落語は好きで,
たまにテレビやCD,DVDなんかで観たり,聞いたりする。
巧みな話芸でグイグイ中に引き込まれてしまうのが,
落語のすごさでござる。
そうして,痛快な会話に魅力を感じる。
任侠映画を観た後は,なんだか歩き方が変わるように,
落語を聞いた後は,なんだか威勢のいい言葉を使ってみたくなる。
ただ,江戸言葉ができないので,
何ともへんてこな言葉になるのでござるが・・・。
そんな,魅力ある落語の言葉を集めたのが,
「使ってみたい落語のことば」(中央文庫:長井好弘)でござる。
痛快な言葉,愛嬌のある言葉,
粋な言葉,すっとぼけた言葉・・・等々,
是非とも使いたい言葉が盛り込まれている。
しかし,先ほども述べたように,
江戸の言葉ができないので使う機会が・・・。
でもね,よく考えると,
それだけとは云えないようなのでござる。
つまり,人間関係でござるよ。
落語に出てくるような人間関係が今できているのか?
と考えると,そうではなさそうなのでござる。
希薄と云ってしまえば簡単だが,
味のない人間関係の元では,
味のない言葉しか生まれないような気がするのでござる。
落語で人間関係を考えるのもいいかもしれない。
ちょいと昔,
もう亡くなった円楽師匠が,
弟子に稽古をつける場面があった。
言葉の抑揚だけでなく,目線や言葉の間で距離感を出す稽古だ。
これがなかなかに興味深かった。
落語には,言葉の人間関係,
距離感としての人間関係が生きているのだなと,
思ったのでござる。