弁護士辻孝司オフィシャルブログ

京都の弁護士辻孝司のブログです
弁護士の活動、日々感じたことを弁護士目線でレポートします
弁護士をもっと身近に・・・

「死刑、いま命にどう向き合うか」2019.3.2

2019-03-29 14:36:03 | 社会・経済

京都弁護士会・日弁連主催、シンポジウム「死刑、いま命にどう向き合うか~京都コングレス2020に向けて~」に参加しました。

 

★映画上映

第1部(午前)は「三度目の殺人」(是枝裕和監督)の上映です。

仮釈放中の殺人事件で裁判を受けている被告人(役所広司)と弁護人(福山雅治)の接見場面を通じて、裁判、真実とは何かを問いかけてきます。

必ずしも真実が明らかにならない裁判で、命を奪う死刑は正しいのかを考えさせられました。

 

★基調報告

第2部(午後)は、基調報告「京都コングレス2020~日弁連がめざすもの」で始まりました。

京都コングレスのテーマは「SDGsの達成に向けた犯罪防止・刑事司法及び法の支配の推進」です。

SDGsは国際的なレベルでの法の支配の促進を目標としており、ホスト国、日本には死刑廃止議定書や自由権規約委員会からの勧告を真摯に検討することが求められていると報告されました。

 

★ゲストスピーチ

シンポには、昨年12月に発足した「日本の死刑制度の今後を考える議員の会」幹事長の遠山清彦衆議院議員、藤野保史衆議院議員、ローマ・カトリック教会の前田万葉枢機卿、アリスター・カーマイケル英国国会議員という多彩なゲストのスピーチがありました。

カーマイケル議員は、家族や愛する人を失い苦しんでいる被害者遺族との関係では死刑廃止は殺人犯を許すことになるとの根強い意見があることも忘れてはならない、犯罪被害者への共感を表さない死刑廃止は成功しない、そして、死刑廃止は決して簡単ではないが正しい道である、実現したとき、日本はもっと良い国になるだろうと語られていました。

 

★対談「対テロ戦争における命」

  

特別ゲストは、昨年シリアで解放されたジャーナリストの安田純平氏でした。

「死刑の基準-『永山裁判』が遺したもの」「教誨師」などのノンフィクションで知られる堀川惠子氏を聞き手に、シリアでの拘束経験を話されました。

物音を立てるなと言われ、音がしてしまうので身動きもできなかった、拷問を見せつけられ、死んだほうがましと思うこともあったなど過酷な経験が語られました。

安田氏と同じく死の恐怖に曝され長期間拘束された袴田巖さんを思い出すとの堀川氏のコメントに多くの人が共感しました。

 

★講演「国家が人を殺すとき,死刑を廃止する理由」

  

ドイツ人ジャーナリストのヘルムート・オルトナー氏の講演です。

誤判は決して稀ではなく無実の人が死刑になるおそれがある、

ヨーロッパでは最高刑が終身刑であることを多くの人が受けて入れている、

コングレスが開催される2020年には死刑廃止への国際的圧力も強まる、

人権活動家や刑法学者がイニシアティブを発揮すべきとのことでした。

ご著書「国家が人を殺すとき~死刑を廃止すべき理由」の日本版(日本評論社)では死刑執行の実情が書かれており、ぜひ勉強したいと思います。

(写真は、シンポ前日に龍谷大学で開催されたオルトナー氏の研究会の様子です。)

 

★パネルディスカッション「死刑,いま命にどう向き合うか」

 

パネルは、安田氏、堀川氏に加えて、龍谷大学浜井浩一教授も加わって行われました。

浜井教授から、日本の死刑にはリアリティがないため社会の反応が薄いとの問題提起がありました。

堀川氏からも死刑を取材してもどこからも情報が洩れてこない、メディアもタブー視しているとの指摘がありました。

死刑についてリアルに考えてもらいたいと、

戦場で見た「テロリスト」(安田氏)、永山則夫氏(堀川氏)、長期受刑者(浜井教授)の実像についてそれぞれ話がありました。

さらに、堀川氏から、取材で出会った犯罪被害者遺族の多くが孤立し、絶望的な状況にいることが話されました。

浜井教授からは、ノルウェーでは死刑もないが、他方で犯罪被害者のための官庁があり国が被害者・遺族を支援し、福祉国家として被害者・遺族の生活も守っている、だからこそテロ事件が起きても死刑を求める声が上がらないとの話がありました。

 

京都コングレスまであと1年です。

日本の刑事司法が国際水準に達しているとのかが問われます。

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« カルロス・ゴーン氏に見る弁... | トップ | 「元刑務官が語る刑務所の実... »
最近の画像もっと見る

社会・経済」カテゴリの最新記事