月あかりの予感

藤子不二雄、ミュージカル、平原綾香・・・好きなこと、好きなものを気の向くままに綴ります

「のび太と緑の巨人伝」

2008年04月04日 16時56分02秒 | 藤子不二雄


3月は何かとバタバタしていて、なかなか観に行けなかったんですが、早く観ないと上映が終わっちゃう!ってことで、ようやく今日の朝イチで観に行ってきました。

ストーリーなどの核心に触れたブログ記事などは、出来るだけ観る前に読まないようにしていたんですけど、映画の印象などをざっと拾い読みしたところ、わりとネガティブな感想が多い気がして、観る前は少し不安だったんですけど、実際に観てみたら、結構楽しめる映画になっていました。とはいっても、ネガティブな面が完全に払拭されたとは言い難い面もありましたが…。

作中では、特にキー坊とのび太の触れ合いのシーン等がとても良く描けていて、私の渡辺歩アレルギー(笑)も、ようやく少しはその悪印象を拭えるようになってきたかなと思います(^^);

ちょっとここで余談を入れます。渡辺監督については、知り合いの藤子ファンの中でも好きな人がかなり多いし、あまり表立って悪口を書きたくはないんですが(笑)、私にとってはこの人の作品を正面から観ることが出来るようになったのは、リニューアルドラのキャラデザイン、そして「のび太の恐竜2006」から後なんです。しずかちゃんの萌えキャラ化とか(笑)、テレビシリーズの演出の暴走(大山ドラ時代)で、相当キライになっていたところに、映画「パーマン」の2本で「大嫌い」になってしまいましたから(^^); とくに映画「タコDEポン!アシHAポン!」は、私が小学生時代から大好きだった原作「鉄の棺おけ突破せよ」がベースと聞いて、あの名作の何をどうすれば、こんなワケクチャワカラン映画になるんじゃー!!と怒り心頭でした(笑)。そうなると「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の喩え通り、一連の感動シリーズの短篇映画も、過剰な感動演出が鼻につくようになってしまったのでした。

今回の「緑の巨人伝」では、確かに多少くどい点もあったものの、以前ほどは気にならなくなってきました。むしろキー坊との触れ合いは心地よくも感じられました。

ただ、今回の映画を観て……渡辺監督は、ジブリ作品に何かコンプレックスでもあるの?と思ってしまいました。

キー坊と一緒に空を飛ぶシーン(というより、バズ・ライトイヤーに言わせれば「落ちてるだけ」なんですが)は、明らかに「千と千尋の神隠し」だし、物語全体を通して「もののけ姫」と「風の谷のナウシカ」の雰囲気が漂いまくってるし…。後半は、のび太か誰かが「あのドロドロに触ると死ぬぞ!」なんて叫びやしないかとハラハラしましたよ(^^);

私は「ドラえもん」もジブリ作品も好きですけど、別に「ドラえもん」がジブリ化する必要は全くないと思うんですよね。ストーリーの中盤までは非常に素晴らしい出来だったのに、後半、一気に難解になってしまったのは、ちょっと「ドラえもん」としてはどうかな?と思いました。映画などを観て「考えさせられる」のと「考えなきゃ分からない」のとは、似て非なるものです。近年のジブリ作品は、ちょっと後者になっているきらいがありますが、何も難解な映画がダメと言っているのではなく、観客の層の問題なんです。ジブリ映画は子どもも観ますが、大人もたくさん観る一般向け映画です。ところが「ドラえもん」は、観客の中心はまだ幼い子どもなんですから、一部の賢い子は分かったとしても、それ以外の子どもたちがストーリーから取り残されるなんてことは、決してあってはならないと思うんです。自分自身も子ども向け作品の執筆に挑戦している一人だから、子どもに楽しんでもらえる作品づくりの難しさは分かります。だから自戒の意味もこめて、そのことを強く意識せざるを得ませんでした。

たとえば、藤子先生が晩年に描いた映画原作「のび太の創世日記」は、仮に「行き過ぎて」しまったとすれば、今回の「緑の巨人伝」のようになっていた可能性があったのではないかと思います。ストーリーの類似という意味ではなく、あくまで構成上の問題です。行き過ぎそうなところを踏みとどまって、その結果として、あまり面白くはない作品になってしまった(と、私個人は思っている)のですが、少なくとも子どもが内容を理解できない領域にまでは行ってしまわずに済んだのではないかと…。「緑の巨人伝」は、大人が観ても、後半で「??」となる部分がたくさんありましたから、そういう意味でちょっと「行き過ぎて」しまったように感じました。

思い返してみると、藤子先生が原作を描いた映画「ドラえもん」シリーズは、どれだけ世界が破滅の危機に陥ろうと、ストーリー自体は非常に分かりやすいんです。SF的なメカニズムも、しっかりドラえもんの口を借りて、科学的に子どもにも分かりやすく説明してくれます。だから子どもが作品を観る上であれこれ悩む必要はなく理解できるけど、後から自らに置き換えて考えさせられる部分もしっかり描かれている…。藤子先生はそういう物語作りを心がけておられたのではないかと思います。

来年は「のび太の宇宙開拓史」のリメイクのようですが、トカイトカイとコーヤコーヤという二つの星を巡る「大人の世界の抗争」、そしてタタミの下と宇宙が繋がるという、突拍子もないほどに不思議なSF設定を、いかに子どもにも分かりやすく描いているのか、スタッフの方々には今一度原作をしっかり読み返して頂きたいものです。

それでは、その他の気付いた点を列記してみます。

ドラえもん、影薄し!!(^^); まぁ、映画の主役はのび太だし、ドラえもんがひみつ道具を使えば、物事が簡単に解決してしまう面も多いから、毎年「道具封じ」が重要なファクターになるのは理解できるんですが、今回はほとんどの道具を使えなかったこともあって、かなり影が薄い印象でした。それに、そのこともあって、今回の映画は別に「ドラえもん」じゃなくても話が成り立つんじゃないか?とさえ思いました。それって実はかなり致命的なことなのでは…(汗)。「恐竜」も「魔界大冒険」も、ドラえもんの道具があって初めて成り立つ作品世界ですけど、今回はキー坊の誕生に「植物自動化液」が必須だった、それだけのことなんですよね(^^); それって「木の妖精」とかに置き換えても、極端な話、ドラクエか何かであっても成立してしまうのでは…。ドラえもんの存在意義を考えてしまいました。

昨年に続き、金子志津江さんの作画はかなり良いです(^^) 大山ドラ時代はあまり好きではなかった作監さんなんですが(笑)、わさドラでは良い仕事をしてくれていると思います。原画スタッフに「わたしのアンネット」を手がけた竹松一生さんのお名前を発見♪ 結構当時の名劇スタッフが関わっているのも、わさドラの特徴ですね。ついでに言うとキー坊のデザインは、パンフレットに載ってる初期デザインの少年っぽいキャラにならなくて正解だったと思います。デザインはアレンジされていても、原作のキー坊らしさが残っていて、しかも可愛くなってて素晴らしいです(^^)

リーレの台詞回しに「もののけ姫」のサンを感じたのは私だけではないと思います(^^); さらに登場シーンでは、一瞬キャスティングまで、サン役と同じような過ちを犯したのでは…と思いました(笑)。登場シーンではコミカルな演技が要求されていたのですが、その辺が堀北真希さんには少し難しかったようで…。だけど、そんな不安を感じたのは最初だけで、意外に堀北さんの声はリーレに合っていたし、全体を通せば演技も堂々としていて良かったと思います。後半はほとんど違和感もなかったし、昨年の美夜子役と比べると、相武さんには悪いけど、かなり上手だと思いました。

シラー役が大好きなピルーカス監督……じゃなかった、大塚周夫さんで嬉しかったです(^^)

長老ジィ役の三宅裕司さん……第一声から顔が浮かんで仕方なかったです(^^); といっても別に演技が悪かったわけではなく、声が独特な方ですからねぇ。「愛」うんぬんの台詞はくど過ぎだと思ったけど、それは脚本の問題であって三宅さんに罪はないです(笑)。

今回の映画は子役が多かったですね。私はアニメキャラを子役が演じることには、基本的には反対の立場なんですけど、メインキャラとしての出演ではなく、あの程度のアクセントならアリかなと思いました。メインでも、キー坊役の吉越拓矢くんは普通に上手でした。コゼット(松元環季さん)も出てたし(笑)。

音楽がまた泣かせてくれました(T◇T) 沢田完さんのメロディアレンジって本当に素敵♪ ここぞ!というところに主題歌「手をつなごう」のアレンジ曲が流れるんですが、思わずウルッとしてしまいました。それ以外の劇伴も素晴らしくて、ぜひサントラを出して欲しいです。あまりにも長年にわたって手がけていた菊池俊輔さんの印象が強すぎて、わさドラ初期の頃はあまりピンと来なかった沢田さんの音楽ですけど、今ではかなりのファンになっていたりします。あーやの曲もぜひまた手がけてください(^^)

絢香さんは、今では結構好きなアーティストの一人なんですけど、この主題歌も良い曲ですね♪ 先月ダウンロード購入して、よく聴いています。ここ3年間の映画「ドラえもん」主題歌は、作品にマッチした良い曲ばかりで嬉しいです。今後、お願いだから「ホットミルク」のようなだけは繰り返さないで欲しいものです…(笑)。そして来年はぜひ、宇宙デビューを果たした平原綾香さまの起用をっ

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