10月の航空祭ラッシュのトリになります、立川駐屯地の防災航空祭に行ってきました。
日付は10月23日。去年と比べると若干遅いようにも思いますが(昨年は9月19日)、まぁ同時期と行っても許容範囲でしょう。
なんの因果か、今年も夜勤のある日にぶつかってしまい、午前中で早々の撤退を余儀なくされました。ホントは最後まで居たいところなんですが…残念。
でも今年はいいことが一つありましたので結構印象に残る日でした。
さて、当日現地に到着して早々に驚いたのが行列の長さ。仕事の関係で会場に到着したのが9時20分頃だったのですが、その時点で200~300mほどの行列ができていました。会場入り口で金属探知機による身体チェックを実施していたことが原因と思われますが、昨年はここまでの行列はなかったのでちょっとびっくり。「ここは厚木かい!」などと内心突っ込んでしまいました。
その他駐屯地に入る前に目についたのは、昨年も見かけた反戦平和団体とおぼしき方々。今年の木更津では見かけなかったので、立川にしか現れないんでしょうか?
なにかビラを配ってましたが、「駐屯地祭をぶっつぶせ」などといささか物騒なフレーズを書いたゼッケンを胸につけてました。
…ビラもらっときゃよかったかな? そうすればここでネタに出来たのに(笑)
右の写真は正門前でとつとつと演説をする反戦平和団体のメンバーとおぼしき方々。あ、迷彩服着ているのは自衛隊、白シャツと青ズボンの制服を着ているのは警察の方々です。
昨年は「○○反対!」のシュプレヒコールを連呼していていましたが、今年は「原発が云々…地震予知が云々」と、何が言いたいんだかよくわからない演説をしていました。東日本大震災で自衛隊が活躍したおかげで面と向かっての批判がしにくくなったんでしょうか?
反面、昨年は遠巻きに眺めつつ、映像記録も遠くから撮影していた自衛隊が今年は目の前にカメラを据えて撮影しているなど、力関係の変化が見えるようでした。
つまんない話はこの辺にしておいて、以下に見た物をてきとーにご紹介。とはいえ、今回も分割構成になりそうなんでタイトルは「その1」です (^-^;;
立川駐屯地では、正門から入って直進するとすぐ右手に滑走路が見えます。昨年も今年も、すでにヘリコプターが編隊展示飛行のために待機している状態でした。
写真右上は、滑走路脇に着地して、離陸準備を進めていたUH-1J(41876号機)。すでにエンジンを動かして、ローターも回転させていました。おそらくファンサービスも兼ねてるんでしょうね。
手が届きそうな距離から動いている機体の撮影が出来るのはヘリコプター基地ならではです。
他にも結構な数のUH-1H/Jが滑走路上に待機してまして、シリアルを確認できたのは以下の通り。数字の後ろに(H)とあるのはUH-1H、(J)とあるのはUH-1Jです。
- 41716 (H)
- 41725 (H)
- 41732 (H)
- 41840 (J)
- 41880 (J)
- 41891 (J)
- 41907 (J)
- 41923 (J)
写真右下は滑走路南側に駐機していたCH-47J(2933号機)。 CH-47Jは今回2機(もう1機は2934号機)が木更津駐屯地から飛来してきたようです。いずれも第105飛行隊所属。
ちなみに、このCH-47J 2機は体験搭乗にも使用されました。
このほかに、地上展示機として相馬原駐屯地から飛来した第12ヘリコプター隊のCH-47J(2905号機)が使用されていました。
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立川駐屯地の航空祭はただの航空祭とはひと味違います。「防災航空祭」なのです。というわけで、災害対策用に用いられる装備も展示されます。
写真は野外炊具1号(写真右上)と水トレーラー(同右下)。要するに煮炊きするための「釜」と、それに必要な水のタンクです。一朝事あれば野外生活を余儀なくされることがほぼ確定的な陸上自衛隊ならではの装備ですが、当然ながら災害救助にも役立つ代物。この日はこの器具で炊いたご飯(赤飯? 食べてないのでよくわかりませんが)を来訪者に試食させていました。
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左にずらっと並んでいるのは災害救助時に使用される個人用装具の数々。
上から、
- チェーンソー、油圧ポンプやスプレッダ、エアジャッキなどの救助用装具
チェーンソーはともかく、他は消防のレスキュー隊が装備してそうな器具ですね。
- 個人用器材(レスキューセット)
防災用マスクやヘッドライト、手斧など災害現場で個人が身につける装具です。さすがに部隊全員に行き渡るだけの分量はないようで、現場作業を行う隊員に都度渡すようです。
- 空気ボンベと油圧カッター
説明板には空気ボンベは「空気呼吸器」とありましたが、まぁ要するにボンベですね。
油圧カッターは鉄筋コンクリートの鉄筋を切断するのに使用するそうで、最大直径16mmの鉄筋まで切断可能だそうです。他にも用途があるようですが、詳しくは聞いてないのでスルーして次へ(をい
- エンジンカッターと削岩機
エンジンカッターはコンクリの壁を切断するときに使用するとのこと。削岩機は…まぁ、コンクリとか岩とかを砕くときに使用する物で(そのまんまだ)、岩崩れなどの時につかうようです
とまぁ、このあたりの装備を武装組織であるはずの自衛隊が持っている、というところに自衛隊の特殊性が見受けられるとつくづく思います。
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昨年も展示されていた「野外洗濯セット2型」。今年も展示されていました。
要は荷台の上に洗濯機と乾燥機を載せている代物です。でも洗濯機とか乾燥機はどう見ても市販品を乗せて紐で固定しているだけだったり(笑)。まぁ、乾燥機は業務用みたいですけどね。
電力は荷台の右端にある発電機から供給され、水は別途タンクを持ってくるそうです。
個人的には微笑ましくてわりと好きな装備だったり。
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左は94式除染装置。荷台に載っているのが「除染装置」で、トラックは一般のトラックです。
「除染装置」というと昨今のご時世では放射能の除染をイメージしますが、この装置の本領は化学物質。とはいえ、内部に混ぜる薬剤を選択することで放射性物質の除去も可能とのことでした。
面白かったんでいろいろ聞き出したんですが、薬剤は粉末状で保管され、一袋約40kg。これを一度溶かして「原液」を作り、それを希釈・加熱して水鉄砲のような装置で対象物に吹き付けるようです。吹き付ける際の温度や水圧は可変で、温度は100度C近くまで、水圧も数字は出ませんでしたが、「身体に当たると痛いレベル」まで上がるようです。
なお、使用する薬剤については詳しくは教えてくれなかったものの、複数種類存在し、現場では最低限の量しか持っていないとのこと。使用する場合は後方に補充要求を出すそうです。
この日は一般客(主に子供)が吹き付け用の銃で水流を的に当てていました。的になったのは説明用の板。隊員の人が「来年は(説明板が)使い物にならないよ」と苦笑いしてました(笑)。
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展示されているのは自衛隊の装備ばかりではありません。ということで右の写真は東京消防庁の屈折放水塔車。この車両も人気がありました。特にちびっ子。
車体側面や放水用のアームに「8-LP」「8本LP」の文字があったので、近くにいた消防隊員の方に訊いてみたところ、「第8方面本部はしご(Ladder)ポンプ(Pump)車」の事だそうです。ちなみに一般的な(というと語弊がありますが)消防車はポンプ車ということで、「P」の文字がつけられているとか。
この車体は高所での消火作業に用いられるとのことで、さすがに出動頻度は年に5~6回程度と少なく、訓練で使う方が多いとのこと。まぁ、防災機器にそうそう出番があってもらっても困りますけどね(苦笑)
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対象を航空機に戻して、左の写真は木更津駐屯地から飛来したAH-1S (73427号機)。他に6~7機ほどのAH-1Sが飛来していました。シリアルが確認できたのは写真の73427号機を含めて以下の6機:
- 73420
- 73421
- 73427
- 73431
- 73467
- 73479
編隊展示飛行終了後は地上展示用の1機を残して残りはとっとと帰投してしまいました。ちと残念
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右は観測ヘリコプターOH-6D(31310号機)。立川駐屯地所属で、第1師団第1飛行隊の機体…のはず(汗)。
この他にシリアルが確認できたのは確認されたのは以下の2機。いずれも東部方面ヘリコプター隊(立川駐屯地)所属機のようです。
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左の写真は木更津駐屯地から飛来したOH-1観測ヘリコプター(32613号機)。現地で見て回っているときはもう1機居るような気がしたんですが、確認できているのはこの機体だけでした。
「ニンジャ」の愛称にふさわしく、飛行時の音が非常に小さいです。数百メートル離れただけで全く気にならないレベルまで騒音が低下します。UH-1だと結構大きな音がするんですが、OH-1の場合はあさっての方向を向いておしゃべりでもしていようものなら気付かずに居るかもしれません。そのくらい音が小さいです。
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右の写真はUH-1J(41837号機)。この機体、立川駐屯地所属ですが、ある意味「レア」な機体なので別途掲載してます。というのもカメラを搭載して、その映像を遠方に転送する設備を備えているのです。ググって調べてみたところ、「HLTV」と呼ばれるシステムらしいです。説明してくれた隊員も「あまりつけているところは見ないです」と言ってました。画像が赤外線なのか可視光なのか、伝送性能はどのくらいなのか、といったことに関しては惚けられたのか素で知らなかったのか、はっきりとは答えてくれませんでした。
この機体の窓に張られていた(といってもラミネート加工してある紙の印刷物をテープで止めただけのようだが)ワッペンからすると、「東部方面通信群本部中隊 映像写真小隊 空中伝送班」所属機のようです。他のUH-1は「東部方面ヘリコプター隊」や「第1師団」の所属なので、組織が少々異なるようです。
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……と、そろそろ長くなってきたのでいったんここまでとして、「その2」に続きたいと思います。