徒然にふる里を語る

 一市井の徒として、生まれ育った「ふる里」嬬恋村への思いをつづります。

道脇

2013-09-23 11:27:34 | Weblog
 畑に向かう道脇に数本栗の木がある。先日の台風でもまれたか、クリが落ちている。軽トラックをとめてクリを拾う。虫が入っていないうえ、山のクリとしては大きい。10分もしないうちに5合ほど拾った。家内がその気になれば、クリ飯にはなりそうだ。

子供の頃、夜半に強い風が吹いた翌日は、母親に連れられて裏山にクリ拾いに入った。勿論、隣近所誘いあってだが。クリの木を見つけてその下をはいずり回るように拾う。落ち葉に隠れて意外と難しい。台風の翌日は成果が上がった。子供の私でも2升くらいは拾ったものだ。

冷や汗の出るような思い出もある。ある時、小学校へあがった妹を連れて2人で山に入った。母親から妹から目を離さないように、といわれていたのだが、夢中になってクリを拾っているうちに、気が付いたら妹の姿が見えないのだ。林の中は同じような光景で方向を惑わす。妹の名前を叫ぶのだが返事はない。だんだん、不安な気持ちになってくる。

林中を動いては呼び、動いては呼ぶのだが、反応はない。いやな胸騒ぎ襲われて涙が出てくる。仕方なく、べそをかきながら、入ってきた山道に引き返す。すると突然、私を呼ぶ声がする。声の方に走るとクリの老木の下に妹が立っている。私の顔を見ると大きな声で泣き出した。

勿論、家に帰ると母親からひどく怒られた。そのうえ、クリの入った麻袋を山の中に落としてきたのだ。

今、クリを拾いに山に入る人はいない。

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