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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

代掻きから田植えまで 前編

2020-05-17 23:46:38 | 農村環境

 生家のある地域の代掻き前の水田に足を運んでいる、と以前記した。「代掻き 前編」ではその代掻きの呼び方について触れたが、最初の代掻きをアラクレではなく、アラジロと呼ぶことは、伊那谷ではほぼ統一されている。しかし、最後の代掻きの呼び名はさまざまだ。このことはまた後日触れるとして、アラジロから田植えまでの過程は、農家によってさまざまだ。例えば兄の場合、「代掻き 中編」で触れたように、アラジロは4月29日だった。だが、まだ田植えには至っていない。田植えは5月23日の土日あたりだという。したがって「あとは田植えを待つだけ」というのが生家の水田の現在である。

 水田の大きさが3反歩余あると、水を浸けるのも容易ではない。もちろん用水路に流れている流量にもよるが。4月29日の代掻きを前に、水を浸け始めたのは、前日の朝。その日は7時間ほどかけて水を浸けた。アラジロ当日も朝から水を浸け始めて、午前中水を掛けた。そして午後にアラジロを掻いた。その後連休中に2度、翌週末に4度目の代掻きをしている。一度代掻き用に水を掛けても、次の代掻き時には水が少なくなっているので、当然水掛けをする。兄の場合ほぼ朝から水を掛け始め、翌日にシロを掻くのがいつものやり方だ。4度シロを掻くという人はそうはいないだろう。ふつうは2度である。兄に言わせると最初の代掻きは「代掻きではない」と言うが、わたしから見れば十分アラジロである。「代掻きではない」と言うだけに、2度目の代掻きは、アラジロから数日のうちに実施している。あとは1週間おきといったところだろうか。代掻き前に水を掛けるが、あとの日は水掛けをすることはめったにない。が、今年は仕上げの代掻き数日前に半日(12時間)ほど水掛けしている。兄は夜間水を掛けることはなく、「朝から暗くなるまで」が通常だ。

 最初の代掻きから25日ほど、ようやく田植えのようだが、アラジロをしたころは、周囲で水の浸いていた水田はほとんどなかったが、田植えを前にして周囲を眺めると、ほとんどの水田で稲が植わっている。ようはアラジロは早かったが、仕上げのシロは遅かった、ということになる。このように農家によって代掻きから田植えまではさまざまだ。

続く


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