Cosmos Factory

地方は終焉を迎え、無秩序な空間は途方もなく宇宙まで続く。

“ホンヤリ“の傘 前編

2019-01-12 23:32:11 | 民俗学

 隣組の新年会に集まった際にこんな話が聞こえた。「今年はホンヤリは13日、学校が休みのうちならよかったんだけれど…」と。ようは第1日曜日となった6日あたりなら良かったという意見だ。しかし、かつては小正月に行われていた行事だから、違和感はあるし、何と言ってもまだ松の内にあたる。こうした意見が発せられる背景には、飯田市周辺では、かつて7日の朝に行われていたという周辺情報もあるだろう。実際のところ、飯田市周辺では第1日曜日を中心に実施したところが多いようだ。

 さて、下伊那北部にあたる松川町ではほぼ第2日曜日が実施日となるようで、前日の12日に準備をしているところが多かった。わたしの住む地域でも午前8時半から松飾り集めがされていた。子どもたちが少なくなって、自分たちだけで集めるという姿もなくなったが、いずれにしても子どもを中心に、という意識は今もってあり、子どもたちの親、いわゆるPTAの方たちが集めて櫓を造る。「“ホンヤリ”用品を売る店」について触れたわけだが、実際のところこのあたりのホンヤリの櫓とはどのようなものなのか、できあがったやぐらを見てみよう。

 まずこのあたりの特徴的な形と言えるだろう“傘”を取り付けた例を見ていく。少し周囲の状況を見てみると、ホンヤリ当日に櫓を造ってすぐに焼いてしまうというところが多い。とりわけ松川町でも片桐松川以南の大島側にはそういうところが多い。したがって12日の朝方に焼かれてしまうということもあって、多くの例を確認することはできなかったが、とりわけ傘を取り付けるところは松川町上片桐に目立った。

松川町上片桐鶴部(つるべ)

 

松川町上片桐大栢(おおがや)

 

松川町上片桐諏訪形(すわがた)

 

松川町上片桐清泉地(せいせんち)

 

松川町上片桐大沢北部(ここはすぐ北隣は上伊那郡飯島町)

 

 鶴部の櫓はてっぺんにオンベを付けており、その下に傘が付く。傘の周囲に花紙が付けられ、色紙テープによる長い飾りが垂れていて、風に舞う。色紙テープや同様の飾りは、風に舞うことで風流さを見せる。それらオンベや傘の芯になるのが長い竹である。ひひではそれほど太くない竹2本で支えているという感じである。鶴部の西側の集落である大栢では、鶴部とは逆に、傘がてっぺんに付き、その下にオンベが付けられている。傘の縁にか色紙テープで作った飾りが垂れ下がり、傘の内側に花紙が付けられている。オンベが傘を差しているようにも見えるが、傘がてっぺんに付く例は、大栢の北東にあたる清泉地でも見られた。ただし清泉地のものは、傘だけが飾りから離れた位置にあって、融合感という意味では違和感がある。もうひとつ、大栢のすぐ西隣にあたる諏訪形では、とっぺんに傘が付くが、オンベはない。傘の下に花紙がたくさんつけられていて、吹流し風に色紙テープが風になびいている。

 確認できた傘が付く例は、上片桐では以上4箇所であって、4箇所から少し北側に位置する上町も、大沢北部も傘は付けられていなかった。

“ホンヤリ“の傘 中編

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