月あかりの予感

藤子不二雄、ミュージカル、平原綾香・・・好きなこと、好きなものを気の向くままに綴ります

「ウェストサイド物語」

2008年06月06日 23時47分04秒 | ミュージカル/演劇


ちょっと時間が空いてしまいましたが、中学の同窓会のため大阪へ向かったついでに、京都で上演中の劇団四季ミュージカル「ウェストサイド物語」を観てきました

この作品は1995年を最後に、10年以上も劇団四季によって上演されることはなかったのですが、昨年9月に東京で久々に再演されました。再演を知ったときは、ぜひ東京まで駆けつけたかったのですが、さすがに予算が許してくれなかったので、京都公演が決まったときはぜひ行きたいと思っていたのです。折良く同窓会が5月に開催されることになったので、それにかこつけて京都まで足を伸ばしたのでした。5月30日のソワレと31日のマチネ、2回続けて観てきました 31日は終演後ダッシュして電車で大阪へ向かい、そのままの足で同窓会に向かったのでクタクタでしたが

私が最後にこの作品を観たのは、自分の記録が正しければ1995年3月の名古屋公演が最後です。それ以来、実に13年2ヶ月ぶり…。一時、四季が上演権を宝塚に貸したとか売ったとか、そんな話を「ラ・アルプ」で読みましたけど、「いつかはまた四季がやる」という浅利さんの言葉を信じて、ず~っと待ち続けていたのです。約束は果たされましたが……まさか13年も観られないとは思いませんでしたよ

とにかくこの作品は大好きで、ダンスの振付もわりと正確に頭の中に入ってるほど(当然踊ることは出来ませんが)、映画版を繰り返し観ています。この前、四季劇場に「ウェストサイド物語」を観に来てくれた、映画版でベルナルド役を演じたジョージ・チャキリスさんが、もうとにかくカッコ良くて~ ナタリー・ウッドさんのマリアも可愛らしくて大好きでしたし、リタ・モレノさんのアニタも良かったな~

……今日は舞台版のお話でした(笑)。

そんなわけで映画も繰り返し何度も観ていますが、舞台とどっちが好きかと言われれば、やっぱり断然舞台版なんですよ。あのダンスの迫力はやっぱり生で観たい…。映画版のダンスも洗練されていてカッコいいんですけど、生で観たいというフラストレーションが溜まってしまいます

今回もオーバーチュアが終わって、プロローグのダンスシーンを観たときから、まさに鳥肌が立ちましたね~ 13年前も良かったけど、リフ役の松島勇気さん、ベルナルド役の望月龍平くんなど、若いダンサーたちが繰り広げるダンスが、もう心底惚れ惚れしてしまう程にカッコいい~

特に「もっちー」こと望月くんの演技が、以前より格段に素晴らしくなっていたのに感動しました 私は「コンタクト」で初めてもっちーのダンスを観て以来、彼の大ファンで、「キャッツ」のミストフェリーズ、「ユタと不思議な仲間たち」のユタなどの作品で彼を観てきましたが、ダンスのしなやかさが素晴らしいのは言うまでもないものの、演技については「可愛らしい」印象がありました(笑)。おそらくユタの印象が強かったんでしょうけど(^^); 残念ながら彼が演じてきたストレート・プレイの数々は観る機会がなかったのですが、そういう芝居でかなり鍛えられたのではないかなと思います。もう、見事なまでにシャーク団のボス、そしてマリアの兄を演じきっていました。彼ならリフ役も普通に出来ると思いますが、そっちも観てみたいものです。今回は5/30の公演前にリハーサル見学会にも参加していまして、もっちーは司会をやっていました。観客からの質問で、「一番しんどいダンスナンバーは?」という質問があって、他の俳優さんが「Cool」だと言っていたんですが、もっちーは「あのナンバー大変みたいですね~。僕なんかはぜひ踊りたいと思うんですけど(笑)」と余裕の発言(笑)。このナンバーが終わった直後に、ベルナルドが登場するんですけど、舞台裏では踊りたくてウズウズしている、もっちーがいるんでしょうね(^^);

トニーは阿久津陽一郎さん。たしか「アイーダ」でラダメス役を観て以来だから、約2年ぶり…。30日の公演では「マリア」のナンバー等で声がひっくり返ってしまって心配したんですけど(笑)、31日はキレイに歌い上げてくれていました。彼は基本的に安心して見ていられる俳優さんの一人ですね。だけど個人的には、トニーは芥川英司さん(現・鈴木綜馬さん)の印象が強くて、微妙にイメージが違うように思えなくもありませんでしたが、あくまで個人的な印象なので(^^); 彼の芝居そのものは良かったと思います。ちなみにリハーサル見学会のとき、彼は「I Feel Pretty」のシーンの演技指導をやっていました。「岡村さんの友達」も立派になったもんです(笑)。(←「めちゃイケ」の話です)

マリアは花田えりかちゃん。伸びやかな歌声が素敵で可愛らしいマリアでした あまり見たことのない女優さんで、それほど詳しくは知らなかったんですけど、リハーサル見学会で、もっちーが彼女をたしか「シュウちゃん」と呼んでいたので、なんでかな?と思っていたら、彼女は韓国出身の女優さんなのだそうです(リハーサル見学会でご本人がそう言いました)。最近の四季では、外国人キャストが日本風の芸名を使うことが多くて、人によっては言われなきゃ分からないほどに台詞にも違和感のない人もいますが、どう考えても発音がおかしいのに日本名の人もいたりして、正直なところ違和感はありますね(^^); だけど彼女は日本語もよく勉強してくれているようで、リハーサル見学会でも、ほとんど違和感なく日本語でお話してくれていました。「嬉しかったプレゼントは?」という質問で、「日本人のお客さんが、一生懸命勉強してハングルで書いてくれた手紙」と答えたときは、ちょっとウルッとしてしまいました。(ちなみに、もっちーはこの質問に「現金!」と即答。そんなお茶目キャラとは知らなかった

全くの余談ですが、この「ウェストサイド物語」は、アメリカ人(アメリカで生まれた人)のグループと、プエルトリコから移住してきた人のグループが対立しているという構図で描かれています。お互いのグループが相手を罵り合うシーンを見ていると、なんというか、日本人と韓国人(あるいは中国人など)が、ネットの掲示板などで罵り合ったり、相手を非難している光景とダブってしまい、少し複雑な感情になりました。私も正直なところ、「国家としての」韓国や中国は、それほど好きにはなれない面がありますけど、だからと言って、別に韓国人や中国人の全体が嫌いなわけでは決してないし、戦争などの不幸な過去をどうにか乗り越えて、お互いに仲良くしていけるようになれば良いなと願ってはいます。しかし現実はなかなか難しい…。竹島問題もあれば靖国参拝問題、尖閣諸島…。そういう大きな問題でなくても、たとえば四季が韓国で「ライオン・キング」を、韓国人俳優が演じて上演すると発表した際、「日本の劇団が主導するという点」において「文化侵略」云々を理由に、韓国で猛反発が起きたという報道も記憶に新しいです。(結果的に公演そのものは赤字だったものの、わりと成功を収めてくれたようですが)

今回、マリア役を韓国出身のえりかちゃんが演じていたことで、ちょっとそういう問題とダブって見えてしまいました。たとえばジェット=日本人、シャーク=韓国人(これらは逆でも良いですよ)と置き換えて観てみると、民族対立の構図が少し身近に感じられるというか…。そんなことを考えてしまったりしました。

ちょっと長い余談になってしまいましたが(笑)、この「ウェストサイド物語」は、「ロミオとジュリエット」をベースに、半世紀も前に作られた作品でありながら、今日まで続く民族問題や、もっとストレート「憎しみ合う人間たち」の姿を、ダンスを通して描き出していて、全く古びたところのない、時代を超えて愛される傑作だと思っています。

アニタ役は団こと葉さん。ところで私、この女優さんのサイン貰ってしまいました



四季の会の会員が貰える来場者プレゼントですけどね(笑)。初めて観た女優さんなんですけど、力強くてパワフルなダンスと、「A Boy Like That/I Have Love」のナンバーの歌声が素敵でした。そういえばアニタ役には、あーちゃんこと樋口麻美さんもキャスティングされていて、こちらもぜひ観てみたいです。数年前なら普通にマリア役になっていそうな、あーちゃんがアニタ役になるほど長い間、四季は上演してなかったんですねぇ

ところで、ドック役の岡田吉弘さん…。劇団昴の俳優さんなんですが、私はこの俳優さんの第一声から、「なんか、ディズニーのおとぼけキャラみたいな声だなぁ」と思っていました(笑)。しばらく聞いてると、「この人、P.T.フリー(「バグズ・ライフ」に出てくるノミ)の声にそっくり!」と思いました。昔よく、彼の放つ「マッチー!!」という叫び声の物真似をしたものです(笑)。あまりにも声が似ているので、帰ってから「バグズ・ライフ」の日本語キャストを調べたら……ご本人でした(笑)。まさか、こんなところで「バグズ・ライフ」に出ていた声優さんを生舞台で観られるとは思いもしませんでしたから、変な意味で感動しました(笑)。だけど、ドック役としては……どうなんだろう(^^); 個人的に、故・井関一さんの演じる渋いドックの印象が強すぎるんだと思いますけど…。

もっと色々と書こうと思っていたんですが、なんだか長くなってきたので、ここいらで終わりたいと思います(^^); 結論としては、やっぱり「ウェストサイド物語」は、やっぱり素晴らしい舞台だった!の一言です。映画版ではカットされた「Somewhere」のシーンも久しぶりに観ましたが、このシーンと、体育館のダンスから、トニーとマリアの出会いへ導く一連のシチュエーション、四重奏の「Quintet」など、ミュージカル史上に残る名シーンだと思っています。福岡公演、全国公演なども今後も機会があれば何度でも足を運んでしまいそうです。

↓期間中、2回観てスタンプを集めると貰えるタンブラー♪

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