少頃歌
2009-06-28 | 短歌
所属する短歌結社の主宰者井上生二先生が、歌集「少頃歌」(しょうけいか)を出版されました。少頃とは、暫くの間という意味。平成14年に「青眼集」を出されたあとの作品が収められています。著者四冊目の歌集。井上先生は歌人であるとともに内科医院の院長でしたが、昨年からご長男にその座を譲られ、短歌一筋。心臓バイパス手術もクリアーされました。やはり、その手術前後の歌が心に残ります。父も同じ手術を22年前に受けましたので・・・
右向けば窓とならびて川ながる川は筑後川菜の花の土手
手術まであと一時間あるといふ窓外の景見納めとせず
注射され意識なくなりゆく瞬時その瞬時にて無明に入りつ
麻酔より醒めたりしかば痛きかなこの痛みありてこそ生きてゐる
かなしみを器のごとく思ふとき底ひにつねに病をしづむ
奥様を亡くされた悲しみの歌も一首加えます。
逝く妻の瞳孔にペンのライトあてたしかめて医のしごと終へたり
右向けば窓とならびて川ながる川は筑後川菜の花の土手
手術まであと一時間あるといふ窓外の景見納めとせず
注射され意識なくなりゆく瞬時その瞬時にて無明に入りつ
麻酔より醒めたりしかば痛きかなこの痛みありてこそ生きてゐる
かなしみを器のごとく思ふとき底ひにつねに病をしづむ
奥様を亡くされた悲しみの歌も一首加えます。
逝く妻の瞳孔にペンのライトあてたしかめて医のしごと終へたり
ご病気されますと、歌もよく理解していただけると思います。
奥様は長く病床にあられましたので、その時の作品も心に迫るものがあります。
今朝は少し心の痛みを感じながら拝見しました。
私も小さい手術を3度経験しました。
その時の思いが蘇ってきます
それと、手術室へ入る私を見守っていた、亡き母の顔も。
私が一番心惹かれたのは、最初の歌です。
詠まれた時の井上先生のお心を、私なりに想像してしまいました。
単なる情景歌では無いような気がして・・
最後の奥さまを亡くされた時の”医師”としての受け止め方
心に迫るものが有ります。