明神石
壬生沢諏訪神社石段
知人から豊丘村壬生沢の諏訪神社近くに「明神石という石があって、その石に盃状穴があると聞き、農作業に行く途中に寄ってみた。神社の南側の道端、小高いところにそれと思われるモノをすぐに発見できた。何より道路から見事な石段が整備されていて、近年整備されたのだろう真新しさも伝わった。以前はスロープになっていたのだろうが、きっと滑りやすかったため、整備されたのだろう。地域の人々にとっても大事な石であることは、その整備状況からもうかがえる。
玉垣に囲まれた空間に巨石が横たわっていて、この石について『村の石神と石仏』(豊丘村教育委員会1971)に次のように書かれている。
壬生沢諏訪神社を本社から勧請した時、ご本殿が竣工するまでこの石の上に安置したというお腰かけの石である。
石の一周六九〇糎
高さ九六糎
一本の指でうごくふしぎな石である。
と。「一本の指でうごく」とあるが、実際は無理だろう。高さが1メートル近くあるからこの石の上に盃状穴を作るとなると、石の上に上らないと無理だ。このところわたしが書いている通り、盃状穴は最近できたものではなく、遊びで作られたとしたら、明治以前ではないかと推定する。そういう意味ではこの石、ながらくここにとどまっていることは容易にわかる。なぜここの小高いところに巨石が現れたのかは不思議でもあるが、いずれにせよ、人々を見守るように座っていることは確か。そして子どもたちがこの石の上で遊ぶにはちょうど良い大きさかもしれない。ちなみに我が家の横にかつてあった巨石は、もっと大きかった。
北隣の沢を挟んだところにある神社にも立ち寄って、同じような盃状穴がないか調べてみたが、それらしきものはなかった。ちなみに拝殿に上る石段には「明治二十九年」と銘があるが、その石段にも盃状穴はなかった。
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