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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「僻地の生活」中編-『伊那路』を読み返して⑩

2019-07-04 23:38:54 | 地域から学ぶ

「僻地の生活」前編-『伊那路』を読み返して⑨より

 引き続き宮下一郎氏の「僻地の生活(駒ヶ根市中沢区の大曾倉中山・上割)」(『伊那路』昭和34年1月号)を読んでみる。

 「生活水準」の中で衣類について触れている。「野良着は男子は、はっぴ・もも引きが一番多く、女子は作業着モンペー等は、余り他と変わりはないが、国民服の数が相当に入っていて、これを殆どが、町へゆく時に着用しているのが非常に多くなっている」という。そしてモーニングについて特徴的だという。「山間部へ入ると到って多くなると云うような時代ずれのした感じが出てくるのである」といい、背広がほぼ1着は持っているのに対して、モーニングは2、3着という答えに 対しての反応である。

 

 

 食生活における「生活水準」の調査は興味深い。まず行事食をもって地域性を捉えようとし、年中行事ごとの食べ物を聞いている。食べ物については餅、ぼた餅、赤飯といったものが当たり前のように登場しているのだが、興味を引くのはそのデータ数である。

 グラフは行事ごとの実数と思われるものをまとめたもので、宮下氏は行事の集落ごとの数値を示している。大曾倉の調査数55戸、中山が44戸、上割が23戸である。これに対して行事ごとにその実施数(この説明はない)が示してある。それを調査数に対する割合で示したものがわたしが作成したグラフである。小正月とお盆は100パーセント、大曾倉ではほかに秋祭り、収穫祭、蚕玉様が100パーセントを示し、中山でも蚕玉様は100パーセントを示す。正月と盆はだれでも当たり前だが、当時蚕玉様も意識の高い行事であったことが推察される。

 いっぽう低いものとして七夕で、5割程度である。次いで端午の節句、初午といったところが低い数字である。また、地域性という面では大曾倉では全体的に数値は高く、上割が低いと言える。上割は分散している集落という環境が、画一化を妨げているのかもしれない。

続く


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