからなかった僕にとっては大きな目標だったが、他の
選手からすればかなり低い目標だろう。しかし、同期の仲間たちは、僕が選手を続けることを応援してくれた。
今となっては感謝の言葉しか見当たらない。

 

選手を続けることとなり、以降リハビリに励んだ。しかし、足の状態はなかなか回復せず、復帰の目途が立たない。
当初は3年の7月頃を目指していたが、復帰できたのは11月だった。年末までに数試合出場機会をもらったが、結果を
残すことはできなかった。

 

そして2021年、ついに目標が叶うときが訪れる。先日の茨城アストロプラネッツとの試合で、ライト前を打つことが
できた。一般的には、たいして記憶に残るようなヒットではないだろう。だが、僕にとっては大きすぎるヒット、
大学野球に取り組んできた証となるヒットだった。

 

野球と真剣に向き合うのもあと半年余り、自分のためにプレーするのはもう十分である。野球を続けさせてくれた
仲間のため、チームのために精一杯の力と心を込めてプレーしていきたいと思っている。




体育専門学群3年 中嶋夏樹

長野県伊那北高校出身

 

コメント
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