今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・大岩山、古界名山

2010年12月08日 | 山登りの記録 2010
平成22年12月5日(日)
 大岩山1,144m、古界名山1,131m

 先月の六合温泉医療センターで人間ドックの帰り、王城山に登ってからいつものように暮坂峠を下って中之条に降りた。沢渡温泉手前の有笠山はいつもここを通るときに目に付く岩山だが、手前の大岩集落の背後には左右に屏風のように岩山が並び立っている。左が大岩山で右が古界名山(こがいなやま)だ。この2山は横田氏の「私が登った群馬300山」に紹介されていて知った山だ。こうして実際に見上げると、何とも登高意欲をそそる山で、西上州辺りの藪岩山の雰囲気がある。この岩山を形成する砂岩やチャート等のやや赤みを帯びた岩もそんな雰囲気を助長する。そんなことから、この方面、次に登るのはこの大岩山と古界名山と決めていた。このところ連続して県内の山に登っている。今年はあと何回山に登れるか分からないが、全部県内になりそう…登りたい山がこのところ沢山浮かんでいる。

 土曜の夜家を出る。中之条の沢渡温泉先だから、車で2時間かからない程度の距離。今回はまず大岩山に登り、次いで古界名山に登ろうと思っていた。「群馬300山」の情報も、やや時が経ってきて現地の状況にも変化が多くなっている、ネットで新しい情報を幾つか仕入れて今回は参考にした。大岩山の登山口である大岩集落にある大岩不動尊入り口からコンクリート舗装された林道を少し入り、適当な駐車スペースに車を停めた。外に出ると、星空が杉林の上に広がり、沢の流れの音がしていた。それ程寒くは無い。11時に到着し、アラームは6時半にセットしてシュラフに潜った。

 目が覚めると間もなく6時半。少し寒い、まだ薄暗いのでまたシュラフに潜る。結局7時近くになって起き、パンを食べて7時12分に出発。林道を先に進む。しばらく歩くと、車止めのロープが張られ、そこから未舗装のやや細くなった道を進むと、大岩の三又杉がある。三又と言っても、伊勢湾台風で一本折れたということで、二又杉だった。補強に巻かれた金属ベルトが成長した樹に食い込み始めている。外して付け直すか、あるいはもう補強のベルトは不要ではないかと思う。折れた部分が黒く腐食を始めているので、そこの手当てが必要か?杉の直ぐ先に覆いかぶさる岩壁の下に食い込むように造られている大岩不動尊があった。7時半に大岩不動尊着。こんな所にわざわざ造ったのも、いかにも神様が(不動様か?)好みそうな雰囲気だからだろう。50m程の庇状に被った岩壁の下にあるので、上から岩が落ちてきそうだが、なかなか良い雰囲気です。不動尊の向かいは沢の流れが屈曲して美しい渓流になっていた。

 石段を上り、不動尊にお参りしてから下の流れ出ている御神水をペットボトルに満たす。300山によると、三又杉のところから上に登るとあるが、最近登ったMaunten warkの masaさんのネット情報から、この不動尊の建物の右手背後から登る方が良いらしいとのことなので、不動尊から右手に岩を巻いて上がると踏み跡とテープのマーキングが有り、左に岩を見て杉林をジグザグに登る。すぐに大岩不動尊の上に覆いかぶさる岩の上に出て、そこが尾根の突端だった。木の間越に吾妻の低い山並みが朝日にシルエットで並んでいる。岩壁の縁にはぐるりと網が張られていたから、あるいはこの道は不動尊を管理する必要から付けられた道かもしれない。この尾根は地形図上の973標高点がマーキングされた尾根で、大岩山へは随分迂回したルートになる。三又杉あたりから取り付くと、大岩山をぐるりと巡らす岩壁のいずれかに阻まれるので、大外からアプローチするほうが安全な様だ。この尾根には踏み跡があり、すぐになだらかな膝丈のミヤコザサの緩斜面で落葉松にナラが混じる明るい登りになった。

 右手奥にやや逆光で樹林越しに大岩山が見えているが、むしろ遠ざかっているような感じにさえ見える。陽射しは暖かで、予報によると今日は小春日和になるという。やがて、右に杉林が並んだミヤコザサの一直線の上りになった。尾根の左手は木が無いので、松岩山方面の山々が良く見えるようになった。振り返ると浅間隠山も真後ろに見えていた。しかし、笹丈は胸に届くくらい深くなり、それなりに登りにくくなってきた。疎らに生えている落葉松の低い枝も顔に当たって煩わしい。踏跡は薄っすらと付いているが、なるべく藪の薄い杉林側を登っていく。

 8時20分に林道に出る。この林道は300山の案内にも記載があるが、この末端の林道広場から大岩山の稜線に登り上げるようだ。5分も東に歩くと直ぐに林道終点の広場だった。ここからまた胸丈の笹薮を漕いで、上に見えている杉が並んだ稜線を目掛けて登る。特にルートらしいところも無く、赤テープが散見されるが余り当てにはならない。やがて沢の源頭状の笹の緩い斜面になり、古い作業道の名残のような道型を拾って、最後は笹の斜面を強引に登り上げると稜線に出た。稜線に出てもテープ類は時たま見られるが、特に顕著な踏跡が在るわけでもない。笹の小山を登ると、先に同じ様な高さのピークが続き、東に派生したやや低いピークとの間は笹のくぼ地になっていた。地形図から判断して、この辺り一帯が大岩山の山頂部らしかった。

 そのまま南に続く小山の縁まで行ってみたが、そのピークは正に下の大岩集落から見上げた大岩山大岩壁の上だった。落葉松に雑木が混じる樹林に囲まれ、腰丈のミヤコザサにびっしりと覆われている。樹林越の真下に大岩不動尊辺りの岩が見下ろせた。この付近が地形図上の1140m圏らしいが、このピークには何も見当たらなかった。戻って、地形図に標高点1,144mの記載がある、どうみてもやや低い東寄りのピークに登る。この付近一帯も腰丈のミヤコザサで落葉松や雑木に囲まれている。9時16分に1,144mピークに着いた。ここに大岩山のプレートが2つあった。木製のものと、Gさんのプラ名板。

 大岩山頂は全体に樹林が茂り眺めは良くないが、樹林を透かして北に県境方面の山々や、東に高田山、すぐそこには古界名山などが見えていた。陽射しは強く、寒さは感じない。地図で見ると大した距離ではないが、登りに2時間を要した。朝出掛けに食べ残した蒸しパンとせんべいを食べて少し休んだ。山名板のあったピークから下って南の外れまで行くと、そこはまた岩壁の縁になっているようだが、樹林がうるさく確認できない。わずかに藪を突き出した岩の上から五輪沢対岸の古界名山が目の前だった。岩頭を並び立たせた藪岩山で、ぼく的には好きな雰囲気の山だった。9時54分に大岩山頂上部を下り、来たルートを引き返した。

 10時22分に林道終点広場に下り、また笹の尾根を下って10時47分に不動尊まで降りてきた。相変わらずヒトケの無い不動尊から林道を戻る、林道では日曜なのに途中の作業小屋に車が停まり、伐採作業中の人が数人見られた。11時2分に車に戻った。

 次は古界名山だ。大岩不動尊口から県道を沢渡温泉方面に戻り、有笠山の丁度真下辺りの牧場集落から、老人健康施設「美ら寿」と「仙人窟」の看板に従って舗装路を上ると、人家を過ぎ、ジグザグの上が突き当りで、既に廃業されている老人健康施設の手前に「仙人窟」の看板があった。11時20分に仙人窟への遊歩道に入る。向かいの有笠山は、逆光にシルエットになり、サルの頭か、ガイコツの頭の様な異様な形で目を引く。柵で入れないようにしてある旧老人施設の裏側に回り、そこから上に向かうと伐採地で眺めが良い。行く手の古界名山は左に覆いかぶさるごとく聳えている。東側から見る古界名山は全体には藪山だが、頂上部の下を帯状に岩壁が巡っていた。

 歩きよい遊歩道を進み、2つ目のベンチに東屋を見る。その先が「仙人の滝」の分岐で、とりあえず仙人の滝を見にジグザグに下った。50m程下った所が仙人の滝を見上げる滝見のポイントだ。仙人の滝は水量こそ少ないものの、5,6段に分かれた岩棚を20m程の滝が落ちていて中々良い雰囲気だった。分岐に戻り、その先にしばらく行くと小さな沢を挟んで杉林になり、看板によると仙人窟まで285mとあった。仙人窟は西向きの切り立った岩壁の上にある。そこまでの道も柵や梯子・ロープなどがあり、足場の悪い切り立った岩壁沿いを下る。仙人窟に12時半に着いた。仙人窟は奥行きと幅が共に10m程の洞窟で中は結構広い。何といっても、切り立った岩壁の上にある洞窟というのが見ものだ。

 仙人窟から引き返し、杉林の沢のところから古界名山に登り上げる尾根に取り付く。「…300山」の案内では、随分大回りに迂回しながら稜線に登り上げている。途中には岩記号もあるようだが、仙人の滝分岐から直接稜線に登り上げている笹尾根を直登する事にした。しかし、これは標高1,000m辺りを帯状に巡っている岩場に突き当たり、登れなくなる。岩場の下を南に迂回し、ルンゼ状の所からまた上の笹尾根に登り上げた。ここには新しい黄色のビニール紐が点々と付いていたから、このルートを辿る人も居るようだ。笹丈も深いし、低木類も結構うるさい。しかし、特に岩を攀じる程のところも無かった。「…300山」の案内図のルートに修正して1,210m三角点峰寄りの尾根を進むが、赤テープはまばらにあるが、踏み跡も薄く不明瞭だ。低木類や深い笹、ぐずぐずの斜面等で結構時間を喰った。

 目の前に古界名山がすっきり見える尾根上部に出た。1時38分に杉林の稜線に出て、薄い踏跡と頻繁になった赤テープだが最早不要。広々した笹原から急になった最後の登りで少し汗ばんで、頂上手前の岩峰に着く。ここからは松岩山が立派に見える。松が目立つ低木もうるさい藪を少し進むと、西側が岩頭になった古界名山山頂だった。2時3分に山頂着。随分時間が掛かったものだ。

 松の木が岩頭の上に枝を伸ばしてやや邪魔な感じだが、そこからはすっぱりと切れ落ちた対岸に大岩山がずんぐりとして見えた。もうこの時間では日が傾いて逆光で見づらいが、見下ろすこの光景はおしりがむずむずする眺めだった。OHCと書かれた山名板とGさんの「こげえなやま」とかかれたプラ名板があった。快晴の空は西方面に眺めがあった。一人きりの絶壁でパンを食べ、しばらく眺めを楽しみ、2時37分に山頂を下る。

 もう夕方の雰囲気になった。来たルートから、やや「…300山」の案内ルートに修正しながら、3時半に仙人窟分岐まで降りた。あとは遊歩道をのんびり戻る。遊歩道から見上げた雑木林の中で、カモシカが一頭しばらくじっとしてぼくを見ていた。夕日を浴びた古界名山や有笠山の眺めを楽しみながら4時6分に車に戻った。

 帰りは沢渡温泉の共同浴場による予定だったのだが、狭い駐車場に溢れた車で寄ることができず残念。結局、帰路途中にある『昔の湯治場の雰囲気』が残る好印象の小野上温泉センターで入浴しようと立ち寄ると…なんとリニューアルされ、どこにでもあるしょうもない日帰り温泉になっていたのはがっかりだった。人も多く、塩素臭もして、ここももう寄らないな…。以前は昔の箱根の古い旅館のお風呂のような佇まいがあって大変好ましい所であったのに大変残念だ。

 とりあえずは汗を流して、帰路に着いた。大岩山と古界名山は楽しい山でした。

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